表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/60

第五十七話 崩壊の足音

 すると茜音(あかね)さんは、手にしていた箒を地面に置き、両手で桔梗(ききょう)の手を包む。いつか、狩森図書館の一般開架室で僕にしてくれたのと同じように。


「大丈夫よ、桔梗。もしあなたの身に何か起こったとしても、私はずっとあなたのそばにいるから。絶対にあなたを一人にはしない……!」


「茜音……」


「だからもし、私が鬼神(オニガミ)になったら、その時はあなたが私のそばにいてね」


「……!」


 桔梗は、はっとする。


 そう、狩森神社に属している限り、茜音さんが鬼神(オニガミ)になる可能性も大いにあるのだ。


 誰がいつ、どのようにして鬼神(オニガミ)に選ばれるかは分からない。茜音さんや桔梗の話を聞いている限り、その条件は狩森(かりもり)神社の巫覡(ふげき)たちにさえ知らされていないようだ。


 だから、茜音さんが鬼神(オニガミ)に選ばれても何ら不思議ではない。


「……約束よ、桔梗」


「うん……分かった。約束する」


 茜音さんに気持ちを打ち明けたことで、桔梗は少しだけ落ち着いたようだった。きっと彼女は、鬼神(オニガミ)に選ばれるのではないかと、ひとり脅え続けてきたのだ。でも、狩森神社に属している以上、そんな弱音は許されない。だから一人で抱え込むしかなかったのだろう。


 桔梗の辛い気持ちもよく分かる。僕も〈言霊の力〉のことを誰にも相談できず、悩んでいた時期があるからだ。


 僕の場合は〈言霊の力〉を誰にも話さず、生きていく道を選んだ。心霊現象や怪奇現象なんて、そうそう起こるわけがない。世の中はそういうものだと悟ったから。


 でも、現実を飲み込むのだって、それ相応の忍耐と精神力が必要なのだ。


 茜音さんは追い詰められた様子の桔梗を心配して、さらに声をかける。


「あまり心を恐怖で満たしては駄目よ、桔梗。弱った心には鬼が棲みつくと言われているわ」


「鬼……か。そうね、そうかもね。このままじゃ私、鬼神(オニガミ)になる前に鬼になってしまうかも」


 桔梗は自嘲気味に笑った。確かに今の彼女は、僕の目にも非常に危うく映る。目が虚ろで、表情もどことなく陰があり、自暴自棄になっているようにも見える。何だかすごく嫌な感じがするのだ。


 キナリ様と同じ、何か尋常ならざるモノの気配。茜音さんの言葉でさえも、その濃い闇の気配までは打ち消せそうにない。


(そういえば、鬼の中には生霊みたいに、人間が生きながらにして鬼になってしまうパターンもあったんだっけ) 


 僕が気付いているくらいなのだ。茜音さんがそれに気づいていないはずがない。


「桔梗!」


 しかし桔梗は、茜音さんの呼びかけに答えることなく茜音さんから手を放す。


「ねえ……茜音、もし私が鬼になったら、茜音はどうする?」


 桔梗から突き付けられた問いに、茜音さんは絶句した。そして、澄んだその瞳を激しく瞳を揺らす。


 もし、親友が調伏しなければならない鬼になってしまったとしたら。その時、茜音さんは何を選ぶのだろう。それは僕にも分からないし、想像もつかない。そもそも、茜音さんにとってこれほど酷な質問は他に無いのではないか。


 どうして桔梗はそんな残酷な質問をするのだろう。何故、そんな質問をして茜音さんを困らせるのだろう。二人は親友のはずではなかったのか。僕は悶々とした思いを抱えつつも、二人の足り取りを見守る。この世界に干渉できない僕は、そうするしかないからだ。


