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INVADERS  作者: 心人
幻想と現実の狭間で
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12話

「貴様らの目的は何なんだ」


「観光だよ、観光。この都市の名物を見に来たんだが、途中で財布を忘れたことに気が付いてな、お小遣いをもらいに来たんだ」


「…冗談はやめてもらおうか」


「間違ったことを言ってるつもりはないが、まぁ後はあんたのとこの頭のいいお偉いさんに聞くんだな。少なくともお前らはお呼びじゃない。そういう訳だから帰った帰った。俺はそのカッコいい駆動鎧(パワードスーツ)を壊したくないからなぁ。大人しく帰ることをお勧めしよう」


「生憎とそう言う訳にはいかないんだ。こちらも仕事なんでな。悪いが少し相手をしてもらおう」


そういうと真面目ちゃんとその部下二人は武器を構えて動き出す。


真面目ちゃんが重機関銃を腰だめでセミオート、後ろにいた真面目ちゃんの部下二人は射線を遮らないよう弧を描くような軌道で前に出て突っ込んでくる。


拳銃とは比べ物にならない重く体の芯にまで響くような発射音。


駆動鎧(パワードスーツ)に機動力を与える脚部の車輪とその補助にも使うらしいプロペラの駆動音。


ミリタリーが少しでも好きならたまらない音といえるだろう。


おかげで乗り気じゃなかった気分が嫌でも盛り上がるというもの。


「仕方ない、本命の前の準備運動といきますかね」


腰だめだというのに正確に飛んでくる弾をひょいひょいと適当に避けながら、

マイヤーともう一人にGOサインを送る。


もちろん後ろで展開している別部隊の対処に3人向かわせるのも忘れない。


再び矢の如く飛び出していくマイヤー達。


対して俺は淡々と弾を避けていた。


もちろんこれは改造によって反射神経がよくなっただけではなく、

思考の引き延ばしのようなことができるようになり体感時間を遅くさせているからできる芸当だ。


だが、問題がないわけではない。


反射神経の向上はともかく、

思考の引き延ばしに関しては未だに慣れておらず咄嗟に使えない。


今回は余裕があったが、不意打ちなんてされるとなすすべがないのだ。


にしても腰だめだというのに本当に狙いが正確だ。


あの重機関銃についたスコープは実はカメラで視界のリンクでもしているのだろうか?


兵器の性能というやつは想像してるだけでもワクワクするものがあるのだが、

一方的に撃たれているというのは面白くない。


腰のホルスターに収まっていた拳銃、ルガーP08を模して生み出したそれを引き抜くと片手で構えて引き金を引く。


引き延ばされた思考の中で拳銃から弾丸が解き放たれ、

尺取虫とすら呼ばれるコッキングのためのつまみのついた支点で二つに曲がって伸縮するトグルアクション式機構の独特な動きをニヤニヤと眺めていく。


そして魔力というやつで生成された弾丸は本来のそれと違って風や重力の影響を受けずにまっすぐ飛翔していく。


狙いは真面目ちゃんの構える重機関銃。


が、狙い撃ったはずの弾丸は対象から3mも離れたところを通り過ぎていく。


狙われたはずの真面目ちゃんも相手が拳銃だからなのか微動だにせず、

こちらに向けてセミオート射撃を繰り返してくる。


別にあったところで死にはしないが何となくで真面目ちゃんの射撃を避けながらも恨めし気に拳銃を握りしめた右手を見つめる。


ルガー自体は悪くない。


むしろ重力に引っ張られず風にも流されない弾丸を飛ばすこいつは非常に優秀なのだ。


問題があるのはそれを扱うやつの腕。


銃を扱う訓練なんて受けていない素人。


サバゲーの経験はあるがその程度ではお話にならない。


しかもそのサバゲーですら50m以上先というのはBB弾の射程限界を超えていてその距離を狙おうとするのは気合の入ってる器用な奴だけ。


普通のユーザーは2,30m先が関の山。


そのうえ拳銃というやつは狙いが付けにくい。


アサルトライフルなんかの長い銃は両手で持ったうえで肩にあてて支えることによってある程度安定して狙えるが、

拳銃は片手で持とうが両手で持とうが支持するのはグリップのみつまり1点で不安定極まりない。


長い訓練を積んでいれば別なのだろうが素人じゃ10m先にだって厳しいかもしれない。


じゃあなんで反撃の手段に拳銃を選んだのかと言われれば、

射撃戦ってなんかカッコいいし憧れるよねとしか返せない。


ノリで始めたとはいえ始めてしまった以上はどうしようもない。


幸い弾薬は魔力で生成されていてリロードの必要がないうえに、

消費される魔力もマイヤー達を作り出すのに比べれば微々たる量。


実質無限に撃てるといっても過言ではない。


しかも撃たれてからでも回避できるだけのスペックがあるとなれば、

まぐれ当たりするまで撃ちまくればいい。


下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる。


このことわざを実践していくしかあるまい。




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