ayakashi
神社に新年の挨拶に行った
沢山の参拝者と妖もたくさん
参拝もし終えお神籤を引くのに並んでいると後ろに男女が並んだ。
夫婦であるのは誰が見ても一目瞭然だ
唯一他と違うのは男は人間、女は妖であるという事
二人は仲睦まじく寄り添い愛し合っていた
けれど参拝している人間には見えていないようで
彼らからは独り言を楽しそうに話している変わり者にしか見えないという現実
そもそも男は街で変わり者として有名だった
いつも一人で話していて薄気味が悪いと陰で言われていた
ただ変わり者と呼ばれた男は周りの目を気にすることなく
妻である妖と心から幸せそうに過ごしていた
人間と妖との違いはなんなのだろう
人間は目に見える事しか信じない
妖は人間に見えないが危害を与えない穏やかな妖もたくさんいる
今ここにいる妖たちも皆そうだ
新年の挨拶をしたり
楽しそうに酒を酌み交わしたりしているだけだ
変わり者と陰口を叩いている人間の方がよっぽど悪い妖のようにしか見えない
とても傲慢で自惚れが強く汚いのは人間の方だ
年始から色々あり半月が過ぎようとした時
町はずれに買い物に出ていた
街は活気があり平日でも車や歩行者の行き来が絶えない世の中になった
いつもわからないがなぜそんなに全ての事を急ぐ人がこんなにも多いのか謎だ
人間はいつもせっかちで怒っている人が多い
ふとあの夫婦を見かけた
夫は車から女を庇い心配そうな面持ちで妻に話しかけた
何ともないとわかると妻に夫は笑いかけた
妻は耳を赤くして夫から顔を背けてはいたがその顔はとても幸せそうだった
夫は顔を背けた妻が実は怪我をしたのではないかと心配し妻の顔を覗き込むと
そんな夫の行動に更に顔を赤くして恥じらった
妻の恥じらいに夫は幸せを噛み締める表情を浮かべていた
妻の手をそっと強く握り二人は街の中に消えていった
その日は仕事が良く捗った