 長い沈黙。その果てに茜音さんは言った。


「その時は……私は私のすべきことをするわ。私は巫覡にはなれなかったけれど、それでも巫覡としての生き方を全うしたいと思っているから。……母様とそう誓ったから」


 毅然とそう告げる茜音さんは、とても強い瞳をしていた。迷いも苦悩も、既にそこにはない。彼女の決意はそれほど固いのだ。


 桔梗はそれを見て小さく微笑んだ。


「……。そう……その言葉、忘れないでね」


 そう言い残すと、桔梗はふらふらとした足取りでその場を去っていく。


 体はそこにあれど、心はもはや存在しない。そのままどこかに消え去ってしまいそうなほどの頼りなさ。


 そんな桔梗の頭上に、いざや桜の花びらが降り注ぐ。


 ひらひらと、儚げに舞い、散っていく。


 あまりにも幻想的で、かつ心を激しく乱される光景だった。息をするのも忘れるほど美しい。そのはずなのに、何故か不安が拭えない。足元から不気味な寒気が這い上がってくる。


「桔梗……」


 茜音さんも桔梗のことを不安そうな表情で見つめている。そしてポツリと独り言ちた。


「私、いつも兄さまのことばかり見ていて、親友が苦しんでいることにすら気付かなかった。これじゃ、巫覡失格なのも当然ね。今の兄さまには織部(おりべ)さんがついていて下さっているのだし、私は桔梗を支えないと……!」


 それから茜音さんは以前にも増して積極的に桔梗に声をかけるようになった。


 いざや桜や御霊の丘の掃除や管理もできるだけ共に行うようにし、社務所の当番にも同行するようになった。


 人間は一人になると、あれこれと良くないことを考えたり想像したりしてしまいがちだ。茜音さんは桔梗がそうならないようにしたかったのだろう。


 桔梗は時おり、自身の不安を口にしたが、茜音さんはそれに異を唱えることなく親身に桔梗の話に耳を傾けた。そして、その通りだと共感するところは認め、無理のない範囲で励ましたり諭したりした。 


 その甲斐あってか、桔梗の表情から徐々に鬱屈さが無くなり、彼女は本来の明るさを取り戻していった。悩みを打ち明けられる友の存在が大きいのだろう。


 僕もその光景を見て、心が温かくなる。


「桔梗、すごく明るくなったな。……良かった。さすが茜音さんだ。あの二人、もう大丈夫だよな?」


 僕は先ほどからずっと大人しくしている露草(つゆくさ)色の瞳をした黒猫に声をかけた。しかし黒猫は、その声が聞こえているのかいないのか、僕の方をちらりと見ただけだった。


 やがて、またもや視界が白い光で覆われていく。


 そして次の瞬間、舞台は全く別の場所に移動していた。


 そこはどこかの屋内だった。床や壁の一部、天井などが板張りになっており、その簡素な造りから狩森神社の内部だということが分かる。


 とはいっても特に神棚のようなものはなく、非常にシンプルでいたって普通の部屋だった。敢えて特徴を上げるなら、やたら広いということだろうか。


 その広い部屋の一角には畳が敷かれているスペースがあった。そこに十数人ほどの神職の格好をした老人たちが膝を突き合わせ、何事か話し合っている。


 その中には藤黄老(とうおうろう)の姿もあった。老人たちの服装や貫禄から、狩森神社の中でもかなり高位にいる人々だろうという察しが付く。


 彼らの表情から、その話し合いがとても深刻な内容であることが伝わってきた。


「おい、聞いたか。近々、新政府によって宗教改革が断行されるらしい」


「ああ、聞いたよ。どうも仏教が標的にされているようだな。全国ではすでに寺に対する弾圧が広まっているらしい」


「うちはどうなる?」


「狩森神社は曲がりなりにも神道系だ。心配する必要はなかろうて」


「いや、分からんぞ。神道界も大きく再編されるという話もある。狩森神社は他のどの系譜にも属しておらず、独自の信仰を形成してきた。それに、仏教や密教、道教、陰陽道などといった他の宗教にも大きく影響を受けている。お上の判断次第でいつ廃絶の危機に見舞われるか……」


