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第3話 刺客との闘い・・・うわぁ・・・

伍子胥さんだったらこんな能力持ってるんじゃないか?と言う事で書き始めた、後悔はしていない。


伍子胥:古代中国、春秋戦国時代の政治家・武将、詳しくはWebで。



「ゴーストには通常の攻撃は効きません!私が相手をしますのでお二人は後ろに!」


 レイエスさんが男前なセリフを吐いて前に出る。


「ふふ、逃がさぬよ」


 リック・バーナー・・だっけ?エルダーゴーストが、何事か(おそらく死霊魔術)を唱えると自分たちの後ろから、骸骨・・多分スケルトン的なRPGでお馴染みのアンデットモンスターが沸いた。


 ヤバい、こっちは武器さえ持ってないのに、こんなゾンビ映画みたいな状況どうすればいいのか・・せめてショットガンが欲しい!とか言ってる場合じゃないんだけど。


 ふと子胥さんの方を見ると、子胥さんは何故か大振りの鞭を手に獰猛な微笑を浮かべていた・・そしてレイエスさんに向け言い放つ。


「レイエス、そ奴は任す!私はこ奴らに礼儀というものを教えてやろう」



___________________________________




 子胥さんが鞭を振るう。

 その狙いは違わず、迫りくるスケルトンの1体に命中する。


 ここまでは良い、いや「その鞭はどこから出したんですか?」とか聞きたい事は山ほど有るけど、そんな事は些細な事だ。


 問題は目の前で起こっている。


 攻撃を受けたアンデットが地面をのたうち回りながら、苦痛に顔を歪めているのだ、、いやまあスケルトンに表情なんか無いけど、周りのアンデットのドン引き具合からしてメッチャ苦しんでいるのは間違いないだろう。



「え、?アンデットに痛覚とか有るの??」


 地面に這いつくばり、息も絶え絶えに(息してないけど)苦しむスケルトンに、子胥さんは追加の鞭打をくらわす。


 「パァン!」という空気を引き裂く音、声にならない悲鳴を上げ、そのまま動かなくなるスケルトン。


 鬼か!!


 思わず「ひっ!」って声が漏れてしまったよ。


 スケルトンを倒した子胥さんは新たな敵に()()()()()()()


 たった今倒れて動かなくなったスケルトンに、さらに追加の鞭打を繰り出す。


「パァン」再び乾いた音が鳴るが、すでに動かなくなったスケルトンに反応はない、もう死んでいるんだから当たり前だ(いや、まあ最初から死んでるんだけど)


 子胥さんはそれでも構わずスケルトンの死体に鞭打ち続ける、あまりの出来事に敵も味方も動くことが出来ない、その中で子胥さんが鞭を振るう音だけが響く。


「パァン、パァン、パァン・・・」


「ふう」


 やっと一息、その頬は興奮のため朱に染まり大変色っぽいのですが、やってる事がやってる事だけに正直ドン引きです。


「フハハハ、死んだ者にも苦痛を与える能力か!!!、この能力、是非とも生きているうちに得たかったものだ、さすれば平王にも我が無念を思い知らせてやることが出来たであろうに」



 新たな獲物を求めて子胥さんがスケルトンの群れを振り返ると、スケルトン達は冷や汗を浮かべながら高速で後退った。

 スケルトンには体液も汗腺も無いと思うんだけど・・・まあいいや。


 でも解る。


 正直こんな存在相手にしたくない。



「ありえん!、一体何なのだ貴様は!!!!」


 レイエスさんとの魔術戦すら忘れて呆然としていたリック・バーナーが叫ぶ。


 うん、解る。


 理解できない存在って怖いよね。

 味方であるはずの自分からしてドン引きなのだ、敵であるエルダー・ゴーストであればなおさらだろう。


 何なのかと問われれば「追い詰められたレイエスさんが、とち狂って召喚した復讐者(アヴェンジャー)」としか言いようがないんだけど。


 子胥さんの事を危険だと判断したのか、エルダーゴーストが呪文と共に腕を振るうと、黒いカマイタチのようなものが子胥さんに向けて飛ぶ。

 レイエスさんが「しまった」という表情をするが、子胥さんはこれを本能的な動きで回避。


 切られた髪の毛が一房宙に舞う。


「ザシュッ!」

 一拍置いて子胥さんの背後の床が鋭い刃物で切り付けられたように抉れた。


 うわぁ、今のはヤバかった!

