登場人物一覧と今までのあらすじ
こちらには登場人物と開示した章までの全体的なあらすじが書いてあります。
先にオチを知っておいて読みたい方、地雷がないか確認しておきたい方は、こちらをご利用ください。
【ドウツキと旅の同行者】
名前:ドウツキ
種族:アンドロイド(Mid_Bird型)
データを失ったアンドロイド。右半分の人工皮膚と眼球を喪失し、代替品の義眼を付けられている。
筆記と発声に問題があり、できることは通信による意思疎通のみである。
【主人公】
*
名前:ミッドバード
種族:アンドロイド(Mid_Bird型)
Mid_Bird型のプロトタイプ。最も人間に近いとされるアンドロイドだが、心を閉ざしている。
内心は情に篤く、ほぼほぼ友好的。クラクとは腐れ縁。人間らしいと言われることが苦痛。
【一章から参加】
*
名前:クローディア
種族:アンドロイド(Mid_Bird型)
ミッドバードがプロトタイプであるなら、クローディアは初号機である。
男性型躯体を放棄し、今は女性型躯体に換装して、魔物専門の狩人として暮らしている。
明るく快活で、ミッドバードのことをみーくんと呼ぶ。
【二章から参加】
*
名前:ロステル・ファニング
種族:わすれがたみと人間の混血
本来この世界に存在する原生種の血を引く青年。
現在は魔法のブローチによって呪われており、意思が不安定。
ドウツキと契約を結び、相互で通信装置なしの意思疎通が可能。
【二章から参加】
*
名前:アマナ
種族:?
身体に蔦を生やした、一見して少女めいた人型。
自由に操れる蔦と大柄な斧も操る怪力をもって相対する。
その倫理観は独特だが、常に核心にある。
【三章から参加】
*
名前:ニエルル
種族:エルフ
人間が作り出したエルフと呼ばれる人工種族。
だが、本人はエルフとしての自覚がなく極めて人間寄り。
ちょっとしたことから巻き込まれ、旅に同行する。
【五章から参加】
【ドウツキの旅の最中に出会う人々】
名前:グリンツ・ファニング
種族:???と人間の混血
緑の髪を長く束ねたリムレス眼鏡の青年。
兄に味方し、兄に味方してほしいがために彼に執着しており、自立困難になっている。
わすれがたみとはまた別の血を引いている。
【二章から参加】
*
名前:クラク
種族:地球移民(人間)
ミッドとは長い付き合いの地球移民。いわゆる人間。体格がよく、目立つ。
社交的で明るく、暗くなりがちなミッドによく絡む。彼は女性型の機械以外を愛せない。
【一章から参加】
名前:ヴァン・ファニング
種族:地球移民(人間)
三つ編みをした品の良く明るい老人。
街を取り仕切るファニング商会の現当主であり、その手腕は天性のものである。
が、その代償か、彼は家庭内のことに極めて疎い。
【二章から登場】
*
名前:イデアーレ
種族:機械種
宇宙を経て、人間とは違うところからやってきた金属でできた種族の少女。
彼らは最善・最高効率を求める傾向にあり、彼女は人間を知るというために人間に近い姿で形成されている。
それは消えぬ約束。理想の佳人のかたちをした、ドウツキの心に宿る誓いのかたち。
【一章で別れる】
――――
【第一章あらすじ《自己を定義する話》】
あるアンドロイドが、機械の街で再起動を果たした。
機械の街で暮らすミッドからドウツキと名付けられた彼は、機械の街の探索へと赴く。
探索の最中に遭遇したクラクに人間と不穏な噂について教えて貰いながら、ドウツキは鉄塔図書館と呼ばれる街の中枢へ脚を踏み入れる。
賑やかな少年少女とすれ違い、ドウツキは談話室でイデアーレと名乗る少女に出会う。
同じ機械だけれど見えているものは違う――彼女と明日出会う約束をして、ドウツキはミッドの家に帰還する。
ミッドの家でクラク・ミッドと会話をするうち、ドウツキは「帰ってきて」とどこからか聞こえる声に怯える。
何もかもが不確かなまま、彼はベッドで休眠状態についた。
翌朝、ドウツキはクラクの食事に付き合うため、サンドイッチの店に同行するも、食事の最中に昨日すれ違ったガイノイドが破壊されていることを臨時ニュースで知る。