「しかも、新政府は(まじな)いの類を厳しく取り締まり、排除していく方針らしい」


「なに、そちらの方がよほど問題ではないか」


「今後数年は混乱が続くやもしれぬ。向こう三年は〈鬼神(きしん)の法〉を行わぬ予定であったが、予定を前倒しにすべきかもしれんな……」


 それを聞いて、僕は〈神御目(かごめ)市の歴史 5〉の内容を思い出した。


「廃仏毀釈や巫女禁断の法令のことか。〈神御目(かごめ)市の歴史 5〉にも書いてあったな」


 やはりこの世界は、狩森神社の過去を再現したものらしい。〈神御目(かごめ)市の歴史 5〉では、この廃仏毀釈や巫女禁断の法令などが原因となり、狩森神社は廃絶したのだと記されていた。


 つまり、狩森神社が滅ぶその時はもう間近だということだ。


「茜音さんはどこにいるんだろう……?」


 呟くと、足元にいた黒猫が突然、駆け出した。これまでずっと僕と一緒に行動をしてきた、露草色の瞳をした黒猫だ。


 あの黒猫は茜音さんの居場所を知っているのだろう。これまでもそうだった。そして、必ず僕を茜音さんの元に導いてくれる。


 あの黒猫の先に茜音さんがいる……そう信じて、僕も黒猫のあとを追いかける。


 黒猫が向かったのは、いざや桜のある御霊(みたま)の丘だった。いざや桜はとうの昔に花を散らせており、その葉はすっかり赤く色づいていた。今は秋なのだ。


 燃え上がるような美しい紅葉(こうよう)は、春に満開に花を咲きほころばせていた時と同じで、まさに圧巻の一言だった。


 その下で、茜音さんは竹箒を使い落ち葉を掃いていた。


 茜音さんはあれからさらに大人びていて、今ではきっと僕より年上だ。僕のよく知る、狩森図書館の館長である茜音さんとほぼ同じ。でも、現実の茜音さんより表情が豊かな気がする。気のせいだろうか。


 一通り落ち葉を掃き、竹箕(たけみの)にかき集めると、茜音さんはいざや桜を見上げる。そして、どこか嬉しそうに目を細めた。その先では傾きかけた秋の日を浴び、いざや桜の葉がいっそう赤く輝いている。


 充実感に満ちた微笑。茜音さんはあれからもずっと、真面目にまっすぐ、そしてひたすら実直に自分に課された仕事をこなしてきたのだろう。


 とても茜音さんらしい。そう思う一方で、この場に桔梗がいないのが気になった。


(桔梗はどこに行ったんだ? 今日はたまたま茜音さんと一緒じゃないだけなのかな?)


 周囲を見回すが、やはり桔梗の姿はない。その間も、茜音さんは落ち葉でいっぱいになった竹箕(たけみの)と竹箒を抱え、狩森神社の方に向かっていく。僕と黒猫もそのあとを追った。


 狩森神社に戻ると、何だか様子が変だった。そこかしこで若い巫覡(ふげき)や神職たちが集まり、何やら話し込んでいる。


 茜音さんもその異変に気付いたようだった。戸惑った様子で足を止め、彼らの様子を窺う。


 すると、巫覡の一人が茜音さんに気づいた。女性で、ちょうど茜音さんと同じくらいの年齢だ。もしかしたら、茜音さんの同級生みたいなものかもしれない。体の一部を防具で固めているので、鬼の調伏(ちょうぶく)を終えた後だということが分かる。


