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夜だから星は見える

「きみは、いい子だ。きみは、よく頑張っている。きみは、努力家だ。」この言葉達が「きみの、心が疲れてしまったんだね。きみの、。ペースでいい。」「君は、頑張りすぎだったんだよ。」に変わったのは、私が高校を入学して1週間経った頃だった。

月曜日、入学式。知っている子が一人もいないから緊張。火曜日、友達が出来るか不安。水曜日、仲良くなれた友達と仮入部に行く。先輩達がいい人ばかりで高校生活に期待が高まる。木曜日、また仮入部に行こうと友達に誘われる。昨日は仮入部で帰るのが遅くなり、満員電車だった。今日もその電車に乗って帰らなくては行けないと思うと、あまり気は乗らないが友達とも先輩とも仲を深める為、仮入部に行く。金曜日、授業が始まる。ここ2日間と同じ流れで仮入部に行く。

帰り道、涙が、止まらなくなる。

土曜日、一日中涙が止まらない。だが唯一寝てる時だけ止まる。その繰り返しをし1日が終わる。明日にはそれは止まっていると信じて眠る。日曜日、それは止まらなかった。明日は学校なのに。明日が来るのがとても怖い。明日がいい日になることを信じて1日の終わりにまた眠る。そしてまた月曜日。学校が怖くて行けない。そこから1ヶ月、情緒不安定。涙も流れる。家にいることが1番多い母が私を心配する。私は三姉妹の次女。長女と三女のことが見えていないのではないかというぐらい。母は私のことを心配する。でも私は、母には見えてない2人のことを気にはしなかった。それぐらい、自分の気持ちに、殻に閉じこもっていた。

それから1週間後の夜、我が家では父を含め5人全員で同じ場所に布団をひき、寝る。時計の針がもうすぐ2時になろうとしているその時、地震が起こった。私を含め、4人が揺れの大きさに驚いて目が覚めた。私はその時期、自分が今、死ぬかもしれないという状況でも何とも思わないぐらい、私の殻は頑丈だった。それは母も知っていた。母は咄嗟に私のことを守った。一番危険な起きていない1人がいるというのに。

地震がおさまった。と、同時に誰かの名前を呼ぶ声がする。あまりにも大きな声で呼ぶから、私もそれが誰の名前なのか理解出来た。姉の名前だ。ただ1人起きていなかった姉の名前だ。私は本能的に重い体を起こし、声が聞こえるところに近づいたが、そこに姉はいなかった。正確に言えば、一瞬では姉と判断出来ないほどの血が姉の顔を覆っていた。その時、今まで自分の殻の中で過ごしていた私は、急に現実に戻った。周りに紅に染ったガラスの破片が散らばっている。すぐに助けを読んで姉の手当をしてもらったが、姉は星になった。殻から急に出た私には、姉の姿が何よりも眩しく見えた。輝いているものがあったからこそ暗い殻から出ることが出来たのかもしれない。


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