店を飛び出したクラクを狙って落とされたであろう消火器を見て、ドウツキの中に不穏な感情が満ちる。
クラクと別れ、家に戻ったドウツキは、ミッドから機械の街で起こっている事件のあらましについて教えられると同時に、彼の家の地下にある同族たちの死体安置所を見せられる。
情報を積み重ね、自らの躯体がミッドにとって何番目の弟のものか問うドウツキ。
ミッドは、ドウツキの躯体を四番目の弟――すなわちNeuromancerだと答えたのである。
一度は動転して逃げ去ってしまったドウツキだったが、自分なりに真相を探るべく、再び鉄塔図書館へ足を踏み入れる。
再び出会ったイデアーレに心情を打ち明け、今日の夜の月食を一緒に見ようと約束する。
しかし、自らのスペックを知ったドウツキは、彼女に対して疑問を抱く。彼女に渡した硝子の板が、自分たちを構成する記憶装置かもしれないと勘付いてしまったのだ。
悩むドウツキに手を差し出してくれたのは、昨日ガイノイドの話を聞いていた、賑やかな少年少女たちだった。
少年少女たちからイデアーレの違和感を伝えられたドウツキは、飛び出してしまったことを詫びようと、ミッドの家へと戻る。
そこで見つけた小箱のダイヤルを回しながら、葛藤と己の過去との対話の末、ドウツキは逃げずにイデアーレに会いに行く決心を固める。
月食の空の下、ドウツキはイデアーレから真実を聞く。彼女こそが、Neuromancerの名を借りてアンドロイドの記憶装置を奪っていた張本人であること。その動機と、確固たる意思、そして周囲を飛び交うグレムリンに押され、死を覚悟するドウツキ。
しかし、その窮地を救ったのは少年少女たちの願いを受けて駆け付けたミッドとクラクだった。
機械たちに連行されるイデアーレと約束を交わし、ドウツキは無事にミッドやクラクと帰還する。
無事に騒ぎを収束した彼らは、それぞれの生活へと帰っていく。
各地を転々とするミッドに、ドウツキはついていく意思を示す。
かくしてミッドとドウツキは人間たちの街、岸壁の港町へと向かう。その空を遮るガラスは、もうどこにもない。
――――
【第二章あらすじ《他者のありようを知る話》】
ドウツキたちは機械の街から岸壁の港町に向けて進む最中、乗合馬車で宿場街A-3に到着した。
一つのキャンプ場と三つの大きな宿から構成されるここは、二つの街を結ぶ重要な宿場街である。
魔物避けの光に守られているこの場所で、ドウツキは姉のMid_Bird-001であるクローディアと、岸壁の港町の現当主の息子ロステル・ファニングと遭遇する。
この場にいないはずのロステルに驚愕するミッド。
クローディアを加えた一行は魔物避けが消えた不穏な夜に、砲撃手と呼ばれるロステルを探しに出る。
宿の一つで恐ろしい魔物であるオークに襲撃される一行。ロステルの乱入もあって辛くも勝利するが、ロステルは自責と自傷で押し潰されそうな状態にあった。ドウツキは彼を救助し、疲弊したミッドと共に元の宿へと一度帰還する。
復活したミッドは、魔物避けが消える中、原因がもしかしたら人為的なものではないかと疑い始めていた。一方でドウツキは緑の髪の青年と遭遇し、ロステルをきちんと守るよう忠告される。
それは、ロステルを自己判断で迎えに来たファニング家次男のグリンツ・ファニングであった。
魔法によってドウツキを機能停止に追い込まんとする彼から情報を引き出し、交戦するミッドと、せめて自分にできることをと抵抗するドウツキ。
彼らを助けたのは、他ならぬ助けられたロステルであった。
奇妙な魔法の詠唱により、ドウツキは機能停止を免れ、夢によってファニング兄弟の束の間の過去見る。
朝、ドウツキが起床すると、魔物避けの修繕が行われていた。指揮を執る老人に話をしないかと持ちかけられ、彼はオークに襲撃された宿へと向かう。
かの老人こそが、ファニング家現当主のヴァン・ファニングであった。
