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彼の生きる殺戮人生  作者: 岩下 圭
学園 初期編
11/50

入学試験

新章開始です。

俺達は2日間修行し、遂に入学試験の日を迎えていた。


「今日でソフィともお別れだな。」

「ソフィ姉…。」

「ソフィさん…。」

「なに寂しそうな顔してるのよ。また会えばいいじゃない。」

「でも、」

「でもじゃないの。貴方にはマリナもヒイロもいるんだからしっかりしなさい。」


泣きそうなレオンの頭を撫でるソフィ。


「マリナ、ちゃんとヒイロを見ておくのよ。ヒイロはなんか1人でどっか行っちゃいそうだから。」

「はい。」


そう言ってマリナの頭も撫でる。


「ヒイロ、貴方にも言っておくけど、1人で消えちゃだめよ。私、貴方達が卒業したら、迎えにきて一緒に旅してもらうから。」

「ああ、約束しよう。1人ではいなくならないよ。」

「ふふ、ありがとう。それと、」


そう言って、ソフィはいきなり顔を近づけてきて、いきなり自分の唇で俺の唇を塞いできた。


「何をするんだ。」

「あら?反応うすいわね。まあ、いいわ。卒業したら私を貰ってもらうからね。」

「考えておくよ。」


何故か隣でマリナがピクピクしてるが気のせいだろう。

そんなマリナにソフィが小声で何か呟き、


「さあ、行ってきなさい!貴方達なら絶対受かるわ!受からなくても私と旅できるんだから気楽に行ってきなさい!」

「「「はい!」」」


俺達はソフィに見送られながら学園に向かった。

学園に着いた俺達は受付で金を払い、受験番号札を貰っていた。

俺は123、レオンは121、マリナは122だった。

受験の内容は至って簡単なもので、異能を判別できると言われているこの学園の学長が作った水晶に触れるだけで良いらしい。

必要があれば能力を見せなければならないのだが、俺達は異能者ばかりなので少し不安だった。


「マリナの能力は絶対に一度は見せろと言われる。思いっきりやってやれ。そして、レオン。お前はよくわからん。《直感》は正直、肉体強化系でも近いことができる奴がいるらしいし、聞かれんかもしれんが、聞かれたら披露していいぞ。最後に俺だが、俺は《治癒》の方しか使わない。もう一つの方は俺が能力で殺して、何とかばれないようにする。だから、お前らも余計な事を言うんじゃないぞ。」

「わかったよ!兄貴!」

「わかりました。」


話し合いが終わった俺達は自分達が呼ばれるまで待った。

遂に俺達の番号が呼ばれた。

受験者は5人ずつ入るので俺達以外にも2人いるようだが、1人は獣人で、もう1人は人族のようだ。


「はい。ではお座りください。」


試験官は5人らしく、俺達は試験官の指示に従い座る。

レオンとマリナには礼儀も教えたため、一通りできる。

他の2人も礼儀はちゃんとしているようだ。


「では、早速ですが水晶に触れてください。」


そうして、受験番号の1番早いレオンが触れようとすると、


「待て!」


突然人族の子が叫んだ。


「獣人の触った水晶なんか私は触りたくもない。だから、私が一番先にやらして貰ってもよろしいですか?」

「何だと!」

「レオン、やめなさい。」

「はい!」


レオンがキレそうだったのでとめておく。

すると、試験官の一人が、


「そうだな、獣人なぞ我が学園に要らぬ存在なのだ。それを受けさせてやっているのだからそれくらいは当然の主張だ。」


どうやら、獣人が嫌いな先生らしい。

それに、どうやらあの男の子は貴族のようだ。

そして、男の子は水晶に触れ、水晶からは二つの文字が浮かんでいた。


「炎と氷の『二重ダブル』ですか。なかなか珍しいですね。」

「当然です!私はあのボードウィン家なのですから。」

「ほう、ボードウィン家か。」


先程の試験官が反応している。

どうやら獣人が嫌いなだけでなく貴族が好きな先生らしい。


(馬が合いそうにないので、できるだけ関わらなようにしよう)


そして、どうだと言わんばかりにレオンの方を見てドヤ顔している。

レオンは少しキレそうだったが耐えていた。

そして、もう一度レオンの番になる。

レオンが水晶に触れると『直感』の文字が浮かび上がる。


「これは…。」

「異能持ちですか。」

「見たことがないですね。」


試験官達が口々に話す。

そして、試験官の中で一番偉そうな人が口を出す。


「貴方のその能力がどんなものか見せて貰ってもいいですか?」

「えっと、この能力発動してもわかりにくいんですよ。ちょっと反応が良くなったり、相手の動きや命の危機がわかるようになるくらいで、なので見せるって言うのも難しいです。」

