第8話 軍師、金髪美少女?が仲間になりました。
更にテコ入れ!金髪ロリを追加!
ここ最近はほぼ徹夜で移動だったり、いつ襲撃されるか分からないという緊張感もあってろくに眠れなかった、しかし昨日はその心配をせずにベットで眠れた。
慣れない乗馬で疲れていたし、ゆっくり風呂に入れた事も有り、夢も見ずにグッスリだったよ。
スッキリと目ざめ、ベットから起きて「さてどうしよう?」と思ったところでドアをノックする音。
「どうぞ」と声をかけると入ってきたのは、使用人、まあ俗にいうメイドさんだ。
「朝食を部屋に運んでもいいですか?」と言う事を聞かれたのでお願いする。ついでにトイレと洗面所の位置を聞き、顔を洗ってサッパリしたところで朝食。
食べている最中、飲み物の給仕をしてくれたメイドさんからの報告。
「朝食を食べ終えて、準備が出来たら昨日の応接室に来るように」と言うフランシスコ子爵からの伝言。昨日言っていた「話し合いの場を作る」と言う奴だろう。
遅れてはいけないと、手早く朝食を済ませて、応接室に向かう。
ほどなくレイエスさん、子胥さんが到着、二人ともよく眠れたようで、特にレイエスさんは見違えるように元気を取り戻していた。
軽く言葉を交わした後、昨日と同様「レイエスさんがソファーに座り、自分と子胥さんがその後ろに立つ」という体制で、子爵の到着を待つ。
「待たせたかね?」
そう言いながら入ってきた子爵にレイエスさんは立ち上がり、改めて感謝を述べる。
そして、これからについての話し合いが始まった。
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一先ず命の危険は去ったものの、これからの方針、問題は「アーリー卿に対し、どう対抗するか」だが。
秘密裏に手を廻し味方を増やして政争を仕掛けるのか、名分を手に入れ兵を起こし戦争を仕掛けるか、それとも少数精鋭による暗殺か・・まあ何をするにしても情報と人材、資金が必要なのは間違いない。
レイエスさんとしても、早く恨みを晴らしたい気はあるが、現実が見えない訳ではない。
まずはブラウンウイック王国に対し密偵を送り、情報を得る事を優先し、そこから行動方針を決めるのが現実的と言う案に纏まった。
そしてレイエスさんがその為の拠点として活動するための家、活動資金などをフランシスコ子爵が提供してくれる事となり、取りあえずの資金として金貨1000枚が、自分と子胥さんにも自由に出来るお金として金貨20枚ずつが用意されている。
自分は「金貨1000枚ポンとくれるなんて、流石貴族って金持ってるなー」とか思うだけだったのだけど、子胥さんはキチンと居住まいを正し
「この様な状況の中、過分な厚遇を感謝いたす、今返せるものは何も無いが、このご恩は忘れぬ」と、堂々とした言葉を返す。
慌てて自分も姿勢を正して子胥さんと一緒に頭を下げた、こういう所本当にカリスマなんだよな子胥さんって。
フランシスコ子爵としても、まさか単なる「護衛の私兵」からその様な口上が返ってくるとは思って居なかったのだろう、「良い、レイエスの力になってやってくれ」と言いつつ、感心した様子だった。
さて情報、カネの目途はついた、後はヒト、つまり信頼できる人材と言う事になるのだが、ここで子爵から一人の人物を紹介される。
「レイエス達に協力する形で共に行動してもらい、君達と私との間の連絡役も務めさせたいと思う・・・レイを呼んでくれ」
子爵の言葉に、そばに控えていたメイドの一人がその人物を呼びに行く。
「コンコン」
ほどなく扉をノックする音がして、子爵が入るように促す。
静かに扉を開けて入ってきたのは、15,6歳であろうか?顎のあたりで切りそろえた金髪のボブヘアーと、サファイヤの様な青い目が特徴的な美少女だった_______
「私はレイエスが必ず生きて私の所までたどり着くと信じていた、だからこそレイエスの父、エフリエス伯が謂れのない謀反の罪で捕縛されたと聞いた時から、カーセン教団に強く求めて、あの死霊術師に対抗できるであろう存在の召喚を密かに行っておったのだよ」
おお、と言う事は・・この美少女は、真っ当な勇者召喚で呼ばれた存在!?
