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β43 カルキの布教★むくちゃんはあいしています

□第四十三章□

□カルキの布教★むくちゃんはあいしています□


   1


 ――これは、僕の夢だよ。


 先ず、僕は、急に家を出た後、徳乃川神宮へ行ったらしい。


 そして、あの、デートに行ったり、聖魔と闘ったりした、八重桜の近くに行ったんだ。


 ――近くにうろがあったんだな。この前で休むか。


 そこで、しゃがんでいた。

 寒いとか、痛いとかなかったのだけど、急に足が冷えたんだ。


 ヒヤリ


 ――なんだか、ぞっとするな。


 見ると、靴を履いていなかった。

 素足のまま、家を出たから、そうなったのかなと思ったよ。


 暫くして、向こうから、かなり老いたおじいさんが、歩いて来た。そして、僕に声を掛けて来たんだ。


 ――お嬢さんは、かなりの高貴な方と見受けられる。どうか、これを受け取っておくれ。


 そう言って、すっと、どこからか、ブラックのハイヒールを差し出したんだ。


 僕は、足がかなり寒かった。

 他人の足みたいに。

 そうした理由もあった。


 ――ありがとう。


 そう僕は言って、受け取ったんだ。

 そして、早速、履いてみた。


 すると、何やら、自分がもやもやしていたものが、晴れやかになった。


 ――吾がカルキになった事実とそれを否定しようとする力が拮抗しておった!


 急に、悟ったよ。


 ――そうじゃ、子を産みしかの時、吾は、カルキになったのじゃな。それは、虚数空間に入って、再び、“吾”と出会ったのじゃ。手術のショックで、意識が遠のいた時に、“吾”と吾が出会ったのじゃな……!


 ――そこで、吾は、言われるがままに、カルキの力がよみがえったのじゃ。左手と右手を交差させると、みなぎった力が放出できたのじゃ!


 さあっと記憶がはっきりしたんだよ。


 それでなんだが、その靴を履いた時に、それに近い力が再び自在に出来るようになったんだ。


 僕は、立ち上がり、うろに向かって、左手をかざした。


 ――聖なる力で時間を進めよ!


 すると、あっと言う間に切り株となり、ひこばえが出た。


 ――うむ? あの者は、どこぞ?


 あのおじいさんは、全く気が付かない間に、消えていた。

 不思議な出来事だったんだ。


   2


 翌朝、徳乃川神宮の方に出て行った。


 ――あなたの信者です。拝ませてください。カルキ様ですよね。


 急に、四十代に見える着物姿の女性から、声を掛けられた。


 ――どこで、その名を知ったのじゃ。如何にも、吾はカルキなり。


 ――あなた様のオーラから、分かります。どうか、私を信者にさせてください。


 ――構わぬ。


 崇められたんだ。急に、見知らぬ人に。


 それから、何人も何人も何人も、僕の所へ来た。

 僕は、その頃、徳乃川神宮の境内に居た。


 ――カルキ様、私の悲しみを聞いてください。


 ――カルキ様、私の苦しみを聞いてください。


 ――カルキ様、私の怒りを聞いてください。


 そうこうしている内に、無責任に言う訳ではないが、僕が指示したらしく、城が出来上がっていた。


 そして、城に、信者も集まって来て、悲しい出来事、苦しい出来事、怒りの出来事を忘れたいと言うから、忘れさせてやった。


   3


 僕は、祭壇と天守閣を行き来していただけだったよ。


 ――カルキサマ……。ワタシハ、ジツノチチノ、カイゴニ、ツカレマシタ。イッソノコト、トオクデ、ヤスマセテクダサイ。


 ――ならば、吾に任せよ。十字架の中に眠る時間よ、吾に!


 シュー……!


 硝煙が上がる。


 ガッ


 ――左手の五芒星よ!

 左手をゆっくりと頭上にかかげた。


 ガッ


 ――右手の逆五芒星よ!

 右手をゆっくりと頭上にかかげた。


 ガッガッ


 両手の掌を交差させて重ねる。


 ガガガガガガガーン!


 ――時間よ回れ。忘れさせるのじゃ!


 そんな事が、今が、何月何日で、何時何分なのかも分からないまま、続いたんだ。


 だけど、ある日、玲とむくちゃんが天守閣に来てくれた。

 鼠だなんて、僕が言ってごめん。


   4


 ――まーまとあそびたかったです。


 ふわふわふわふわ。


 むくちゃんの方から僕の所へ来たんだ。


 ずしゃ。

 べしゃ。


 これは、近くの信者の足音だったんだ。

 天守閣に登るのは、僕だけだけど、場内の音は、よく聞こえるんだ。

 玲が、心配していたこれは、むくちゃんの潰れた音ではなかったよ。

 勿論、僕は、殺めてもいないし。

 だから、安心して。


 玲が、落ちて居なくなってからの事だよ。


 ――まーま。


 グリーンのおくるみのまま、むくちゃんは、飛びながら、僕に近付いて来たんだ。


 ――なんぞ。


 僕は、むくちゃんを何だか分からなくて、何で寄って来るのかとか思ってしまったんだよ。


 ――いないいないばあをしてあそびましょう。


 ――吾は、存ぜぬ。


 一蹴しちゃったんだけど、娘は、明るいの。


 ――むくちゃんがやります。いないいない……ばあ!


 すると、むくちゃんのおくるみが取れた。

 ふさあっと。

 そして、おくるみの下に僕は、反応したんだ。


 ピカアーッ。


 ――白き服……。見覚えが……。白き服に……。あ……。


 僕は、眩しかったんだ。


 ――まーまのつくってくれた、べびーどれすです。とてもきにいっています。


 ――まーまの……? まーまのとは?


 ガタッフサアアアア。


 茫然自失で、僕は、天守閣から、祭壇の裏に落ちたんだ。


 ドッ。


 ――まーま!


   5


 それから、落ちた時に頭をしたたかに打ったらしい。

 じいんと痛くて、目が覚めた感じだった。


 ――吾の代わりに祭壇に立つのじゃ。


 ――わかりました。まーま。


 ――妙齢のおなごになるのじゃ。


 ――やってみます。まーま。こうこうせいになりたいです。


 その一言の後、むくちゃんは、ベビードレスにおくるみにと、身に付けていた物を剥いだ。

 二十分位で、むくちゃんは、急激に成長した。


 ――はあっはあっはあ……。くっ。


 僕は、ブラックのAラインワンピースとハイヒールをむくちゃんに与えた。

 そうしたら、念のこもったハイヒールの力か、むくちゃんが、殆どの事を自分でカルキみたいにやれる様になった。


 ――左手に、五芒星の痣があるのじゃな。


 左手は、使えると思ったよ。


 ――これは。この色は……。あの者の着替えた後に、緑の貝殻みたいなワンピースが……。


 今になってみれば、多分、グリーンのおくるみが時間城に置かれて変化した物だと思うよ。

 おくるみは、まるで、コクーン、つまりは、貝殻みたいだしね。

 ピンヒールもその産物だろうね。


 その入れ替わった時に、むくちゃんの声が、胸に響いたのを思い出したよ。

 今更だけど。


 ――まーま。むくちゃんは、あいしています。

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