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君の心、君の意志3

 戦いは始まってしまった。ロステルの速射が、俺たちの背後のミミックを吹き飛ばす。熱波が俺たちの背中を押すが、それも一瞬のことだ。


「ならば、何故! ドウツキさんは生きているのですか!」


 その爆風にかき消されることのないヒューバートの声が、ミッドと俺に叩きつけられる。彼の指先から、俺たちに向けてワイヤーが放たれる。銀のきらめきに捕まらないよう、俺は加速装置をつけて手品道具の物影に逃げ込む。


「ニューロさんやトール博士が死んだっていうなら、その身体は死人のもののはずです!」


 ワイヤーが台を掴み、隠れた俺から引き離す。ミッドがヒューバートの懐に潜り込むが、彼は臆さず重量級の義手を振るう。ミッドはその拳を振り払って素早く足払いを掛けるが、翻る燕尾服より早く、ヒューバートがぐんと引かれたような不自然な動きで後方へ下がる。

 ヒューバートは自らにもワイヤーを引っかけて、身体を操っているようだった。


「ミッド、ヒューバートの背中側にもワイヤーがあるかも!」

「何せ彼の舞台ですからね。狙ってみます。感謝します」


 俺はミッドに忠告しながらも、晴れない気持ちだった。自分の身体が死者のつぎはぎであることを指摘され、少なからず回路に痛みを覚えていた。

 回路を覆う痛みの正体は悲しみだった。ヒューバートは俺の顔を見て、ニューロマンサーではないと気付いてくれたと思っていた――だが、彼は今、俺の身体がニューロマンサーのものだと主張している。動くわけのないものだと、否定している。


(俺のこと、見つけてくれたわけじゃなかったのかな)


 そう思いながらも、俺は必死に自分の身を守る。


「人間も彼のように修繕できるというのなら、それを望んで何がいけないのですか……私たちと人間が、対等な時代だというのなら!」


 ヒューバートの言葉をひとつひとつまともに受けて、見えないところが傷ついていくのを感じながら、俺は次の障害物の背後に隠れた。誰にも顔を見てほしくなかった。きっと、ひどい顔をしている。

 俺は自我が確立していると、そう判断している。だが、確かに俺の身体は、かつて別の誰かのものだったのだ。分かっている。分かっているのに、今更否定されることに、回路が動揺している。

 鞄を探る指先が震えている。細く息を吐いて、俺は平静を取り戻そうと努力する。

 ふと、聴覚センサーが何かの稼働音を捉える。俺は物影から頭だけ出して、様子を伺う。

 緩慢な動きで、背後の警備システムが砲塔を動かしている。射線を確認すると、その先にはロステルがいた。


「ロステル! 前!!」

「!」


 彼は俺の通信に気付いてくれた。彼のコートを巻き込んで、鋼の翼が生える。


「うおう!」


 そのまま変な声を上げたクローディアを抱いて、彼は上空へ青い炎を羽ばたかせる。彼のいたところに、砲弾が直撃し、床を貫通して砂埃を立てる。


「ごめん、クローディア! 警備システムが視覚を使ってるか確認させて!」

「閃光弾だね。おっけー! こっちも観察してみる!」


 クローディアと通信のやり取りをして、俺は鞄の中から二発目の閃光弾を探り当てる。確実に、彼女たちが十分な間合いを取って着地したのを目視する。俺はピンを引き抜いて、勢いよく次の照準を定める警備システムに向けて投擲する。

 小さな爆発音と共に、眩い光があたりに満ちる。俺は光が落ち着いてから、警備システムの人型部分が「目」でロステルたちを追っているかを観察する。

 砲塔の動きが鈍り、かすかにブレている。素早く俺は鞄の中から小石を拾い上げて、今度は通路への道を塞ぐ牢屋に向けて放り投げる。手の震えからわずかに目測が外れたが、金属の柵に当たって、石は硬質な音を鳴らす。

 勢いよく、警備システムの砲塔が向き、砲弾が発射される。それは牢をめちゃくちゃに破壊して、壁にめりこむ。


(よし……退路は多分確保できた、よな)


 俺は視覚よりも聴覚反応を優先していると踏んで、物影から出るタイミングを伺う。


「何故ですか、兄様! ニューロさんとも、トール博士とも親しかったあなたが、二人を取り戻したくないわけはないでしょう! 私だって、慈悲深いあなたが、二人を愛していたことぐらい知っています!!」


 再び、ヒューバートの声が俺に届く。踏み出そうとした脚が強張る。


「何故、得体の知れない人格プログラム群に味方するのですか……」

「それが彼の選んだことだからです」


 ミッドははっきりと、そう言った。話を聞く余裕なんてないのに、俺は息を呑んで耳を傾けてしまう。


「私はデータを観察しました。彼の躯体と思考は、トールにも、ニューロマンサーにもなれる状態にありました。今も、そうかもしれません」

「だったら!」

「それでも、彼はドウツキであることを選んでいます。ニューロマンサーとして過去にすがることも、トールとして私たちと生きることも、選ばなかった。彼は一から積み重ね、立ち向かうことを選んだのです」