 女性の巫覡は声を潜めて茜音さんに言った。


「ねえ茜音、知ってる? 近々、〈鬼神の法〉が行われることになったんですって」


 それを聞き、茜音さんは困惑の表情を浮かべる。


「え……でも、藤黄(とうおう)さまは今のところ鬼神(オニガミ)の戦力も十分に足りているし、当分は〈鬼神の法〉を行わないと……」


「それは私も知っているわ。でも、予定が変わったのよ。なんでも、世の中の動きが激しいから、今のうちにできるだけ多くの鬼神(オニガミ)を生み出して、確保しておこうということになったんですって。それで……今回、鬼神(オニガミ)に選ばれたのは、どうやら桔梗らしいの」


「えっ……」


 僕は思わず絶句した。


 桔梗がまさか鬼神(オニガミ)に? あんなに鬼神(オニガミ)になることを嫌がっていた彼女が、よりにもよって何故。


 僕は茜音さんに目を向ける。茜音さんもまた、石像のように固まってしまっていた。


 今回のことは茜音さんにとっても寝耳に水なのだろう。すっかり混乱し、女性の巫覡から告げられた言葉の意味を理解できないといった様子だった。


「茜音……? 大丈夫?」


 女性の巫覡は、呆然とする茜音さん気遣って声をかける。茜音さんはひどく青ざめていた。そして目を見開いたまま、喘ぐようにして尋ねる。


「……。桔梗は……? 桔梗はどこ?」


「さあ……あなた達、一緒じゃなかったの?」


「一緒じゃない。桔梗は藤黄(とうおう)さまに呼び出されて……」


 竹箕(たけみの)を抱える茜音さんの手は震えている。せっかくかき集めた落ち葉が今にも零れ落ちそうだ。一方、女性巫覡は合点がいったという風に呟いた。


「ああ……それじゃ桔梗も、もう知らされているのね。自分が次の鬼神(オニガミ)に選ばれたことを」


 茜音さんの手から、とうとう竹箒と竹箕(たけみの)が滑り落ちた。竹箕(たけみの)いっぱいに盛られていたいざや桜の落ち葉がどさっと音を立てて落下し、真っ赤に染まった枯葉が何枚も舞い上がる。


 まるで火の粉が激しく舞ったかのように。


 その瞬間、茜音さんは走り出した。


「あ、茜音!?」


 女性の巫覡が呼び止めるが、茜音さんは決して足を止めない。きっと、走らずにはいられないのだ。


 桔梗はどこへ行ったのか。まさか……まさか。


 その顔は、不安で大きく歪んでいる。僕と同じように、茜音さんも嫌な予感を拭うことができないのだろう。


 全速力で走り続け、茜音さんは最初に社務所に駆け込んだ。


「あの、桔梗を見ませんでしたか!?」


 しかし、社務所で働いていた巫女たちは、驚いた顔をするばかりだ。


「桔梗? 朝に顔を見たきりだよ」


「こっちには戻っていないわね」


「ありがとうございます!」


 次に茜音さんが向かったのは拝殿や本殿のある方だった。するとちょうど、茜音さんよりずっと立場が上と思しき立派な装束を身にまとった男性の神職が、何人かの供を連れて歩いていた。茜音さんは彼らに近づき、深々と頭を下げる。


「すみません、桔梗がこちらに伺ったと聞いたのですが……!」


 すると、男性の神職は一瞬、訝しげな表情をしつつも、それに答えた。


「彼女なら、一刻(三十分)前ほど前に本殿を後にしましたよ。ここにはもういません」


「そうですか……失礼しました、ありがとうございます」


 茜音さんは再び礼をすると、その場を離れる。そして桔梗を探して走り始めた。


 既に日は暮れかかっていた。狩森神社の参道や鎮守の森、境内、あらゆる場所が秋の夕日に包まれ胸を締め付けられるほどの幻想的な光景を作り上げている。その中を、茜音さんは走り回った。息を切らせ、境内の玉砂利に足をとられて、転びかけても走り続けた。


「桔梗……桔梗! どこにいるの!?」


 しかし桔梗の姿はない。狩森神社の外、修練場や御霊の丘、そしていざや桜。茜音さんは桔梗の名を呼びながらありとあらゆる場所を駆けずり回った。しかし、やはりどこにも桔梗はいないのだった。


