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第4話 解析、スキル判明、、「・・・っえ?」


 「完全に消滅したみたいですね・・・」


 レイエスさんがホッとしたようにつぶやく。


「ふう、いい汗をかいた」

 そんなことを言いながら子胥さんが鞭を引っ込める、というか光の粒子みたいになって消えたんですけど。


「ちょっと子胥さん、その鞭は一体何なんですか!?」


「む?これか」

 再び子胥さんが鞭を出して見せる。

「こう、『アンデット共を屠りたい』と思いながら念じると出るだろ、にゅるっと」


「出ません」

「出ませんね」


 その点についてはレイエスさんと一瞬で通じ合った。


 なぜそんなスキルを・・おそらく復讐者(アヴェンジャー)スキルを使えるのか?という質問に対する子胥さんの答えも、本能的というか、ぶっちゃけると「使えるんだから仕方なかろう?」みたいな返答が返ってきた。


 ああ、これ天才肌の本能タイプっていう、コーチとかに絶対向かないタイプのアスリートだわ、鯖の事を「魚辺(さかなへん)にブルー」とか言っちゃうタイプ。


「私はお二方の召喚者(マスター)と言う事になりますから、お二方が受け入れてくれるなら解析(アナライズ)の魔術を行使できますが、いかがでしょうか」

 

 おおう、レイエスさん何気に優秀!さすが魔術師(マジシャン)、これで自分にも子胥さんみたいな凄いスキルが見つかるかもしれない。


 自分はもちろんOK、子胥さんも「いいだろう」と鷹揚にうなずいている。


 召喚された時間が深夜2時頃、そこから襲撃があって眠気は全くない。またアンデットが来ると困るし、夜が明けるまで解析(アナライズ)を含め現状を確認しようと言う事になった。


 この解析(アナライズ)ってのはよくゲームであるようなステータスがすべて表示されるっていうものではないけれど、持っているスキルや特技が分かるらしい。

 履歴書の「資格・趣味・特技欄」みたいなものかな。



 まずは子胥さん

 「政治学」「軍師」「不屈」「身体強化」・・・等々驚くほど多い一般スキルを持っているらしい、その凄さはレイエスさんを驚かせるものだった。特に政治に関する様な物が多いとの事。


 それに対して子胥さんは「これでも一国の宰相として辣腕を振るってきたのだ」とか言ってる。

 宰相って日本でいうと総理大臣みたいなものの筈、カリスマ的にそれは納得なんだけど自分が驚いたのは、え?文官なの?って事だった。


「絶対武将だろう」って思ってたのに。


 そして復讐者(アヴェンジャー)スキルは「アンデットに対する特効【物理】」「屍打ちの鞭」と言うもので、効果は「アンデットに対する苦痛の付与と物理攻撃力上昇」「『屍打鞭』をいつでも取り出せ、仕舞える能力」らしいけど・・・


 あれ?苦痛を与えるのと攻撃力が上がるだけで、何で物理攻撃そのものが無効らしいゴーストが倒せたんだろう、どんなに攻撃力が高くても、攻撃自体が「無効」であるなら効果は無いはずだけど?


 という疑問が湧いた、それに対しての子胥さんの答えは極めて物騒なものだった。


「拷問などでもそうだがな、痛みが限界を超えると傷が致命傷で無かったとしても体の方が死を選んでしまうと言う事がある、もしくは精神が壊れて廃人となるかだな。だから傷を負わせられなくても、苦痛を与えられるなら行けると思った」だそうだ。


「行けると思った」じゃねえよ!?

 鬼畜にも程があるわ!!


 でもいま子胥さんが言ったのってアレだよな・・・いわゆる・・


「ショック死」


 そうか・・あのゴースト・・・「死因・外傷性ショック」なのか・・・思わず遠くを見る。


 そもそもゴーストは最初から死んでるという話は置いておいて、「外傷性ショック」って痛みの限界がどうこうと言うより血流の関係じゃなかったっけ?、ゴーストに血は流れてないんだけど・・いやそれを言ったら痛覚が無いのに何で痛みを感じるのかって話になるのか・・・?