自分の思いを肯定するかのように子爵が続ける。
「一見ただの少女の様に見えるかもしれないが、カーセン教団由来の浄化の力と、転生者特有の高い能力、頭脳を持っておる、必ずや力になるだろう」
「名を『レイ』と言う、レイ、エフリエス卿達に挨拶を」
促されて少女が可憐な唇を開き挨拶をする。
「初めて御目にかかります『レイ』と申します、よろしくお願い致しします」
それはそれはハスキーな、イケメンボイスであった。
「お前もかよ!!!」
何でこの世界の転生美女(美少女)は中身がみんなオッサンなんだよ!!
せっかく「レイか・・なんかイメージとしては綾波って感じだよねっ」とか思ったのに、声だけ聴いたら南斗水鳥拳の方だったよ!!!
フランシスコ子爵が子胥さんの声を初めて聴いた時の反応「・・・なるほど」の意味が分かった。
出来るなら分かりたくなかった!!
「・・・レイ・・・蠡、この声・・お主、まさか范蠡か!?」
「やはり伍子胥殿には解ってしまいますか、お久しぶりです、フフッ、生前はお世話になりました」
まさかの知り合い!?
普通そのパターンなら「まさか、、君もあの時代の日本から!?」っていうパターンじゃないの!?
何でそっちが増えてんの?
あとレイ、「生前はお世話になりました」って遺族が言う言葉だから。本人が言うもんじゃないから!
そんな自分の混乱をよそに、子胥さんとレイは旧交を温めている。
「私の死んだ後、「呉」はどうなった、やはり滅んだか?と言うより滅ぼしたか、と聞いた方が良いか?フハハハ!」
「ええ、伍子胥殿もおらず、調子に乗った夫差を諫める者もいない「呉」を滅ぼすのは訳もありませんでした、フフッ」
「しかし夫差も最後に自害する段となっては「伍子胥に合わせる顔が無い」と、遺体の顔を布で覆うように言い残して死んだと、そう聞いています」
「ほう!?夫差も中々殊勝な所が有るではないか、では「越」はどうした」
「我が国「越」も「呉」を滅ぼした後、句践が調子に乗りましてね、結局滅びましたよ、私はその前に越を離れましたがね」
「やはり其方と言い我が国の孫軍師と言い、真の知恵者は機と言うものを解っておるな」
「フハハハハ」
「フフッフフフ」
旧交を温める話の内容が、物騒&壮大すぎる!!
「うわ~久しぶり!、そう言えばあれってどうなったの?」みたいなノリで、国の滅亡について話さないで!!
あれ?
「今の話を聞いた感じ、生前二人は敵同士だったって事?」
「おうコウ殿、察しが良いな。こ奴は范蠡、宿敵「越」の軍師であった男だ。こ奴さえ居なければと何回思ったか・・それ程の切れ者よ」
「伍子胥殿、それはお互い様、あなたと孫軍師が居なければ「呉」はもっと早く滅びていたでしょうな」
う~ん、お互い相手の事を「恐るべき敵」として尊敬できる、好敵手みたいな感じだったんだろうか?
ひとしきり子胥さんと旧交を温め合っていたレイだったが、改めて自分たちの方に振り返り。
「私はカーセン教団に呼び出されたのが影響したのか、神聖属性のスキルを身に着けています、クラスは『軍師』。レイエス殿にコウ殿も、よろしくお願いします」
レイエスさんと自分も慌てて挨拶を返す。
「あの范蠡が今世では味方か!何が起こるか解らんもんだな。私の事は子胥で良いぞ」
「では私の事も『レイ』で、郷に入っては郷に従えと言いますからね」
こうして自分達のパーティーに、レイと言う新しい仲間が加わった。
神聖属性のスキルが使えるらしいから、子胥さんと合わせて、アンデットに対してはかなり有利になりそうだ。
クラス「軍師」については良く分からないけど、軍師って言ったら三国志?
さっきの話を聞いてる限りだけどさ、レイと子胥さんが同じ勢力に居るのって、三國志で言うと「諸葛亮と司馬懿が同じ国に居る」様なもんなんじゃないかな??
もしそうだとすれば、かなりのチートである。
あれ?これ、自分居る必要あるのかな?と思ったけど、それは置いといて味方が強い分には問題ないよね?
ちなみに当のレイは、子胥さんのクラスが『復讐者』であることを聞いて、「似合いすぎますっ!!!」って爆笑していた。
金髪美少女(CV塩沢兼人)