リア充なんか、くそくらえ
はぁぁぁぁぁ……。
此奴等と友達になった、俺が間違っていたのかな……。
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Shuutaが、鞄を持って声をかけた。
「龍、帰ろうぜー。」
「え?あ、あぁ……。わり。俺、先客いるわ。」
え?
「は?」俺の心の声とShuutaの声とが重なる。
「お前に?先客?」
「あ、ほら、センセーの説教かなんかだろ?」
「んな訳あるか。」
龍がShuutaの頭を叩く。丁度、
その時。
「りゅーくん?まだー?」
可愛い、俺達とは無縁のはずの声がした。他クラスの結構人気がある女子だ。
「今行く。…っという訳で、じゃあなー。」
え?
え?
え?
「……あれ、龍の彼女か?」Shuutaが呟いた。
「……だろうな。」
「……ですよね。」
「あれ?俺達、龍に先越された感じ?」
「……そのようで。」
溜息をつく。
「……あれ?おかしいな。前が霞んで見えないや。」
……。
「……Suuta。」
「ん?」
「……俺達って、悲しいな。」
「……うん。」
はぁ、とShuutaが再び溜息をついた。「ちょ、俺、翔んでくるっ!」その言葉の勢いでShuutaは走っていき……
っておい!
「この間翔べなかったんだから、今日も翔べないんだよ!学習しろよ!」
「大丈夫!今日は翔べそうだから!俺!」
「ちょまっ……!その自信は何処からっ⁉」
「ここから!俺から!俺の自信は揺らがないっ!」
「揺らいで!心から頼みます、揺らいで下さい!」
「おーれーのーこーこーろーはーゆーらーがーなーいーっ!」
……ったくっ!この馬鹿!
偶々そこを通っていた天パに怒鳴り声をかける。「天パ!この馬鹿を止めろっ!」
あー?と、天パは眠そうに此方を向く。そして、Shuutaを向く。
「あー、彼奴なら翔べるよ、大丈夫。」
「全く大丈夫じゃねぇーっ!」何をどう考えてそういう結論になるんだっ!そしてなんでそれだけで状況把握が出来るんだっ!
謎い。謎いよ。なんなんだよ、俺の周りの人々は。おかしい、つーか危ない人しかいないよ。もう俺、どうしよう。
そうこうしている内に、
Shuutaが屋上のドアの奥へと消えた。
あ、
あぁ……。
##
「あれ?」
龍は上を見上げた。
「どうしたの、りゅーくん。」
暫く沈黙して、彼は呟く。
「なんであんなとこにいるんだろ、修太、じゃなかった、Shuuta。」
「は?」
「今度こそ、翔ぶのかな。」
「え?」
そんな余りにも間抜けな会話に、
「お前等のせいだよ!お前のせいなんだよ!龍!」
俺は上から叫んだ。
「俺の?」
あいからわずの爽やかボイスで言うからマジむかつく。
「寧ろお前以外に誰がいるっ!」
「傑。」
「俺かよっ!何でそうなるんだよっ!」しかも即答だったぞ、おい。
「翔べー、翔ぶんだー、Shuutaー。」
「煽るなーーーっ!」全く、本当にお前って奴はっ!
気付いたら、下にお馴染みの面々がそろっていた。
「地獄に向かってでも別にいいから、とりあえず翔べー。」
「だから龍!それは違うって!確かにShuutaは天国にはいけそうにないけどさ!」
「行くよ!俺、天国の母さんに会いにいくんだ!」
「面倒臭い所で会話に入ってくんなよ!言っとくけど、今朝お前の母ちゃんに俺会ったからな!」
「チッ、ばれたか。」
「ばれるわ!!!」
藤谷さんがにこにこしながら「死んでも大丈夫だよー。とりあえず翔んでー?」いや、駄目だってオイ。
「松坂っ!お前は鳥だっ!お前は翔べるっ!よっ、不死鳥ーーーっ!!」
天パ、それも違うからね?煽らないでね?
「ついでに本郷君も飛んじゃえば?」
「藤谷さんっ!俺にだけ漢字が違いますよっ⁉死ねと⁈」
「表面上そこまでは言ってないよー?」
「表面上じゃねぇか!!」
藤谷さんは可愛い。でも酷い。……。
……でも、可愛い。
って!今そんな事考えてる場合じゃなくて!
「頼むから!本当誰かこの馬鹿を止めてくれない⁈」
「俺は馬鹿じゃないっ!修太…じゃなかった、Shuutaだっ!」
「自分で間違えやがったよこの人っ!」
なんなんだよ!庇っている俺が可哀想になってきちゃったよ!どうしてくれんの⁉
「傑ー。」龍だ。「お前は元々そういうキャラじゃねぇか。今更何を。」
「そういうキャラにさせたのはお前等だよ!」
何言ってんだ、本当にっ!此奴、秀才爽やかスポーツ万能イケメンに見せかけてただの馬鹿じゃん!
俺が溜息をついていると、
Shuutaがいきなり叫んだ。
「藤谷さんっ!!」
彼女は大きな目をShuutaに向ける。
一瞬の沈黙。
さぁぁ……、と風が通り過ぎた。
沈黙を、彼は破る。
「好きですっ!!!傑なんかじゃなくて俺と付き合って下さいっっ!!!」
「あ、ごめん。松坂君は興味ない。」
即答。
玉砕。
Shuuta。
お前も可哀想な奴だな。
そして何故俺の名を出した。潰すぞ。
「さてと、じゃあ私は帰ろう。じゃあねー。」
女神が微笑んだ。今は悪魔に見えます。でもそんな君も好きです。
「……お、」
「ど、どうした、Shuuta……?」
Shuutaは叫ぶ。
「俺は不死鳥だぁぁぁぁぁぁーーっ!!」
「違うっ!」
俺の制止は届かず。
可哀想な偽不死鳥は、翔ん……否、飛んだ。
女神はその音にふりかえる。
「やっぱり翔べないんだなぁ……。つまんないの。」
女神ィィィィィィっ!!!