 燕尾服の翻る音と、ワイヤーの風切り音だけが、物影を超えて俺に届く。二人がどんな顔をしているか、分からない。


「健気で、尊いことではないですか」


 ミッドの声に、俺は顔を上げる。顔が見えないからこそ、俺にはその言葉が重たく、しかし、今までで一番柔らかいものに聞こえた。


「ならば、私は彼を、目的も主も保有しない、一族最後の弟(ラストナンバー)として迎えよう。そう決めた。それだけなのです」


 他の音が、一切聞こえなくなったように感じた。カメラアイが熱くなるのを感じた。冷えた躯体の奥底が、温かな熱を持つのを感じた。手の震えが止まっていく。拳を、握る。


「兄様……」


 一瞬止まっていた音がまた動き出す。俺にはそれが識別できる。ミッドの衣服のはためく音と、義手とシールドを張った彼の指先が擦れる音がする。たたらを踏む音がして、ヒューバートの小さな悲鳴が聞こえる。

 だが、すぐにワイヤーがうなる。ややあって、革靴が床を叩く音が二つ聞こえる。別の場所では、砲塔を付けた警備システムが動き回って、ロステルたちを狙っている。俺は物陰から、もう一度動くタイミングを探る。


「でも、私も譲れないんです」

「分かっています」

「私はサリタ様がいないとダメなんです。また知らない人に預けられて、暴力に晒されるかもしれないなんて、嫌です」

「ええ」

「もう後戻りできないんです……」

「……ええ」


 ミッドはただ、ヒューバートの悲しげな声を聞いていた。その声は、無感情に努めてはいない、優しいものだった。引き留めることはできるのかもしれないが、彼はそれをしなかった。ミッドは、ヒューバートの意思を尊重していた。


「……!」


 砲塔から砲弾が射出される。その隙を縫って、俺は切断マジックの台の影へと走り出す。爆音の中、ミッドとヒューバートが向かい合っているのを、目に焼き付ける。


「サリタ様を生き返らせて貰ったら、後で必ず直します。だから、壊れてください……兄様!!」


 ヒューバートが手のひらのあたりからワイヤーを振るう。ミッドがシールドを張った腕で受け流し、指先にエナジードレインの紫の炎を灯して手を伸ばす。しかし、ヒューバートは彼の接近を許さない。

 彼らを横目に見ながら、俺は物影に飛び込んだ。緊張感に身体は強張るが、もう動けないほどではない。


(大丈夫。俺に、できることをしよう。俺は、俺でしかない……!)


 俺はポーチと鞄の中を確認する。財布二つ。短剣が一つ。ペンライトが一つ。緊急用バッテリー一つ。投擲用の閃光弾があと一つ。ヴォルカースから貰った機械用の応急手当セットが一つ。ロープと目印用のチョーク。小石は使った。あとはトーチの束と金具とハンマー。ワイヤーをくくった金具。隠し部屋から手に入れた、いくばくかの資料。そして、炸裂弾が一個。


(あの警備システムの中枢回路がどこにあるか分かれば……)


 俺は非力だ。だけれども、非力は非力なりの抗い方がある。頭を使って、隙を作ったり、ロステルたちの手助けをする。それがきっと、俺の今の仕事だ。

 慎重に、俺は再び顔を出して、まずはロステルたちの様子を確認する。


「ロステル君、任せてごめんね!」


 クローディアが膝を突き、ライフルを構えている。彼女もおそらく、警備システムの中枢回路を狙っている。ロステルはといえば、飛び交うグレムリンを掃射したり、迫るミミックを撃ったりと、かなり多忙な対処を求められている。


(ロステルが魔物以外に砲を向けてる……?)


 そこで俺は、彼の行動に、わずかな違和感を覚えた。一瞬の隙を見つけては、彼は警備システムに砲を向けているのだ。だが、かたかたと震えて、撃つことができずにいる。


「無理しなくても大丈夫だよ」

「あ……。う……。お、オレの、い、意志……魔物、魔物……まも、の」


 クローディアの呼びかけに、彼は呟き続けていた。ロステルは魔物にしか意識が向けられないはずだった。それが今、警備システムを攻撃しようとしてくれている。遠目からでもブローチの炎が燃え上がり、彼を縛り付け、苦しめている。

