表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

文才無くても小説を書くスレ参加作品

デジタルではなくて

 文才なくても小説を書くスレで、お題を貰って書きました。 お題:デジタル

「最近の画素数ならアナログにこだわる必要もないんじゃね」

 Kが手振れがなんたらといいつつ山中で足を止めたので、俺はのんびりとペットボトルの蓋を空けながらそう言った。

「別に拘っているわけじゃないけどね」

 Kは横顔で笑いながら写真の構図に悪戦苦闘しつつそう返してきた。

 そんなにタイムアタックのようにスケジュール立てて山に登っているわけじゃないからいいんだけどさ。 

「いや、高い高い言いながら結局それを買いなおしたじゃん」

 高いカメラを買うだけのスキルはあるとは知っている。

 幾重もの木の葉擦れのさざめきの中で鳥の鳴き声や虫の音などが響き渡る、暑い山での冷えるくらい涼しい木陰の温かみのある木漏れ日の広場など、Kは素人目にもその空気すらも写し取ったかのような写真を撮っていたのを見たことはある。

 けれど、それはデジタル処理をされてネットに公開されている写真ではありえないのかというと、そうでもない。

 そういう作品は世に幾つかあるし、きっとKなら新しい技術でもっと美しい写真を撮れるだろうと、確信すら抱かせるものがあった。

「使い慣れた方が決断が楽だったんだよ」

「そういうもんかね」

「そうだよ」

 現像も手間のかかる方で、決してそれがらくだとも思えないのだけど。

「手振れ自動補正くらいはアナログにもないの?」

「ぶれるからいいってものもあるしね」

「そういうもんか?」

「そういうもんだよ」

 きっとKがそういうからには、そういう意味でもいい写真が撮れるんだろう。

「でもさ」

 それでも俺は「保存には便利じゃね?」と言っていた。

 現像された後では鮮烈な色合いの美しい光景も、時と共に褪せてきていたのを見たことがあるからだ。

 けれどもKは「確かにずっと綺麗なままってのは魅力だけど」とか一定の評価を下しながらも、結局は――。

「セピア色に褪せてくるから、想い出は美しいんだと思うよ」

 と、持論を曲げなかった。

 周りを見回せば、濃密な緑の香りすら感じさせる新緑の森。

 今見回して感じ取れる艶やかに刺激的な命の気配が、いつしか思い出の中では静かで穏やかなものばかりになるというのなら――。

「なるほど、悪くない」

 と思った。

「でも、アナログに拘ってないといった割には、やっぱりアナログ贔屓じゃん」

 というと、彼はこの会話で初めてカメラから顔を上げてこっちを見ると――。

「そこはホラ。1と0で割り切るようなデジタルじゃないからさ」

 とはにかんで笑った。



 弘法は筆を選ばず。

 けれどそれが後世に残るかどうかは、半紙の出来にかかっている。


------------------------------------


244 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/08/06(火) 20:14:25.57 ID:+tkWax6y0

お題ください

245 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/08/06(火) 21:48:32.52 ID:64vvdHgSO

>>244デジタル

246 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/08/06(火) 21:59:44.39 ID:+tkWax6y0

把握しました

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