虐待③
“自分はダメな人間”
心と体に深く刻まれたメッセージ
消えない烙印はことある毎に疼く
根っこが腐った植物
土台が不安定な建物
病んだ心は躰を蝕む
どうせ何をしてもうまくいかない
自分なんて誰にも必要とされない
肥大した脳の映す現実は歪み
世界は絶望に満ち、光は届かない
差し伸べられた救いの手も声も、恐れはね除ける
公平な目で見て、私の母はあらゆる面で恵まれていた
お金に困らない贅沢な暮らし
伴侶である私の父はとても実直で働き者
子どもを三人産める強い体、体力もある
見た目もどこも悪くない
子育てそっちのけで趣味や旅行に好き放題お金を使い、友人知人も多く、遊び暮らしていた
いったい何が不満なのか?
乱高下する情緒で自ら不幸を作り出す
暴飲暴食を繰り返し糖尿病を発症したかと思えば、過度なダイエットにお金をつぎ込む
異常な心配症でいつも緊張と不安状態で、ご近所や人付き合いで距離感や接し方がおかしくて問題を起こす
数え上げたらきりが無いやらかしエピソードの山
自作自演の悲喜劇
悲劇のヒロインで毎日が生きるか死ぬかのひとりシェイクスピア
ひとりで勝手にあの世に逝ってくれ、と振り回され続ける我々家族は諦めていた
母の影響で姉二人も人格に問題だらけ
私も無気力で死んだように生きていた
父は悟りを開けるレベルの忍耐を強いられていた
虐待サバイバーにとって、現実は関係ないのである
どれだけお金があっても、社会的な成功
を手にしても、愛してくれる家族がいても
自分は不幸で虐げられる人間、という強力な催眠にかかっているようなもの
そんな母親に子どもとしては、本当に腹が立ったものだ
我が儘で恩知らずでどんな頭してるのかと呆れた
本人が考えを直さない限り、一生そのまま
自分の心は、自分しか入れ替えることができない
そして、ご存知引き寄せの法則
そんな心でいては、現実も次第に本物の不幸になる
我が家の地獄ヒストリーを書く気はないが、様々な事件が勃発した
こうして振り返ってみると、今だから面白い
当時はよく生きていた、生き延びられてよかったと思うが
ま、私は守護されているのでどちらにせよ死なない運命だったから
私の人生長くはない、と言い続けた母の現在
持って生まれた健康な体が災いして?!とても元気な高齢者である
病院からもそんなにマメに通わなくていいと言われ、暇な毎日を持て余している
しょっちゅう不幸ぶろうとして、小さな問題を大袈裟に吹聴するが、誰も相手にしない
トンチンカンは変わらず間抜けなおっちょこちょい老人のエブリデイ
父だけはいまだ諦めずに母に文句を言う不屈の精神の持ち主
愛なのかな?
私は母が何を言おうと信じられないお馬鹿なことをしていてもサラッとスルー
教えても言い聞かせても通じないのだから
ただ受け入れて愛して見守っている
幸せは気づくもの、ていうのは本当だね