 焦りそうになるのをどうにかこらえて、俺は鞄からワイヤーのついた金具を取り出した。その金具の一つを炸裂弾の胴部に結わえ、ポケットにしまいなおす。

 そして、警備システムの脚の可動部をしっかりと見て、確信する。

 必要なのは短剣ではない。ハンマーと金具、あとはトーチだ。


「クローディア、聞こえる?」

「うん、聞こえるよ。どうしたの、ドウツキちゃん」


 通信が無事に届いてほっとする。


「中枢回路の場所にアテはついてる?」

「うーん、人型の頭のとこにあったらいいなって感じ。囮かもだし、もうちょっと観察できたら嬉しいかな」

「足止めすればいける?」

「やれる?」

「援護があれば」


 クローディアは、俺にやれるかどうか訊ねたが、そこに悩む間はなかった。だから、俺も彼女の力を頼る。すると、彼女はライフルの照準を、脚の近くに合わせてくれる。


「いいよ! 危なかったら、すぐ加速装置使って逃げちゃって!」

「ありがとう。やってみる!」


 俺は通信を切って、ハンマーと金具を手に、じりじりと物陰から身を乗り出す。砲台がロステルたちの方へ向くのも、あまり好ましい状態ではない。

 金具の数を数え、大丈夫だと判断して、俺は手持ちの金具を警備システムの近くに向けて放り投げる。

 警備システムまで届かず、金具はごく軽い音しか出さなかったが、それで十分だった。

 砲台が金具の落ちたところへ向くのを確認し、俺は物影伝いに警備システムへと接近する。


(あっ……アマナの斧……!)


 近づいてやっと、俺は警備システムの尾についているものに気が付いた。

 アマナの斧だった。サソリの尾のようなパーツの先に、ワイヤーでがっちりと括り付けられている。


「う、うわっ……!」


 警備システムは俺が接近したことに気が付くなり、尻尾を振り回し始める。俺はとっさに加速装置をつけて、後方へ下がる。ほんの少し当たっただけで、切断マジックの台がばらばらに砕かれる。

 俺は思考する。どうすればいいか。ふと、上部を見上げる。鳩のぬいぐるみたちに紛れて吊るされる檻に、俺は目を付ける。


「クローディア、檻を吊るすワイヤーを狙ってくれないか!」


 通信で訊ねながら、俺はハンマーで壁を叩き、物音を鳴らして、警備システムの注意を引き寄せる。警備システムがこちらを向いて、じわじわと接近してくる。俺なんて、一撃受けてしまえば壊れてしまうだろう。恐怖がないわけではない。緊張感が俺を包む。


「ははーん、なるほどね。ドウツキちゃんも悪知恵が働くようになったねえ」

「そ、そういうの今はいいから!」


 遠くでクローディアがにやにやと笑っていることに気が付いて、俺は困惑気味に通信を送る。けれど、緊張が和らいだことを実感する。

 あと少し、あと少しと、俺は必死に警備システムをおびき寄せる。そして、まさにそれが檻の真下に来た時、頭上を一筋の光が通り過ぎる。

 支えを失った檻が、警備システムの上部めがけて落下する。

 ほどなくして、轟音が響き渡った。警備システムの頭上に檻が衝突し、人を模した部分が著しく歪む。火花が散り、機構が悲鳴を上げる。

 同時に、檻の中からグレムリンが飛び立ち、ミミックがこぼれ落ちる。

 ロステルがそれに照準を合わせ、砲撃を浴びせる間に、俺も加速装置を付けて警備システムの下へと潜り込む。


(うまく行けばいいけど……!)


 俺の狙いは警備システムの脚部、その可動部分だ。システムがもがくうちに金具を押さえつけ、関節にハンマーを叩きつける。甲高い音を立てて、金具が固定される。


「……!」


 そして、俺はトーチを取り出し、関節の動きを阻害するように、金具に差し込んだ。がちゃがちゃと音を立てて、警備システムは動こうとするが、トーチは俺が想定していたよりも頑丈なようで、ちょっとやそっとでは折れたりしない。


(今のうちに!)


 ポケットの中から、俺はワイヤーを取り付けた炸裂弾を用意する。ピンを外す必要はない。クローディアとロステルの様子を確認し、くるくると勢いを付けて回す。

 が、微細な金属音と共に、俺の前に降ってきたものがあった。


「させませんよ」


 ヒューバートがワイヤーを切って落としてきたのは、鳩のぬいぐるみだった。俺は意図を考えるより先に、鳩のぬいぐるみから離れる。その胴体に、何かが包まれていることに気づいたからだ。


「――、っ……!!」


 ぬいぐるみがワイヤーで切られると同時に、中から綿と光、そして熱があふれ出す。ほどなくして、爆発音が俺の聴覚センサーを穿った。声のない悲鳴を上げて、俺はあっけなく警備システムの近辺から吹き飛ばされる。ロステルたちとは、警備システムを挟んで反対側だ。