「うん、了解、そういうスキルなんですね」



 ・・・色々諦めたら少し楽になった。



「鞭の傷は痛いぞ?」

 子胥さんは黒い笑いを浮かべている。

 自分はできるだけ目を合わせないようにした、精神体が死を選ぶような激痛とか想像したくもない。


 そしていよいよ自分の番だ。

「それでは失礼しますね」レイエスさんの翳した手から柔らかな光が差し自分の体をなぞっていく。


「ええと身体に関する強化は無し、あと「普通自動車運転」「フォークリフト運転」というのは良く分かりませんね」

 ・・・ですよね、まあこっちの世界では全く役に立たないんで次行ってください。

復讐者(アヴェンジャー)スキル・・・」


 来た! 


「カップル爆破」


「は??」


「カップルの間に爆発を起こすスキルの様です、その威力は術者の精神の高まり方で変わるみたいですね・・・」

 レイエスさんが何だか申し訳なさそうに解説をしてくれる。


「・・・っえ?」


 いや、だってそうでしょ、一応爆裂系戦闘スキルと言えないことも無いけど、カップルでイチャイチャしながら殺し合いの最前線に出てくる兵士なんか居ないでしょう普通。


 昔のスパルタ兵みたいに、ゲイカップルだらけの軍とかいれば判らないけど、そうだとしても全く羨ましく無いから威力が大幅に下がりそう・・・そして街中のカップルに対してスキル暴発とかしちゃったら完全にテロリストじゃん俺!


 ゼロ距離で密着しているカップルに「イラッ」としてスキルが暴発してしまったことを想像する、それはもうモザイク必須のグロ画像だろう。


「すいません、おそらくお二方の生前の生き方によってスキルが変化するのだと思います!」


 頭を下げて平謝りするレイエスさんを見て、正気に返った。


 そうだよな、復讐者(アヴェンジャー)になった状況を考えれば納得というか、このスキル習得に関してはレイエスさんに罪は無い。


「あー、すいませんレイエスさん、せっかく召喚してくれたのに、あまり役に立てないかもしれません」


「いえ、召喚したのは私ですし、今は味方だというだけでこれほど心強いことは有りません」


 最初はテンパっていて目つきとかヤバかったけど、落ち着いてみるとやっぱいい人だなぁレイエスさん、最初はどこで逃げ出そうかと思ってたけど、あても無い事だししばらくはレイエスさんに協力しよう。


 そんな事を思っていると・・・


「相手が死霊術師ならば私のスキルは役に立つのではないか?」


 子胥さんだ。身体能力も高くて美人でスキルも強いとか、これぞ異世界転生物だよなぁ・・


 ただ中身がオッサンなんだよなぁ・・・せめて「名前と能力だけ有名武将」で体も中身も完全に女の子、外見の一部に特徴的なデザインが採用されてます・・・みたいなパターンだったら良かったのに。


 そう思って窓ガラスに映る自分の姿を見る、そこには20代半ばくらいの見慣れない男が映っている。


 この世界の転生は外見年齢性別がランダムっぽい、ちょっと若くなったけどそれほどイケメンに転生したと言う訳でもない、だけど同じ性別近い年齢になったのはラッキーだと思っておこう。

 だけどスキルに関しては元々の自分の能力に依存するようだから・・・


 つまり子胥さんは元々凄い人だったって事なんだろう。


 そこまで考えて、ふと思った。


 今まで話して子胥さんが元々の自分と同じ「地球」からの転移者であるってことは大体解っている(時代は違うみたいだけど)、で、だ。


 正直自分と同じ世界に生きていた人が・・・「アンデットに対する特効」とか「屍打ちの鞭」とかいうスキルを習得するっていうのはどんな人生なの!?っていう気がしたんだけど・・・


 「うん、気付かなかったことにしよう」


 とりあえず悪い予感しかしないその疑問は、頭から消す事にした。

 



爆炎系の主人公かぁ・・・ダーク・シュ〇イダーみたいな感じかな(棒)

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