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INVADERS  作者: 心人
幻想と現実の狭間で
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7話

バァアアアアン


一発の銃声が静かな店内に響き渡る。


10人の黒軍服にガスマスクをつけた連中を引き連れて銀行押し入った俺は、

いまだに状況が掴めずキョトンとした顔をしている奴らのためにもう一度天井に拳銃を向けて引き金を引き、

ガスマスク越しのくぐもった声で警告をとばす。


「はーい皆さんこんにちわ、銀行強盗でーす。全員動くなー動くなよー。特に通報とかしたらお仕置きだから覚悟しとけー」


まあ、近くの路地裏からここまで目立つ格好で来たのだからどこかで通報されててもおかしくないのだが、

威圧したいだけなので気にしない。


そしてようやく事態を理解して顔を青ざめさせる人々を満足しながら見渡していく。


「それではみなさんその場で両手をあげてくださーい。ボケっとしてんな、今すぐ両手を上げるんだよ」


おずおずと手を上げ始める人々をしり目に、マイヤーをはじめとする連れてきた10人は打ち合わせ通りに行動を開始する。


一応全員に念じるだけでも指示が出せるのだが、

本番でテンパる可能性も捨てきれなかったのであらかじめ指示を出したのだ。


MG42を担いできたのは4人、

2人は正面と受付フロア、残り2人は裏口の警戒へ。


拳銃装備の6人の内2人はこのフロア以外の場所にいる人間の捜索へ。


マイヤーを含む残りの4人は受付へ移動する俺についてくる。


「お姉さん可愛いねぇ。ちょっとお願いがあるんだけどさぁ、ここの金庫開けられる人2人連れて来てくれない?」


恐怖でぶるぶると小刻みに震えながらも顔を縦に振った受付のお姉さんにはマイヤーが付いて奥へと移動していく。


「誰にしようかなー、お前だお前、ちょっとこっち来い」


青ざめた顔をした若い男性職員を一人呼び寄せると背中のバックから取り出した麻袋を突き付ける。


「お前はこれに全員のケータイと財布を回収してこい。お前の責任でな。」


「わ、わかりました」


「漏れがあったら……あーあいつだ、あのお客様の指を漏れた分だけ切り落とす。」


俺が適当に指さした中年男性をガスマスクの一人が取り押さえる。


それを見た若い男性職員は青ざめた顔からさらに血の気が引いて死人の様な顔になりながらも声を絞り出す。


「な、なにとぞお客様には危害を加えるようなことは……」


「それはお前の頑張り次第、お前が黙って素早く仕事をすれば済む話だ。わかるな?」


男性職員が消え入りそうな声で返事をするのを確認するとガスマスクを一人つけて回収作業を監視させる。


男性職員と入れ違いでさっきの受付のお姉さんが2人の50代くらいの男性を連れてくる。


それぞれが取締役と支店長の名札を付けてるのでここにいる職員の中で一番偉い2人だろう。


流石に上に立つ人間は肝が据わっているのかほかの職員よりは落ち着いた態度だ。


「言わなくてもわかると思うが、金庫までの案内して金庫を開けろ。質問はなしだ。オーケイ?」


黙って頷く二人に満足するとマイヤーともう一人を付けて店の奥へと送り出すと表通りが見えるソファーへとドカッと腰を掛けた。


いやー、一度やってみたかったんだよな銀行強盗。


悪党ムーブに憧れみたいなのはあったが、

よっぽど追い詰められたり、理性が飛んだりしない限りは一般人には縁がないのだ。


だからって力を得てからの最初の悪事が銀行強盗とは我ながらどうかと思うが、

金がなければ悪党も大したことはできないのだ。


仕方ない、というか世知辛い。


一人でうんうん頷いていると、

いつの間にか正面の通りには2台のパトカーが止まり規制線を敷き始めていた。


押し入って1分か2分でもう到着かここの警察は仕事が早い。


遠くからもサイレンの音が続々と近づいてくるのが聞こえるし、あっという間に周囲が封鎖されるであろうことは予想できる。


本来なら危惧すべき事態だろう。


普通の銀行強盗なら慌てるとこだろう。


だが、俺はワクワクしていた。


火蓋の切られた非日常に


これから始まる戦闘(パーティー)


口角が上がっているのが自分でもわかる。


こんなにワクワクしたのはいつ以来だろう。


少なくとも社会人になってからはこんなにワクワクしたことはないはずだ。


折角の新しい人生なんだ楽しんでいこうじゃないか。


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