 お返しとばかりにレイエスさんが火球を生み出して攻撃してはいるけど、あまり効いてるようには見えない。


「レイエスさん!それ本当に効いているんですか!?」


「ゴーストに対抗する手段は限られています、本当の意味で滅ぼすには聖属性の浄化の力に頼るしかありません。火属性も効かない事は有りませんが効果は低い・・・しかし現状他に方法が無いのです!」


 うわあ、思ったよりも絶望的な状況。

 背後のスケルトン達もボスの活躍に顔を見合わせ、気を取り直して再び襲い掛かろうとし始めた・・だから何でそう人間臭いんだよお前ら。



 子胥さんは先ほどの魔法をギリギリで回避した後、動きを止めて小さく震えていた・・・


 怒りで。


 え?怒り(そっち)

 恐怖じゃなくて?


「貴様ぁ!よくもこの私の美しい顔に傷をつけてくれたなぁ!」


 叫びながら子胥さんが鞭を繰り出す!よく見てみれば確かに頬にちょっと擦り傷の様な傷が有るけど、怒る所ソコなのかよ!って言うか・・・え?今このオッサン自分の事美しいとか言ったよ?いや、確かに美人だけどさ、さっきまで「訳が分からぬ」とか言ってたのに順応早すぎじゃない!?


 あとレイエスさんの話聞いてなかったの?物理攻撃効かないって言ってんじゃん?


 当然実体のないゴーストの体には何の手ごたえも無く、ゴーストの体のある部分の空気だけを叩く「パァン」という音だけが空しく響く。 

 

 しかし一瞬前まで悠然と空中を漂っていたエルダー・ゴーストは今、何故か地面に落ちて悶絶していた。


「upyw;jttいおじくぇeho:wじふぉ@いえじwtvg;:いjいおじくぇァァァァ!!!!!」


「「え?」」


 自分とレイエスさんの声がハモる。


「ytyくぁぁぁ、、ま、待て、なぜ貴様」「パァン!」

「ギァyrfhybwァァァjdくぃgj!!!!!」


「何だ、命乞いか?貴様が許されることは無い!、安心して死ね! いや、もう死んでおるか?ああはははははは」

 

 相手が何か言いたそうにしているが、子胥さんは全くガン無視で鞭を振るう、その度エルダー・ゴーストは痛みに悶絶し、悲鳴を上げ続ける。

 

「パァン!」

「ひぎぁいkぢはkdkll!!!!!

「パァン!」

「もうやhぢでこあhdhjはhjhだhh!!!!!」


「「うわぁ・・・」」


 再びレイエスさんと同じ声が漏れる。


「ちょっとレイエスさん・・・物理攻撃効かないんじゃなかったんですか?」

「いや、確かにその筈です・・しかし物理攻撃であっても武器に神聖属性の祝福などを与えれば(あるい)は・・」

「レイエスさん、()()が神聖属性の攻撃に見えますか?」

「いや、()()はもっと邪悪な何かです」


「・・・デスヨネー」

 

「は!?しかしさっき子胥様は『死者に苦痛を与える能力』とか言っておられましたから、復讐者(アヴェンジャー)としての能力なのでは、そう考えれば辻褄が合います」

「あー確かに言ってたような、でも苦痛を与えることが出来てもダメージが入らなければ倒せないんじゃ・・」


「うyうぇdんwりおのいんjcqpんqdjんくぇいpjにのいひpm!!!」


 そんな心配は杞憂だったようで、絶賛シバかれ中のエルダー・ゴーストはひときわ大きい悲鳴を上げた後、細かい灰の様な霧になって霧散した。


 召喚者であるエルダー・ゴーストが倒されたことで、呼び出されたスケルトン達も土に還っていく。その表情が何かホッとしているように見えるのは気のせいだろうか?


 そして、その古ぼけた倉庫の中に元の静寂が返ってきた。





平王、伍子胥さんの復讐の相手だった王様、詳しくはWebで。

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