プロローグ
『星の囁きβ ~ 醒なる美舞☆玲の愛 ~』をご覧いただき、誠にありがとうございます。
本作の後継作品に、『むくのアトリエ β』がございます。
世界観のつながりをお楽しみいただけたら幸いです。
宜しくお願い申し上げます。
m(__)m
いすみ 静江
1
――我々がどこから来たのか。
神を崇める宗教は多い。
本当に神などいるのか。
また、神の中の神、最も優れた存在を知る術はあるのだろうか。
ここに、神の運命に翻弄される少女がいる。
彼女が生きる道は、毅く美しく輝いて行くしかない。
その幼き頃から、我々も辿ってみるとしよう……。
2
「はああああ……! 止めなさい! 僕が許さないよ!」
小学四年生の三浦美舞が、一人、徳川小学校から帰っているときだ。
今は、四月で、まだ、花冷えもしている。
公園の前が通学路になっていて、変態と呼ばれているオジサンが同級生の芳川日菜子を苛めているのに仰天した。
オジサンが日菜子を離したとたんに、彼女をいい香りのする茶色い髪の少年が近くに来て、奥のベンチへ連れて行ってくれた。
後に、彼がとても大切な人となるのが分かる。
だが、この時は、想像だにしなかった。
そして、美舞は肩幅に足を開く。
「いじめは許さないよ。闘いを挑む!」
くっと瞳に力を入れる。
美舞は、日独ハーフで、ぬばたまの黒い瞳と碧眼とのヘテロクロミアだ。
徳川小のベージュの校帽に、黒の髪は二つに結っている。
グレーのボーダーTシャツにジーンズを穿いていた。
ランドセルは、ベンチに置いて、ぱっぱっと手を叩いた。
そして、少し小柄だったが、どんな敵にもお構いなしの顔つきで挑んだ。
「何をですか? 何もしていないので、この赤ちゃんみたいな手で腕を捻るの止めてくれませんか? ちょっと痛いでーす」
新聞越しに五十にはなっていそうなオジサンが、からかう。
美舞は直情的に反応する。
「パンツを穿かないおじさんは、悪い人です。パパが、言っていました。コートを着なさい!」
腕をもっと捻ってやった。
「やっだ……。よ」
愚かにもオジサンにあかっんべーをされた。
「僕に、何てことをするんだ!」
美舞は負けないのだ。
「うるさい! 注意は、ここまでよ? はああああ……。もっと、捻るよ! オジサン?」
美舞は、力を込める。
「口うるせえ、ガキだな。ぶっこんじゃいましょか?」
ダンッ。
公園のブランコに、美舞は、腹を下にして伏せさせられた。
ギイー。
ギイー。
ギイー。
ブランコが揺れる。
美舞は、腹が苦しくなったが、それ位でへこたれはしない。
「何くそ!」
立ち上がった美舞だが、再びブランコは、重くなった。
「オジサンか? 何だよ」
ブランコの上の美舞にのしかかって来た。
「バカヤロー! 俺様は菅田って言うんだよ、分かったか、こんクソガキ! 従えよ? あ?」
酒臭くはなかった。
シラフだ。
かえって厄介でしかない。
「ぶっこんじゃいましょか?」
オジサン菅田、強気に出た。
やはり、変態なんだ。
「何を……? 何だか分からなくても、僕は、負けないよ?」
ギイー。
ギイー。
「止め……!」
押さえ付けが気持ちが悪くて、声を荒げた。
「いいや、止めないよ、オジサンは」
「や、止め……。止めなさーい!」
美舞の心に火がついた!
パクアアアアアアア――ドンッドンッ。
凄い閃光が、美舞の左手の五芒星の痣から出た。
ホウキ星の様に、シャーッと流れた。
キュイジーンジーン――ドンッドンッ。
右手の六芒星の痣からは、手当ての光りが出せた。
こんなヤツだとは思っても火傷は治した。
ドサッ。
オジサンは、スローモーションのように落ちた。
偶然、コートで、パンツの所が隠れていので、美舞のお仕事は上出来だろう。
「しまった! ウルフパパに怒られるなあ……。力を使っちゃった。まずいなあ……。マリアママは、黙るし……」
そんな一件もあり、ビクビクして、帰宅した。
歩みが今度は自分が亀並みのスローモーションだ。
シャラン。
シャラン。
玄関が鳴り、一人娘、美舞のお帰りを知らせる。
「ただいま帰りました。ごめんなさい」
美舞は、体が直角になるまで曲げて、謝った。
汚れたTシャツを見るウルフパパとマリアママが、大体の察しをつけ、うちに上がるように促した。
――そして、話は両親の出会いに遡る。