バナナの皮
あなたは冷蔵庫から牛乳パック取り出すと、いつもの愛用のカップに注いだ。それから昨日コンビニで買っておいたバナナ一本を手に取る。
これが今日の朝食である。
あなたはバナナの皮をむき始めた。
――これ、食べられるかな?
今日のあなたはふと思う。
バナナの皮を食品に加工できないかと。
――調理によってはおいしくなるかも。
さっそくあなたは立ち上がり、まな板の上にバナナの皮を開いて置いた。
それを包丁で刻んでゆく。
――売れるかもな。
そんなことも思う。
細かく刻み終わると、ガスレンジに火をつけフライパンに油をひいた。
フライパンが熱せられてゆく。
あなたは先ほど刻んだバナナの皮をフライパンに放りこんだ。
長箸を使ってまんべんなく焼く。
途中、塩コショウを忘れずふりかけた。
バナナの皮が焼けつつあるところで、あなたはいったん火をとめて思う。
――なにかが足りないな。
すぐに気がついた。
バナナの皮が縮んでおり、箸で食べるにはパラパラしているのだ。
――そうだ!
冷蔵庫から卵をひとつ取り出してきて、フライパンの上で割って落とした。卵とじにしてみようと考えたのである。
再びレンジに火をつけて、バナナの皮と卵をていねいにかき混ぜてゆく。
バナナの皮がほどよくまとまった。
――うまそうじやないか。
火をとめ、バナナの皮の卵とじを皿に移す。
――食品革命だ!
あなたは目を輝かせ、バナナの皮の卵とじを嬉々として口に入れた。それからあわてて、カップの牛乳を一気に飲み干した。
それからは卵だけをより分けて食べた。
もちろんバナナの実も食べる。
しばらくすると……。
バナナの皮だけが皿に残った。
あなたはそれを流しに持っていき、生ごみ入れに捨てた。
そっと静かに……。