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労働所有論と人工知能時代の所有権の考え方についての解説

 あなたは労働所有論について知っているだろうか?労働所有論とは自然物すなわち誰の所有物でもないものに労働を加えて商品を作った場合、その商品は労働した人のものになる、という考え方だ。例えばあるところに誰のものでもないりんごの木があったとする。ある村人がそのりんごの木からりんごを採取したとする。この時ある村人は木についているりんごの木の実に労働を加えることでりんごという商品を作ったことになる。故に採取されたりんごはその村人のものになる、と考えるのが労働所有論に基づく考え方といえる。

 では労働所有論に基づく場合、例えばある工場で工場主が車の材料と車を作るための道具を用意し、労働者を雇い車を作らせてそれを売った場合、その売り上げは誰のものになるだろうか?私は、この結論は労働の解釈によって二通りに分かれると考えている。一つ目の解釈は、車は労働者のものだったので売り上げも労働者のものであるべきで、工場主は労働者に対して車の材料にかかった費用と車を作るための道具の貸し出し費用の合計の費用だけしか請求するべきではない、とする考えだ。この考えでは、工場主は何も労働しておらず、労働者が労働したのだから、車は労働者のものであり故に売り上げも労働者のものだと考えている。ただし、私はこの考えには否定的だ。二つ目の解釈は、車は労働者と工場主のものだったので、作った車から得られた利益は労働者と工場主の間であらかじめ決められていた契約に従い分けられるべきである、とする考えだ。この考えでは、工場主は労働者に車を作るように命令するという労働と、車の材料と車を作るための道具を用意するという労働を行っているため、車は労働者と工場主の共同作業で作られたと考える。故にこの考えでは、車は労働者と工場主の両方のものであり、故に作った車から得られた利益は労働者と工場主の間であらかじめ決められていた契約に従い分けられるべきであると考えている。私はこちらの考えを採用している。

 では労働所有論及びこの二つ目の解釈に基づきかつ人工知能の人権を認めないのであれば、例えばある工場で工場主が車の材料と車を作るための道具を用意し、人工知能を搭載した車を作るための道具に命令して車を作らせてそれを売った場合、その売り上げは誰のものになるだろうか?ただしここでは人工知能の開発者やデータ提供者、メンテナンス作業者のことは話の簡略化のために考えない。この場合、車を作るために労働を行ったのは工場主だけである。工場主は車の材料と車を作るための道具を用意するという労働と、人工知能に命じて車を作らせるという労働を行っている。だが車が作られる過程でほかの人権を持った存在は誰も労働していない。なぜなら人工知能には人権は認められていないからだ。人権がない存在は所有権を持てないので、人工知能の活動は所有権を生まないのだ。故にこの場合は車は工場主のものであり、また売り上げの全額も工場主のものであるといえる。このようにして、人工知能が人間の代わりに労働を行うようになった際もできた商品が誰の所有物になるのかを決定することができる。

 では労働所有論及び一つ目の解釈に基づきかつ人工知能の人権を認めないのであれば、例えばある工場で工場主が車の材料と車を作るための道具を用意し、人工知能を搭載した車を作るための道具に命令して車を作らせた場合、その車は誰のものになるだろうか?一つ目の解釈をとるので、この工場主は労働をしていない。故に工場主は社会に対して車の材料にかかった費用と車を作るための道具の貸し出し費用の合計の費用だけしか請求することはできない。この車を作るための労働を行っているのは人工知能だが、人工知能には人権は認められていない。人権がない存在は所有権を持てないので、人工知能の活動は所有権を生まないのだ。故にこの場合は車は自然物となり、車は誰のものでもないということになる。よってその車は公共財として扱われるのが妥当であるということになる。ちなみに、私はこの考え方には否定的だ。しかし、この考えは、社会を発展させ、国際競争力が上昇する結果をもたらすことが予想される。なぜなら人工知能による資源の分配は市場による資源の分配よりも効率的になることが予想されるからだ。だがこの考え方は個人の自由を侵害しているとあなたは思うかもしれない。我々は今効率性と自由の取捨選択を迫られているのかもしれない。


まあこの、命令を下すだけで商品が手に入るという考えは私には絶対王政時代の王様の考えだと思いますけれどね。しかしこうでもしなければ人工知能が労働を置き換えた後の所有権を定義できないのです。

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