表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/49

β13 彼氏風景☆弄らないで

□第十三章□

□彼氏風景☆弄らないで□


   1


 翌朝、美舞と玲は一緒に登校した。

 その途中に日菜子と合流し、三人で学校に向かった。

 日菜子は美舞が玲と一緒にいる事に些か驚きはしたが、二人から理由を聞き、納得した。


「でも、美舞」

「何?」

 小柄な美舞は日菜子を振り仰いだ。


「玲君って格好いいよね」

「そうだね」

 社交辞令程度であった。


「その上、強い」

「僕よりは弱いけどね」

 負けじ心が激しいのは母親似かも知れない。


「美舞より強い人は少ないわよ」

「まあね」

 ちょっと、両親に鼻っ柱を折られそうな発言であった。


「どう?」

 日菜子の変な笑顔。

「何が?」

 素っ頓狂な美舞。


「彼氏にしたら?」

「昨日会ったばっかりなんだけど!」

 そりゃそうだとは日菜子も思って、てへっと頭に手を当てた。


「でも、美舞の護衛役なんでしょう。それなら、今の内にツバつけといた方がいいんじゃない」

「そんなに、焦らなくても……」

 美舞は日菜子が色事に煩いので少々辟易している。


「あまーい。玲君ならモテモテよ」

「死語だね……」

 美舞は切り捨てた。


「それは兎も角、気合入れて行かなくちゃ」

「……」

 二人の会話の聞こえない所に玲はいたから、まさか会話の内容が自分の事だとは思っていなかった。

 玲が二人の方をちらりと見た時、日菜子は微笑み、美舞は微かに赤面した。

 その様子を不思議そうに眺めていた玲に、日菜子は近付き美舞の心配をよそに話し始めた。


   2


「ねえ、玲君」

 日菜子は小股でちょこちょこと動いた。

「何だい?」

 不意に近付いて来た少女を玲は美舞の友達と言う分類にしか入れていなかった。


「美舞の事はどう思う?」

 いきなりの図星な質問のつもりであった。

「うーん。兎に角凄いよ、彼女は。女にさせておくには勿体ない」

 玲の正直な感想か、かわされてしまった。


「そうじゃなくって。女の子としてよ。可愛いでしょう、美舞」

 両目を瞬いてみせた。

「そうだね」

 美舞といい、玲といい、構造がシンプルなのであろうか。


「あれでも、学園内でも五指に入るわよ。勿論、私もね」

 日菜子はしれっと言った。

「凄い自信だね」

 自信家は兵のみで結構と言うのが、玲の考えであった。


「美舞には自覚がないけどね。それでどう?」

 お勧め度百二十パーセントの美舞は自慢の親友であった。

「そうだね。後、五年もすれば……」

 而して、美舞は好みのタイプであった。

 いけしゃあしゃあと言えたものじゃない。


「今の内に手を付けて置かない?」

 そんな深い意味はない。

 女の子の噂話程度であった。

「でも、彼女は?」

 その美舞自身の気持ちが心配なのは、思い遣りの表れであろう。


「美舞はああだから、なかなかね……」

 日菜子は溜息をつきながら美舞の方を見た。

 そして再び玲の方を向くと玲の胸を拳で叩き、微笑みかけた。

「まあ、頑張ってね。美舞はいい子だから」


「知ってるよ。まあ、これからどうなるかは神のみぞ知るところだろうな」

 玲はそう言うと、美舞と並んで歩いて行った。

 その後を日菜子が付いて行った。

 玲の言葉が「深淵に臨んで薄氷を踏むが如し」であるとも知らずに。


挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