先走って独断で兄を助けに来たグリンツを連れ戻しに来たというヴァン。ドウツキは彼にロステルの保護をしてもらうよう持ちかけられる。そんな中、一度はヴァンたちに確保されたグリンツが脱走したとの連絡が入る。
魔法の力を暴走させてしまったグリンツと、一行は相対することになる。
騒動が終わり、逃げ場を失ったグリンツ。人を拒絶する彼を連れて、一行はヴァン氏の厚意により岸壁の港町へと護送される。
一人物思いに耽るミッドの眼下で草がそよいでいた。
――――
【第三章あらすじ《他者と折り合いを付ける話》】
岸壁の港町に到着したドウツキたちは、Mid_Bird-008ことヴォルカースの診療所へ訪れる。メンテナンスの折、かすかな異常を見せたドウツキに、ヴォルカースは人格プログラム群が安定していないと指摘する。
そんな中、預かったグリンツとロステルの食事を作るため、ドウツキは彼らと一緒に岸壁の港町へと買い出しに出かける。グリンツに振り回されるドウツキだったが、どうにか食材を買い終える。が、その帰り道、ならずものに襲撃を受けて一人捕縛されてしまう。
ファニング商会への身代金を企むならずものに捕らえられた彼は、一人の少女に命を救われる。大斧を背負った少女の名はアマナ。ヴォルカース診療所の二階に間借りして住み、仇討ちの相手を探していた。
ミッドたちの救助もあり、診療所に戻ったドウツキは、グリンツとの会話を経て、翌朝アマナを護衛にファニング商会に手紙を渡しに行くこととなる。その折、ファニング商会の六兄弟のうちの五男と六男、ウィリアムとフェオに遭遇する。
グリンツやロステルの話、あるいはかみさまの話を彼らから聞き、束の間の街を楽しむドウツキ。
しかし、診療所に帰るとほぼ同時に、ロステルに異常が発生する。魔物を求めて森へ飛び去る彼を追って、ドウツキたちは夕暮れ時の森へ突入する。
そこで出会ったのは顔を機械で隠したアンドロイドであった。死んだはずのNeuromancerに酷似したその姿にドウツキの回路は混乱する。彼はロステルを捕縛しようとする相手方と対立し、ミッドの消耗と引き換えにアンドロイドを追い払うことに成功する。
夜は魔物の時間である。ムツアシに乗ってロステルを連れ帰ろうとするグリンツを説得し、ミッドだけでも連れて行ってもらい、ドウツキはクローディア、アマナと共にヴォルカース診療所への帰還を開始する。
間一髪、先にヴォルカース診療所で待っていたグリンツの手助けにより難を逃れたドウツキは、ミッドが無理をしてまでアンドロイドを阻止した理由を尋ねる。そこにあったのは、彼が愛の告白を拒絶してしまったマリア・ダンカン博士との確執であった。
ミッドのしがらみをほどくため、ドウツキはアマナを加えてマリア博士のいた場所――工業都市へと向かうことを決意する。
翌朝、ホームステイを終えたグリンツ氏が一人去った空は、爽やかな風を孕んでいた。その眼下で、地球移民たちが暗躍していることも知らずに。
――――
【第四章あらすじ《他者と対立する話》】
西の工業都市を目指し、乗合馬車で宿場町B-5を経由するドウツキたち。
その道中、様々な種族の遺跡に囲まれた宿場町B-5の街角で、手品のショーをするMid_bird-006"Hubert"に出会う。Neuromancerを知るヒューバートと知り合い、ホテルを案内される一行。
一向に現れないヒューバートの主に疑問を持っていたところ、彼から驚くべき事実を告げられる。
ヒューバートは近隣の遺跡の奥で、主である手品師マダム・サリタとはぐれてしまったという。
マダム・サリタを探すためにヒューバートと共に機械種の遺跡に入り込むドウツキ。だが、至る所に張り巡らされたワイヤートラップや、冒険者用の道具による罠に疑問を抱き始める。
はぐれた仲間を集め、時に忘れられた手帳から世界を知る手がかりを得て進む一行。しかし、遺跡の奥には、はぐれたはずのヒューバートが警備用の機械と共に立っていた。
誠実なアンドロイドであるがゆえの裏切り。ヒューバートの目的は工業都市の主と結託し、遺跡で命を落としたマダム・サリタの蘇生にあった。
