β36 ラブレター★愛娘むくちゃんへ
□第三十六章□
□ラブレター★愛娘むくちゃんへ□
1
玲の心に、むくちゃんへの想い出が、止まらずに溢れ出て来た。
まさか、走馬灯ではないかと危惧した。
その一方で、俺は左手をとっかかりから離した。
勿論、落ちて行くから、死ぬかも知れなかった。
「むくちゃんへ。ぱーぱは、君にラブレターを書きます。頭をメモ帳にして、聞いてくれな」
落ちながら、唱えた。
2
むくちゃんへ――
俺達の赤ちゃん。俺の娘。可愛いむくちゃん。
おむつを替えると、さっぱりとして、嬉しそうなむくちゃん。おむつかぶれもなく、元気一杯なむくちゃん。もう、パンツタイプになっているよ。凄いね。大きくなったね。むくちゃんの成長は、喜びでしかないんだ。ぱーぱの心配が、減ったよ。
ミルクも、かなり美味しそうに飲むむくちゃん。パパから、おっぱいが出なくてごめんね。でも、粉ミルクを丁度良く作ると、イヤイヤとかしないし、飲み残しもない。いつも、ミルクキープと言う消毒液を使って、哺乳瓶とかからの感染に気を付けているんだ。元気で何より。ぱーぱは、ほっとしているよ。
今日は、離乳食のお粥をあげたっけ。熱いのをふーっとすると、湯気に驚いたむくちゃん。可愛かったな。そして、又、美味しそうに食べてくれた、むくちゃん。お粥から、段々、離乳食を進めて行くのに、ぱーぱシェフの腕を奮いますよ。楽しみにしているよ。
お話上手のむくちゃん。最初は、少しだけびっくりしたけど、今は、話せて良かったと思っているよ。難しい話になるが、以心伝心は、正に、テレパシーかと思ったよ。
飛翔も凄いね。ぱーぱとまーまの為にありがとう。ぱーぱの勝手な美舞探しに付き合わせてしまって、本当に悪かった。
必ず、むくちゃんを探し出す。生きているんだろう? お願いだから、さっきのは、何かの間違いで、生きているって、知らせて欲しい。
何よりも、まーまとぱーぱが大好きだった。そんな、優しいむくちゃんの事を愛しているからね。何も心配は、要らないんだ。元気でいてくれたら、それで。
全霊をかけて、護るからな!
――ぱーぱより




