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第2話 怒りや憎しみは力になるらしい

主人公の順応力が異様に高いですが仕様です。




 いや、いきなり「復讐を遂げさせ給え」とか言われても訳が分かんないし、いきなり見ず知らずの人からそんな物騒なこと言われても!



 「復讐と言ったな、話を聞こう」


 「え!?聞くの!?」


 なんか伍子胥さんが「復讐」の単語に食いついてる!?



「ありがとうごさいます!!!!」



 術者?さんは涙を流しながら伍子胥さんに事情を説明していく。当然自分も隣で聞いている、この世界に関する情報がなにも無いわけだから、何はともあれ情報が欲しい。

 でも復讐とかそういう厄介ごとは避けたいよねぇ、普通。


 まず術者?さんの名前は「エフリエス・バタ・レイエス」

 「ブラウンウイック王国」という国の貴族らしい。

 やっと不確定名が外れた、レイエスさんと呼ばせてもらおう。


 ザックリ言うと・・・


①父親が王宮での政権闘争に敗れて父と兄が処刑され、自身にも害が及ぶ前に国外に逃げ出した。

②知り合いを頼って逃走中、追っ手をかけられて虫の息。

③死ぬのは覚悟しているが、(かたき)である政敵アーリー・ストックランドを討ち果たさなければ死んでも死にきれない。


 以上3行解説。


 それで、藁にも縋る思いで「復讐者(アヴェンジャー)」召喚の術式を試してみたら、自分と伍子胥さんが召喚された・・と。

 レイエスさんは「魔術師(マジシャン)」の称号を持つマジックキャスターらしい。


「っていうかなんで自分が復讐者(アヴェンジャー)なんて物騒な存在として召喚されてるのか分かんないんだけど!?」


 その疑問にレイエスさんが答えてくれた。


「村田殿と言いましたね、復讐者(アヴェンジャー)召喚というのは・・・死ぬ瞬間まで強い怒りや憎しみを持ち続け、その思いが昇華した存在を召喚で呼び寄せ転生降臨させる、邪悪なる禁呪・・と言う事になっているのですが、あなたもまたその様な生を送ってこられたのでは?」


「いやいやいや、自分はただの労働者だし、そんな大それた人生歩んでないよ!死ぬ瞬間だって・・」


_____「こいつら、殺してぇ・・・」______


 ああ、そんな事も有ったかも。人生はともかく死ぬ時は、、いやでもさ、そんな「轢かれて死んだ、パリピ死ね」みたいなノリで成っちゃって良いの復讐者(アヴェンジャー)って!?」


 大体の流れは分かったけれど、自分が復讐者(アヴェンジャー)として転生した理由がイヤすぎる!


 審査基準・・緩すぎ?



 もう一人の復讐者(アヴェンジャー)である伍子胥さんは、、


「フハハハハハ、気に入った!!」


「父と兄を殺されたか!!その気持ち・・・私ほど理解できる者もいまい!」

「自分は殺されても構わぬから、どんな手を使っても憎き相手を殺したい、、その意気やよし。お主がその気持ちを忘れぬ限り力になろう」


 超同意していた。


「良いか、怒りや憎しみは力となる!復讐は人生をかけて行うに足り、生きる上での指針になりうる・・・忘れるな!」


 伍子胥さんはそう言ってニヤリと笑う、見た目二十歳ぐらいの女性なのに、その笑顔にはとんでもない迫力があって、「ああ、これがカリスマとかオーラってやつなのか」と素直に納得した。


 あー、この人ガチの復讐者(アヴェンジャー)っぽいですねー、なんかもう「怒りや憎しみは何も生みません、先に進むために憎しみの連鎖を断ち切って・・・」とか言える雰囲気じゃない。


「えーと、じゃあそのレイエスさんの知り合いの所まで逃げて、そこで援助を受けてから反撃って感じなんでしょうか?」


「自分はそこから別行動させてもらいます」と言いたいのをぐっと抑えて発言する。


「うむ、それで良かろう。改めて名乗らせてもらおう、伍子胥(ごししょ)だ、子胥(シショ)で良いぞ。よろしく頼む」


レイエスさんも続き「私はエフリエス・バタ・レイエス、魔術師(マジシャン)のクラスに就いております、レイエスとお呼び下さい」と熱のこもった挨拶。


 二人の視線が自分に向く。


「あー、自分は村田光です、えーと子胥さんならわかるかな(なんか中国人っぽい名前だし)、と、埃のついた窓ガラスを指でなぞり「村田光」と漢字で書く」


「こう書きます」


 レイエスさんは「複雑な文字ですね・・」という反応、一方子胥さんは・・


「お主の名は「(コウ)」というのか!?」と食いついてきた。


「ああ、まあホントの読みは「ひかる」ですけどコウとも読むので、呼びやすいようならコウでもいいですよ」


「コウ殿か、、これも巡り合わせかもしれぬな、よろしく頼むぞ」

「確かに呼びやすいですね、よろしくお願いしますコウ殿」


 こうしてこのパーティーでの自分の呼び名は「コウ殿」に決定した。


 


「えーと、じゃあその知り合いの・・・・」


 所まではどれくらい距離があるのか、どういう方法で行こうとしているのか等の、具体的な話をしようとしたのに、それを遮る声がする。




__________エフリエス卿、、見つけましたぞ?



 その声と共に、壁からにじみ出るように姿を現したのは、一言でいうと半透明の人間。これが現代ならプロジェクションマッピング、SFなら立体映像なのだろうけど・・ここは魔法の存在する世界(召喚術がある訳だし、レイエスさん魔術師だしね)と言う事は、ゴースト・レイス・幽霊・お化け、つまり・・・


「アンデット?」


 思わず漏れた声に、レイエスさんが答えを返す。


「はい、お気をつけを!!我がエフリエス家が代々魔術師家系なのと同じく、アーリー家は死霊術師(ネクロマンサー)の家系なのです」

「奴は恐らくストックランド卿の放ったエルダーゴースト・・高レベルの魔術を行使し、人であれば止められるであろう国境や関所も無視し、疲労も睡眠も無く追ってくる最悪の猟犬です」


 さっき言ってた「追っ手」ってこの人・・人?の事だったのか、、見た目からして明らかに殴ったり切ったりしても意味無さそうなんだけど、ゴーストってどうやったら倒せるの?塩でも撒けばいいのかな・・・って実は超ピンチ?



 絶対的な優位を悟っているのか、目の前のゴーストは慇懃無礼な礼をしながら、名乗りを上げる。



「私の名前は「リック・バーナー」、種族はエルダーゴースト」


 残念ですが、あなた方には死んでいただきます。



真面目に歴史が好きで:キーワード「伍子胥」とかで来ちゃった人が居たらごめんなさい。

でもそんな人なら次話でクスっと笑えるかも。

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