01プロローグ
はじめましてです。いつもはエロ書いてるんですが…思いついたので書いてみました。
楽しんでもらえたら嬉しいですね。
「起きなさい」
今まで聞いた事の無い柔らかで優しい声が響く。
「起きなさい…で、良いのですよね?」
優しい声に少し不安な疑問形が加わる。
「目を開けなさい…って、目ってどこにあるのよーーーー!」
もはや柔らかなだけの悲痛な叫びがこだまする。微睡みの中、俺の意識は覚醒した。目の前には優しそうな女性…が、血走らせた目をしながらゼエゼエと肩で息をしていた。
ここはどこだろう?私は一体?先ずは目の前の女性に聞いてみよう。そう思い声を出そうとした。
「ここはどこですか?」
そう言ったつもりだった。だが、実際は違った。
――パアアアーーーーーーーーーーンッ!
盛大な音が音が鳴り響く。女性は驚き両手で耳を押さえてしゃがみ込んだ。同時に自分も驚き状況を把握した。
そう、自分はトラック、10年選手の2tトラックだ。メーカーは大人の事情で秘密だ。正確に言えばトラックに憑いていた付喪神だ。まあ、一体化しているので同じと言っても過言は無い。
「あ」
もう一度声を出してみる。
――パッ!!
短いクラクションが鳴る。困ったな。これでは確認ができない。どうにか意思表示をしようとするとハザードがチカチカ点灯しワイパーが動き出した。
「ああ、話す手段が無いのですね?あなたは移動販売車だったと思いますが?」
そう言われ意識を自分の身体…いや、車体に意識を通すと、外部スピーカーを認識できた。配線は…うん、繋がってる。こちらを口だと意識して声を出してみた。
「あ、あ~テスッテスッ本日は晴天なり」
しっかりと声と認識できる音がスピーカーから響く。これで一安心だ。再度、先程の質問をする。
「ここはどこですか?私は一体?あなたは?」
「ここは天界と地上界の狭間、あなたは…トラック、私は女神とでも言っておきましょう」
「………………」
「………………」
この3つの事柄から連想するのは…この優しそうな自称女神がトラック―私に乗ってこの無限に広がる狭間の世界をかっ飛ばす姿だ。どこまでも、そう、どこまでも…。
「………………」
「………違いますからね」
「…えっ?」
「私が乗るとかはないですから」
心を読まれたのだろうか?まあ、先程の3つだとそう連想するのも仕方が無いな。それに免許持ってないだろうし。
「いや、免許とかではなくてですね」
がっつり読まれてました。なら、無理に話す事に拘る必要は無かったのでは?
「ああ、それは…これからのあなたに必要な事なので」
「…はあ」
これからって…トラックのやれる事といえば移動と輸送だけだ。話せる機能なんて必要ない。ドライバーは退屈しないだろうけど。
素直に戸惑っている私に、女神は真っ直ぐな目でこう言った。
「単刀直入に言いましょう。あなたに勇者を轢き殺して欲しいのです」
まだ、プロローグしか書いてません。これからノンビリと進めていけたらいいなあ。
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