「そうですか。わかりました。では、次の人お願いします。」


そう言われて、レオンが自分の席に戻る。

途中で、さっきの貴族の子が睨んでいたが、無視した。

次の人のマリナが前に出て水晶に触れる。

しかし、水晶には何の文字も出ない。

試験官達が騒ぎ出す。


「どういうことだ⁉︎水晶が反応しないなんて⁉︎」

「君⁉︎君は無能力者なのかね⁉︎」

「いいえ、違います。」


マリナが落ち着いて答える。


「では、君の能力は?」

「能力の『無効化』です。それは、この水晶も例外ではありません。」


マリナの言葉に試験官達は驚き、動揺を隠せない。

ある試験官が口にする。


「では、その能力を試しても?私は火属性の能力なので貴方にそれを使ってもよろしいですか?」

「構いませんよ。」


男はマリナの方に手を向け、火の玉を出す。

隣の試験官達は子供相手に威力が強すぎると騒いでいるが、マリナはあまり気にしていない様子なので、納得する。

そして、火の玉がマリナに向けて放たれる。

マリナはそっと手を出しその火の玉を掴むようにして消す。

すると試験官達は唖然とし、騒ぎ出す。


「すごい能力だ。本当に能力の無効化ができるなんて。」

「今年は異能者が二人も学園に入ってきますね。」


などとコソコソ話しているからマリナとレオンの入学は決まったようだ。

次は俺なのだがマリナの能力に皆驚き、話しているので俺の番が来るのは少し先のようだ。

なので、俺は、


第一施錠ファーストロック、解除」


その混乱に乗じて能力を解除しつつ、水晶の能力だけを殺すために極限まで集中する。

そして、混乱から戻った試験官が


「ほらほらみなさんまだ、二人いるのですから取り乱さないでください。次の方どうぞ。」

「はい。」


なかなか混乱から戻るのが早いなと思いつつ、右手で水晶に触れる。

触れながら『殺害』の能力が浮かばないようにイメージしつつ、全力で集中する。

すると、水晶からは治癒だけが浮かび上がり、殺害は浮かび上がらなかった。

どうやら成功したようだ。

しかし、気を緩めることはできないので、そのままそっと手を離す。


「治癒ですか、どのくらいの治癒か見せてもらう事はできますか?」

「私の治癒は生物しか治せないのでできれば誰か怪我してもらえないでしょうか。」

「わかりました。」


そう言って、一番偉そうな人がナイフを持って自分の手を切る。


「これで良いでしょうか?」

「はい。ありがとうございます。」


俺はそのひとの腕に左手で触れ、すぐに離す。


「もう終わりましたよ。」

「これは…!。早いですね。異常なくらいに。ちなみに何処まで治せるですか?」

「このくらいの傷なら一瞬で欠損でも一秒もあれば治せますね。」

「そうですか。」


そう言って自分の席に戻るとさっきの試験官がニヤニヤと俺を見ていた。

この視線は何か面白いオモチャを見つけたというような視線だ。

できれば関わりたくないと思いながら、最後の一人が水晶に触れる。

彼は肉体強化のようだ。

獣人は既に元から身体能力が高いのだが、肉体強化を使って跳躍して、3メートル以上飛んでいた。


(この子も合格決定だな。)


入試が終わり、俺達は一時間ほど空き部屋で待つ。

そして、学園の入り口まで行き、合格者の張り出しがされるのを待つ。

すると、教師達が紙を抱えて持ってきて、広げ始める。

周りの入試を受けた子らが緊張し始める。

教師達が紙を広げ終わると、皆が一斉にその紙に向かっていく。

俺達もその紙に向かって自分達の番号を確認する。


「兄貴!俺あったよ!」

「私もです!」

「ああ、俺もあった。」


レオンとマリナが抱きついて来る。

俺はこの二人は受かると確信していたので当然の事にここまで喜ぶ二人に苦笑いしながら、頭を撫でる。

そして、入学手続きを済ませ、早速自分達の家になる学園の寮まで行く。

もちろん男性寮と女性寮は別なので、マリナとは別れて行く。

途中でマリナが男性寮について来ようとするトラブルがあったが、それ以外は別に問題なく学生寮までこれた。

この学園では、入学が決まった生徒はその日から学生寮に入っていいので早速学生寮長に挨拶し、自分の部屋を教えてもらう。

この学生寮は二人部屋だったので、俺は誰と部屋が同じになるかと心配していたのだが、レオンとだった。

正直知らない奴とじゃなくて安心した。

レオンも嬉しかったらしく、尻尾が大きく振れている。

俺はこれからよろしくなという意味を込めながらレオンの頭を撫でた。

作者の病気のせいで投稿が遅れ気味です。

申し訳ありませんが、投稿頻度が遅くなるのは確実なので、申し訳ありません。

新章開幕です。

ここからは学園でのヒイロ達の物語になるので、しばらくソフィはお休みです。

さりげなく、プロポーズするソフィなんて抜け目ない!

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