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INVADERS  作者: 心人
幻想と現実の狭間で
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19話

「ふん、『INVADERS』のコルテスか。覚えておいてやろう。少なくとも報告書にはそう書いてやる。」


「それでは少佐殿、またお会いしましょう」


「ふん」


恭しくお辞儀をするも素っ気ない態度で去っていく少佐。


それがまたいいわけだが……。


心惹かれる雰囲気の女性ではあるが、

今日のところは目的がある。


構ってもらうのはまた後日でもいいだろう。


しかも丁度いいことに人質を載せて少佐達が護衛しながら去っていく護送車とは逆に接近してくるヘリコプターが確認できる。


軍用ではないがそれなりの大きさのヘリだ。


民間機が封鎖区画を飛べるわけもないので間違いなくお目当ての連中だろう。


重役出勤というか、ほんとにこれで普段からこの都市の防衛ができているのか疑問しかない。


俺が疑問符を浮かべている間にもヘリは高度を下げることもなくどんどんと距離を詰めてくる。


そして、上空を通過する瞬間にカラフルな5つの人影を空中へと放出して通り過ぎて行った。


放り出されたそれらは減速どころか重力に従って加速して瞬く間に地面と激突。


本来なら人間から肉塊へと一瞬で加工されるはずだが、

それらはコンクリートにヒビ一つ入れずに人型のまましっかりと着地をして見せたのだ。


どういう理屈なのかはわからないが、

着地の段階で既に普通の人間とのスペックの違いを見せつけてくるそれらは事前情報通りの戦隊カラーの赤、青、黄色、緑、ピンクのスーツをそれぞれ着ている連中。


痛々しいことこの上ないがセリフの方もある意味期待を裏切らなかった。


「そこまでだ、悪党どもめ。俺たちが来たからにはもう悪事を働くことは許さないぞ」


なんだこいつというのが赤の第一声に対する印象。


悪事は当の昔に終わっているし、人質は少佐に解放した。


回収した現金に至っては『INVADER』の一人に持たせてすでに逃走させている。


建物の屋上沿いを移動して道路に敷かれた封鎖線を突破し、すでに潜伏を開始している。


飲み食いを必要としないので、潜伏後の移動の必要もなし。


一度隠れれば簡単には見つからないだろう。


つまり目的がこいつらじゃ無ければ、本来なら事件は終わっているのだ。


滑稽にもほどがある。


温度差に唖然とする俺にビビってるとでも思ったのか、

他のメンツまで騒ぎ出す。


「なんだこいつら大したことなさそうじゃねーか」


「軍の連中こんなのも倒せねーのかよ」


「やっぱり私たちがいないとダメね」


黄色に緑、ピンクと続いていく。


青だけは思うところがあるのか沈黙しているが、

それ以外はやかましいことこの上ない。


「ごちゃごちゃとうるさいぞ変態スーツ共。悪党に文句を言うのがお前らの仕事か?あん?」


こいつらは纏っている空気というか警察や軍との温度差がひどすぎる。


あちらは間違いなく本職で命すらかけているのがわかるだが、こいつらの雰囲気は同好会か学生の委員会レベル。


思わずキレても仕方ない、そう仕方ないのだ。


「なんだとぉ」


「たかが銀行強盗のくせによく言うぜ」


「まぁ落ち着けイエロー、グリーン、相手の挑発だ。」


「だがレッドよぉ」


「言いたいことは言わせておけばいいんだ。俺たちはただ正義を成せばいい。そう思わないか?」


「それもそうだな」


「流石レッドね」


……なんでこんな安っぽい三文芝居を見せつけられなければならないのだろうか?


真面目な奴をいじるのは楽しいのだが、こう頭がお花畑な奴というのは話しているだけで疲れてくる。


とはいえまださわり程度の会話しかしていないのだ、ちゃんと話せば高尚な精神の一つくらい出てくるかもしれない。


開戦前のあいさつ代わりに一つ質問をしてみよう。


「挑発のつもりはなかったんだがなぁ。じゃあ戦う前に聞かせてくれ赤いの。お前にとって正義とはなんだ?」


「簡単だ。お前みたいに悪い奴をぶっ飛ばす。それが正義だ。」


ハイ失格。


そんなセリフは少年誌の主人公だけで間に合ってる。


己の脳内法廷は速やかに死刑判決をくだした。


この手の奴はお話しても楽しくないうえに精神汚染の危険すらある。


速やかに処置をしよう、これ以上会話するのも嫌なのだ。


「よーしよしよし、お前らもういいわ。死んでくれ」


自分とマイヤーを含めた4人の『INVADER』が拳銃を抜いて構える。


全員が俺に合わせる形で引き金を引き今更腰の武器に手を伸ばそうとする連中に銃弾をお見舞いする。


青色だけは素早く回避行動をとるが他のまぬけ共は棒立ちのまま。


コスプレみたいな戦隊スーツに風穴を開けて赤い華を咲かせてやろうと思ったのだが実績は伊達ではないと一瞬で証明された。


防弾性能皆無に見えるそのスーツは着弾した弾丸をすべて弾いてしまったのだ。


一応運動エネルギー自体は健在なようで、火花を散らしながらも後ろによろめく戦隊スーツ共。


スーツに傷ひとつついてないあたりダメージはほぼ期待できない。


先ほどまでの浮ついた気持ちは一瞬で吹き飛び、遅まきながら脳内アラートが全力で鳴り響く。


これってもしかしてピンチなのでは?

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