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彼の生きる殺戮人生  作者: 岩下 圭
学園 初期編
13/50

姉のために

ーーーーーレオンーーーーー


半月後のために兄貴が修行してくれると言った。

なので兄貴に修行をうけたのだが、ものすごくきつい。

今までは走った後に休憩をいれ、兄貴との模擬戦だったのだが、今は走った後にそのまま模擬戦をすることになっている。

しかも、模擬戦では兄貴は1割しか力を出していなかったと言っていたけど、今じゃ3割の力で戦ってくれる。

でも、兄貴の3割は俺には凄すぎて全くついていけない。

なにせ、俺がピクリと動いた瞬間兄貴は反応して俺の動きを止めてくる。

正直兄貴を越えられる気がしなかった。


「ハァハァ、兄貴。どうやったらそんなに速く動けるの?」


俺が肩で息をしながら聞くと、


「まあ、最初の一歩は読みと反射神経かな。次は速さを求めてみろ。」

「速さ?」

「ああ、速さだ。自分の持ち得る限界の速さで相手がしようとしている動きを止めるんだ。無駄なくな。」


なんとなくわかった気がするのでもう一度兄貴に向かってみる。

兄貴が俺の動きを読み、一瞬で俺の剣を弾こうとしてくる。

俺はそれを読んで、剣を離す、そして左手で兄貴を殴る。


(よし!当たった!)


俺は兄貴に一発いれられたと思ったが違った。

俺の拳は兄貴の体に当たるほんの数センチメートルで、兄貴の左手が動いたのが見えた瞬間、俺は左肩にパンチを食らっていた。

そのまま吹っ飛んだ俺は転がって立ち上がり、兄貴の方を向く。


「兄貴!今のどういう事⁉︎」

「何がだ?」

「だって俺の拳、確実に当たったと思ったのに。」

「いいか、レオン。確かに俺はお前に不意をつかれた。お前から拳が繰り出されたのがわかってから俺が殴ってもお前の拳より速くお前に届いた。これが速さを求めるって事だ。」

「わかった!そういうことか。つまり、速さを求めればどんな不意を突かれても間に合うってことだね。」

「それだけじゃないが、そういう面もあるな。」


それからも俺と兄貴は修行を続けた。

マリナ姉は自分の修行の時間も俺のためにと言って俺の修行の時間にしてくれた。

半月間みっちり修行し、今日が決戦の日の前日だった。

兄貴は最後の仕上げと言って、模擬戦をしてやると言ってくれた。


「じゃあ、兄貴、いくよ!」

「ああ、こい。俺の3割を越えてみろ。」


俺はまだ兄貴の3割に一発も当てられていない。

だから、最初から全力で兄貴に向かって剣を振る。

もちろん兄貴は避けるが俺はそれを当然だと思っているので驚かず、左手を突き出しつつ、距離を取って体制を立て直す。


「良い反応だ。だが、もう少し工夫をしろ。そうすれば今のお前なら俺にも当てられるはずだ。」


俺は頷くと、剣を鞘に収め腰に挿してから、兄貴に向かって走り出す。

兄貴の前まで行き、右手で思いっきり殴る。

兄貴は躱し、すかさず反撃してくる。

それを俺は左手で受けながらもう一度右手で殴る。

だが兄貴は俺の右手が届く前に俺の腕を肘で突き、俺の手を止める。

そして兄貴が俺の顔を殴ってくる。

俺は顔に拳が当たることを覚悟し、兄貴に見えないように左手で剣を握る。

兄貴の拳が当たった瞬間意識がぶれる感覚があったが、なんとか踏み止まり、左手で思いっきり剣を引き抜く。

流石の兄貴も俺が抜刀術を使ったことに驚いたのか、後ろに飛んで躱す。

そして、兄貴が着地した瞬間、俺がだせる最も速い速度で鞘を右手で持って思いっきり振る。

兄貴は左手で防御して、俺の鳩尾を殴る。


「グァ。」


そんな声が出て膝をついた。


「レオン、合格だ。お前は見事俺に一発喰らわせた。これならお前は明日の勝負でも勝てる。」

「あ、兄貴、やった…よ。」


バタッ!と俺はそのまま倒れた。

俺が起きると何故か俺は部屋のベッドで寝ていた。

暫く寝ていたのか外は少し暗くなっていた。

そして、台所の方からいい匂いがする。

この寮では全ての生徒が自炊しなければいけないので、部屋一つ一つに台所がついている。

俺はこっそりと台所の方を見てみると、兄貴が料理をしていた。

すると、兄貴は俺の視線に気付いたのか俺の方を向いて、


「起きたのか。もう少しで夕飯が出来るから少し待ってろ。」


修行では兄貴が怖く見えることが有るけど、料理をしているときの兄貴はとても優しい表情をするのでとっても好きだ。

暫く待っていると兄貴が料理を持ってきて一緒に食べる。


「明日はついに決戦の日だ。よく食って早く寝ろよ。」

「うん!絶対勝って、姉ちゃんを取り返してみせる!」

「その調子だ。明日になって緊張で動けないなんて言うなよ。」

「言わないよ。俺は兄貴に修行してもらったんだ。絶対勝つさ。」

「ああ、お前なら勝てる。俺が保証してやる。だから明日は絶対に勝て。そうすれば俺も必ず勝ち、お前の姉を取り返してきてやる。」

「うん!」


そういって、兄貴は俺の頭を撫でてくれた。

頭を撫でられるのはくすぐったいけど、気持ちいいので、好きだ。

食事をたくさんとり、寝床についた俺は寝る前に姉ちゃんを取り返す決意を固め、就寝した。

レオン視点で書けて良かったです。

本当は、前回の話からそのまま戦わせる予定だったのですが、そうするとこの章がものすごく短くなってしまうので、急遽閑話として考えていた話を持ってきました。

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