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INVADERS  作者: 心人
幻想と現実の狭間で
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37話

俺の差し出した手を取りシキが何とか立ち上がる。


「取り敢えず生きてるようで何よりだ。」


「辛ウジテ、デハアルガナ……」


最後の空中で受けてた蹴りなんてその辺の怪人なら一撃で粉みじんになるんじゃないだろうか。


本当にレッドは恐ろしい奴だ。


思考回路はオウムの様に意味も理解せず正義を連呼するだけの単純極まりないものだが、

力のほうは壁にぶち当たるたびに進化する正に化け物。


今回で仕留めねば手に負えなくなるのは間違いない。


「辛うじてだろうと死にかけだろうと生きて戻ってきたなら十分だ。途中から見てた感じなかなか面白いことがあったみたいだな。土産話は後で聞くから取りあえずご苦労さん。後ろに下がってゆっくり休んでてくれ。」


「アア、分カッタソノ言葉ニ甘エヨウ」


保険として予想される移動ルートを『INVADER』数体で監視させていた。


シキが失敗したらそいつらに囮を交代させるつもりだったが、

シキは非常におもしろいものを見せてくれた。


怪人の進化。


何をもって進化したのかきっかけやそれで得た力について今すぐにでも話を聞きたいところだがフォースレンジャーはもう目の前だ。


それにこいつらの始末も楽しみにしてたことである以上後に回すしかない。


シキを追いかけてきた先で『INVADER』を20体引き連れた俺を見て困惑するフォースレンジャーに声をかける。


「やぁフォースレンジャーの諸君、待っていたよ。さっそくで悪いが、次は俺と遊んでもらおうか。準備運動は済んでるだろうし構わないだろ?」


「罠だったのか……」


「ハッ、この前逃げ帰った癖に偉そうに。」


「数頼みとは情けない奴だな。」


「何人仲間を連れてこようと一緒よ。」


「そうだ。正義は負けない。どれだけ悪が強大だろうと。決して屈したりはしない。」


相変わらずな連中だ。


話しているだけでとても疲れる。


だからこそ今日この時をもって死んでもらう。


俺の精神衛生のために。


まぁブルーだけは弄るのが楽しいので生かしてもいいが戦闘の流れ次第だな。


「お前らがどう思うのかは勝手だが今回はしっかり準備させてもらったよ。お前らに死んでもらうためにな」


指を鳴らして合図を送れば、背後のマンション内で待機していた『INVADER』達がベランダへと姿を現す。


その数30体。


俺の傍にいる部隊と合わせて計50体。


このほかにも数体が物陰で待機している。


短期間で出せる数は十数体が限度だが、回復を待ちさえすればまた作り出すことが可能。


その上でこれがおそらく今の俺が保持していられる上限といってもいい。


収容と再召喚はできれば隠しておきたいので今が最善の状態といっていい。


「まだ……いるのか、レッドこの数は不味い。軍へ救援要請をするべきだ。」


「ブルー、大丈夫だ。俺たちは強い。俺たち5人にかかれば倒せない敵なんていない。そうだろう?」


「そうだぞブルー。役に立たない軍に連絡してどうなるって?そんなことよりさっきのレッドを見たろ。レッドならやれる。」


「そうよ、レッドがあんな数頼みの雑魚にやられるわけないわ。」


「ブルーは心配しすぎだ。」


そういうお前らは一体でも『INVADER』を倒せたのかと問いかけてブルーを援護してやりたいが、面倒な事態が容易に予想されるので口には出さない。


カラフルなのは外見だけじゃなく頭の中身もさぞカラフルなのだろう。


「現実を見ろ。前回の戦いであの怪人共のうち一体ですら倒すのにひどく手間取ったんだぞ。それがあの数だ。俺たちだけで手に負える相手じゃない。軍にも出動を要請するべきだ。」


「目の前に敵がいる。どんな状況だろうと正義はこれを見逃すわけにはいかないんだ。それに俺たちが引くこと、それは正義の敗北だ。それだけは許されない。正義は弱い所を見せてはいけないんだ。」


「レッド、今はそんなことを言ってる場合じゃない」


「今だからこそ言ってるんだ。正義はなにものにも屈してはいけない。その心があれば絶対に負けはないんだ。俺を信じてくれブルー。」


ブルーは同盟軍との繋がりを断たれた上で研究所において孤立させられている。


あいつの意見具申だけでは同盟軍に救援要請なんて夢のまた夢だろう。


だからといって正義の二文字しか見えてないレッドと脳みその足りないそのほかの連中を説得なんて無謀にも程があるが……。


万が一逃げられても困る。


ここは軽く煽っていこう。


「まったく敵の前で作戦会議とは悠長な連中だな。俺も暇じゃないんだ。戦うのか、尻尾巻いて逃げるのか、どっちにするのかさっさと決めてくれないか?」


「正義は逃げない、絶対にだ。行くぞみんなッ」


俺が言い終わるより早くレッドが駆け出しほかの連中がついてくる。


一瞬ためらう素振りを見せたブルーが哀れでならない。


それにしてもチョロ過ぎる。


こんなんでよくぞまぁこの都市を今まで守れてたものだ。


「そんんじゃ、現実の厳しさってやつを教えてやるよ。…………撃て」


俺の合図を皮切りに50丁のMG42が一斉に牙をむく。


思考リンクにより統制された射撃は面での制圧を容易にさせ、フォースレンジャーごとあたり一帯を薙ぎ払う。


「「うわぁああああああ」」


銀行の時よりも圧を増した弾幕の嵐に流石の連中も為す術もなく地面を転がり這いつくばるしかない。


まぁ無傷な当たり本当に流石としか言いようがないが……。


だがいいな。これはいいぞ。


「あぁあああああああ、たまんねぇえええええ。ずらりと並べた機関銃の一斉射撃。これだけでも滾るって言うのに……これが俺の、俺の力だと思うと思わず思い上がっちまいそうだ。」


盛り上がったテンションを思いのままに口ばしって発散し、そしてまた冷静な状態に戻る。


まだ我慢だ、我慢が必要だ。


勝利の二文字はまだ遠い。


無様な声をあげていようが連中は健在で、

これから燃料切れになるまで奴らの力を削ぎ落していく必要があるだから。



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