「ドウツキ!」


 ミッドが俺にシールドを展開してくれたのか、怪我自体は軽微なものだった。

 だが、ショックでセンサーの類が混乱している。ふらつきながら、俺はどうにか立ち上がって、炸裂弾を探す。すぐ側に落ちていたことに気づいて、俺はよろける脚に鞭打って拾い上げる。物陰に隠れて、自衛に努める。


「けほっ、けほっ」


 思ったよりも走ったからか、それとも今の衝撃で誤作動しているのか、喉から咳が出た。


「く……っ」


 ミッドが苦戦しているのか、小さなうめきを漏らしたのを、俺は聞き逃さなかった。炸裂弾を一度床に置いて、最後の閃光弾を手に取る。使えるものは何だって使う。それは、道具だって、知能だって、同じことだ。


「ミッド! 『炸裂弾』行くぞ!」


 俺は通信を飛ばし、閃光弾のピンを抜いて放り投げる。


「邪魔しないでください……!」


 ヒューバートが俺の方へ振り向き、ワイヤーを振るう。だが、それでいい。俺は急いで伏せる。ミッドは閃光弾のラベルを見て、視線を逸らす。ロステルとクローディアは、警備システムの影だ。

 激しい光があたりを包み込む。


「っ!?」


 ヒューバートだけが、その眩い光を直視する。ミッドの方から、かすかな魔術を唱える声が聞こえる。そのデータを、俺は漁る。

 そう、宿場町A-3で聞いたことのある言葉だった。

 光が収まった時、ミッドの姿はどこにもなかった。気配遮断ステルスだ。


「どんなに上手に隠れたって、私に『嘘』はお見通しです!」


 ヒューバートがステッキを振るう。あちこちから、ワイヤーの切れる音がする。いくつも吊られた鳩のぬいぐるみが、ぽろぽろと落ちてくる。

 俺はとっさに、体を丸めて爆発に備える。

 けれど、俺はぬいぐるみたちに気を取られて、警備システムの砲塔がこちらに向いていると気付くのに遅れてしまった。


(まずい……もう動けるのか!)


 俺は物陰から飛び出し、箱の山の後ろへと飛び込んだ。さっきまで俺のいたところは、砲弾に抉られて跡形もなくなっていた。警備システムは不規則に火花を散らし、脚に引っかかったトーチで立ち上がれずに崩れ落ちる。

 あちこちから爆発が響き渡る。箱の雪崩に巻き込まれながら、俺はミッドの姿を探す。彼はまだ姿を見せない。クローディアがロステルを抱いて、爆風から守っている。


「降伏してください。私が胸からブローチを抉り取りましょう。それで終わります」


 吹き荒れる熱風の中で、ヒューバートだけが金の目をぎらつかせて立っている。彼はロステルのいる方へ向けて歩き始めている。


(ダメだ、そんなのは……!)


 ロステルが自らを投げ出してしまわないかと、俺は彼のいる方へ視線を向け直す。


「……れ、は」


 その時、声がした。ロステルの、枯れたか細い声だった。彼は震える手で、ブローチに手を伸ばす。ブローチは赤々と燃えて、彼の接触を拒絶する。


「た、たたかわなきゃ。ダメなんだ。ま、魔物、魔物も、破壊、させて……やるから」


 ロステルはブローチに語りかけていた。震える奥歯の音が聞こえてくるようだった。


「ロステル君、危ないよ。あたしたちが守るから、大丈夫だよ」

「……炎は、へいき、だから」


 クローディアに守られていた彼が、よろけて立ち上がる。嵐のような戦火に、彼だけが向き合っている。


「た、のむ。彼らが、しんでしまうんだ。いやだ……そんな、の」


 彼の束ねられた桃色の髪が熱波になびく。


「たのしくて、あたたかくて、そんなのが、おわるのも、いや、だ」


 彼は苦悶の表情を浮かべながら、ブローチに手を伸ばし続ける。


「お、おまえが、おまえが、どうぐ、だと……いうなら。意義をはたしたくて、魔物を壊すと、いうのなら――」


 俺は赤く揺れる景色の中で、はっきりと見た。

 ロステルの灰混じりの青い瞳が、光を宿しているところを。苦しみを抱きながらも、前にもがこうと燃えているところを。


「おまえを、つくった、一族のオレに、力を貸せ……! 『厄災』になったって、いい……! 一緒に、オレの意志で、戦わせろッ!!」


 明瞭な声で彼がうなり、叫ぶ。彼の焦げた白手袋が、ブローチに届き、しっかりと握る。彼の手の中で、ブローチがこれまでにない激しい炎を噴き出す。

 その炎は、彼自身を包み込んだ。ヒューバートが間合いまで踏み入れると同時に、躊躇無くワイヤーを振るう。銀糸がロステルの炎の繭、その喉元に迫る。

 だが、俺の目の前を覆ったのは、まったく別の光景だった。

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