激しい応酬の中、少しずつ自我を取り戻してゆくロステルにも背を押され、ドウツキはヒューバートの企みを阻止する。しかし、直後に訪れたのは「そもそもマダム・サリタを蘇生させる算段などない」という、工業都市の主からの冷たい悪意と、限界を迎えたヒューバートの記憶装置の損壊だった。
その回路の隙を狙うように、ドウツキ自身も『Neuromancerに似た同型機』に誘拐されそうになる。すんでのところで回避された誘拐は、件のアンドロイドの『ビショップ』という名乗りと共に終了する。
同型機の死。その鮮烈な悲しみを抱えたまま、ドウツキたちはいよいよ『工業都市』に向かう。
――――
【第五章あらすじ《他者に悪意を向けられる話》】
『工業都市』と『研究都市』。その二つの都は、いかにもな中世ファンタジーで飾られた偽装の都だった。
ドウツキたちは街に到着するが、アンドロイドが単体で歩けるような場所ではないことから、ロステルの兄弟であるファニング兄弟の三男イゲンを頼る。
仮面を付けたうさんくさいイゲンに歓迎される一行。そこには、機械の街で出会ったクラクの姿もあった。
アマナの正体についての推測、彼女の育ての親であるカレルの痕跡。エルフになりきれないエルフや、工業都市の塔で勤務するシーニャとの関わりから聞ける様々な事情。
それらを集めていた折に偶発的に起きたヨルヨリの襲撃を切り抜けた時、ドウツキを助けたのは他でもないファニング家第二子のグリンツだった。
ヒューバートの件について、工業都市の主クーネルに真相を訊ねにいくも彼は不在。悪趣味な歓迎を受けた一行は奇跡的な逃亡を果たし、マリア博士がいたという『研究都市』の方へ脚を向ける。が、そこでは機械種の姿が。彼らはがらんどうの都市で掃討を始めていた。
彼らから隠れ、マリア博士の場所にたどり着き、彼女の残した遺言を聞くミッド。あくまでも、自分本位な要望に、彼は改めて和解がないことを悟るが救いを感じていた。
一つの結末が得られたのもつかの間、マリア博士は『ビショップ』に殺害されていたことが明らかになる。
潜んでいた彼に襲撃を受けた一行は、彼の根城であるヨルヨリの拠点『銅の月の教団』に身柄を拘束される。
どこまでもかみ合わないビショップから辛くも逃れ、ドウツキは全員の身柄を解放するため、単身隠密行動を取る。その道中、彼は森で会ったエルフ、ニエルルに再会する。彼女も、ビショップに拘束されたのだという。
ドウツキとニエルルは、二人で牢獄へと向かう。そこにいたのは、重傷を負った仲間たちと、不在のクーネル氏だった。
やむなく共に脱出する道を選んだドウツキは、彼から驚くべき事実を告げられる。
機械の街。工業都市。岸壁の港街。今まで自分は『かみさまの場所に至るためのコンパス』として、各勢力に泳がされていただけだ、と。
これからの時代を告げるのろしのように、機械種の攻撃によって燃え上がる二つの都市。都市から脱出し、一行は本来ならば立ち入りを禁じられている北方の地に逃走を始める。
最強の魔物であるドラゴンがつけたといわれる『ひづめあと』。地の底まで裂けた谷に掛かったたった一つの橋の上で、一行はクーネルの忠信であるシーニャと対峙する。
圧倒的な戦力を前にした戦いにクローディアとクラクだけを逃がし、ドウツキとロステル、そしてニエルルは奮闘むなしく『ひづめあと』へ落下する。
ドウツキを引き上げようとしていた腕をシーニャの大鎌に刈り取られた、ミッドだけを残して。
巨大な谷『ひづめあと』に落下したドウツキは夢の中で、あの日別れたイデアーレに再会する。
弱音を吐き、それでも問いの答えを求め、再び彼は旅に出る。多くの仲間が消息不明になった今、彼の側にいるのはロステルと、巻き込まれたエルフのニエルルだけである。
再出発は『ひづめあと』の底から。物語の底があった時、登場人物は上がろうと藻掻く。
――――
【第六章あらすじ《他者を自分の外へ遮断する話》】
ドウツキたちは北の地で行動中だ。もしかしたら、この世界の真相がついに彼らの前に現れるかもしれない。