 茜音さんは泣きそうになりながらも桔梗の名を呼ぶ。


「桔梗! お願い、返事をして……!!」


 けれど、それに応じる声はない。茜音さんの祈りも虚しく、刻々と時は過ぎ去り、そしてとうとう日が沈んでしまった。


 その頃になると、狩森神社の他の巫覡や神職たちも、桔梗の失踪に気づく。そして、みな桔梗の捜索をし始めた。薄暮の中、あちこちで提灯や松明の明かりが浮かんでいる。


「おおい、そっちにはいたか?」


「いいえ、いません!」


「もっと徹底的に探せ、どこぞの暗がりに身を潜めておるやもしれん!」


 狩森神社の人員、全てが投入され桔梗の捜索は続けられたが、やはり桔梗の姿はどこにも無かった。捜索の手は神御目(かごめ)町や狩森神社の北側に広がる農村地帯にも及ぶ。けれど、桔梗が発見されることはなかった。


「桔梗はどこへ行ってしまったんだろう? 茜音さんや他の巫覡、神職の人たち……これだけたくさんの人たちが一斉に探しても全く見つからないなんて……」


 もっとも、桔梗が身を隠したくなる気持ちも分かる気がする。


 彼女はもともと、鬼神(オニガミ)になるのを恐れ、そしていつかその日が来るのではないかと怯えていた。そんな桔梗が、自分が次の鬼神(オニガミ)に選ばれたことを知って、どれほどショックを受けたか。そして、どれほど絶望したか。想像に難くない。


(桔梗にもしものことがあったら……。まさか、考えすぎだよな……?)


 あまりの手がかりの無さに、僕も不安が募る。すると、僕の近くにいた捜索隊がひそひそと話す声が聞こえてきた。いずれも狩森神社の巫覡たちだ。


「やれやれ、よりにもよって鬼神(オニガミ)候補が逃げ出すとはなあ。前代未聞だぞ」


「〈鬼神の法〉は我々にとって何よりも重要な神事だぞ。その当事者が逃げ出したとあっては、今後にどのような影響が出るか……まったく、頭が痛いな」


「狩森の巫覡や神職にとって、鬼神(オニガミ)になるということがどれほど光栄なことか。それを理解できぬのは修練が足りないからだ! この世の鬼を清め祓い、人の魂が本来持つ清明正直(せいめいせいちょく)を取り戻す。……それがいかに気高く崇高な行いであるか。そしてそのために、どれだけの狩森の巫覡が身命を賭してきたか。何も理解しておらぬからこういうことになる!」


「そう腹を立てるほどのことでもあるまい。昔から〈鬼神の法〉を受けることに対して、恐れや拒否反応を示す者は一定数、存在した。今回選ばれた鬼神(オニガミ)候補もそちら側だったというだけだ」


「しかし、これだけ探しても見つからぬところを見ると、その鬼神候補はすでにもう……」


「しっ、滅多なことは言うな。まだ捜索は続いているのだぞ」


「焦らずとも、そのうち分かる。亡骸が見つかれば、いやでもな」


 彼らの会話を聞いていると、狩森神社の巫覡たちにとって鬼神(オニガミ)に選ばれるということは、とても誇らしく名誉あることなのだということが分かる。だから、その役目から逃れようとするのは愚かなことだと考えるのだ。そういう価値観が当たり前だという環境で生まれ育ったためだろう。


 一方、桔梗のように鬼神(オニガミ)になるのが怖いという感覚は、現代を生きる僕たちに近いのではないか。


 僕だって今から〈鬼神の法〉を受けろと言われたら、絶対にそれを拒否するし、それでも無理なら逃げ出すと思う。ちょうど今の桔梗のように。


 でも、そういった考えを持つ者は、この過去の時代では少数派なのだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