幼女に誘われ異世界へ!
初めて小説に挑戦です。誤字脱字が多いかも知れませんが、そこのところはお見逃し下さい。
「はぁ……、クソだるい……」
パソコンの前でそんな愚痴をこぼす俺は田中 勇也18歳、引きこもり、趣味はネトゲ、好きな食べ物はドーナツ、好きな子は幼女。職業は自宅警備員、俗に言うニートだ。
そんな俺でも高校の卒業式くらいは出ないと追い出すと親からニートへのパワハラを受けた。そのため今日は卒業式だ。そもそもクラスメイトの顔は1人も知らないし……いや、1人知っているがここ2年は会っていない。教師には一応会っている。現代の高校では珍しい熱血教師だ。
いや、俺がそもそも教師をそんなに知らないだけで、実は普通なのかもしれない。
しかし、ニートの俺にそれを判断出来るかはわからない。そんなことを考えながら、軽い貧血を起こしながら部屋のドアノブへ手を掛けた。
「眩しい……」
朝日を浴びるのは久々だ。うん、キツイ。
「やっぱ、無理。寝よう。」
俺はゆっくりUターンすると、
「コラコラ!待ちなさい!!」
タイミング良く母に止められた。
母は今年で40歳。なのに元気が、ありすぎる。
最近、毛を染めたのか綺麗な茶髪になっており、スーツ姿がとても似合っている。昔は美人と呼ばれていた母が化粧をして更に美しくなっていた。童貞ならイチコロレベルだ。
しかし、残念ながら俺はロリコン。幼女しか愛せない。熟女好きでも無ければ、マザコンでもない。残念だったな、 母よ。すると、
「何、見蕩れてるの?」
そんな、馬鹿なことを言ってきた。
「あぁ、ごめん。シワの数を数えてた。」
「むっきー!あんたね、言っていいことと悪いことがあるんじゃない!?」
「はいはい。」
「もうご飯出来てるから食べて来なさい。あ、あとそれとね……」
そんな若干ムキになった母をほっといて、朝食を食べようとリビング向かった。普通ならば、ここで父の説教があるのだろうが、父は母と数年前に離婚した。だから朝食は1人で静かに食べようとしたが、ドタバタと足音が聞こえてきた。
そう、我が家にはもう1人紹介してない人物がいる。
「あれ?お兄ちゃんがいるなんて珍しい。いつもは自室しか警備してないのに」
可愛い顔してそんなことをストレートに言ってくるのは5歳下の妹遥香だ。遥香は美人母の血を引いてるだけありクラスでもアイドル的存在。しかも、ファンクラブまであるという。なんていうか、雲の上の存在みたいな奴だ。
「失礼な、自室以外も警備してる。今日は卒業式だから流石に出ろとさ。自宅警備員に出張があったなんて驚きだ」
俺はトーストをかじりながらそんなことを言うと、
「まあ、でもお兄ちゃん、早く進学なり、就職するなり社会に貢献してよね」
手厳しいお言葉を頂いた。
「おい、待てよ。それじゃ、まるで俺が社会に貢献してないみたいじゃないか」
「してないよ!むしろ、社会に反抗してるよ!」
「あーあー、聞こえない聞こえない」
何年、ニートをやっていると思っている。誇れはしないが俺はプロだ。自宅に何かあれば守るさ……多分……。
「あ、そうだ!早く用意をしないと卒業式に間に合わない!急がないと!」
「お兄ちゃん、話を逸らさないで!お兄ちゃんがニートのせいで私がどんなに苦労をして……」
「ごちそうさまでしたー」
素早く朝食を食べた俺は、耳を塞ぐ様にして自室へと戻ろうと、階段を上がった。
「ん、なんだこれ?」
部屋の前に袋が置いてあった。中身は制服だった。母がクリーニングに出してくれてたらしい。俺は服が入った袋を持ち、部屋で着替えた。
「お、まだ似合うな」
と、鏡の自分を見て自画自賛。学生なのだから制服が似合うのは当たり前なのだろうが年中パジャマ服の俺にとっては縁のないものだ。
「さて、行くか」
俺は重い足取りで玄関へ向かった。さて、では出発……。ふと、後ろに気配が……。
「待て待て、私を置いて行こうとするな。」
「あっ、やべ」
「我が子ながら、中々似合ってるじゃないか。しかし、それを見るのも久々だね。しかも、それが最後っていうんだから笑えるよね」
「笑えねぇよ」
「なんで、置いてこうとするのかな。こんな美人と歩けてむしろ、光栄だろ?」
「落ち着け四十路」
「あんたね〜!」
母にバレず、こっそり行こうとしたところを母に見つかってしまった。いい歳して何故母と行かなければならないのか。昔から運のいい母だったが、こんな時でもその運の良さを発揮しないで欲しい。
「なんで俺は母さんと行かなきゃならないんだ」
「そりゃあ、ニートの息子が家から出てきて、変な輩に絡まれたらどうするんだい。」
「母さんが一緒だと、毎回俺が何かしら変な目に会うんだよ。中学生の卒業式の時は友達の父さん方にナンパされてたろ。」
「自慢の母でしょ?」
「父さんを忘れて、本気になるなよ?」
「我が子ながら、まだ分かっていないようね。私の父さんへの愛はまだ、続いているのよ」
「その愛し方が原因で別れたんだろ。詳しくは知らないけどさ」
「その愛の子が勇也、お前じゃないか。」
「愛の子言うな」
「お兄ちゃんもお母さんも早く行かないと遅刻しちゃうよ!」
そんな会話をしながら俺は母とともに地獄あるいは迷宮と呼べる学校に到着した。もちろん、途中に父親方もといナンパは出現したが、後に追いついたその嫁方、流石は嫁集団。あれは、怖かった。あれが俗に言う鬼嫁とやらかと納得させられた。しかし、今はそんなことよりも目の前の現実から逃げ出したい。魔法が使えるなら速攻逃げるのに。いかんせん、ここは現実ゲームの中とは違うのだ。早速体育館へと行こうと、
「おーい!田中ー!田中じゃないかー!!」
やかましい声が聞こえてきた。担任の熱血教師こと、育火 泰三だ。育火はいつも寒かろうが薄着でいる。そんな頭まで熱血も今日は流石にスーツだった。俺は何かと育火が嫌いだ。わざと無視しているのにそれを無視して話しかけてくる。学校に来ないからと言って何度も家に押しかけて来て、ドアの前で学校の楽しさを何度も説いていたが、ネトゲのイベント周回中の俺には何も聞こえなかった。そんな訳で俺は育火が嫌いだ。しかし、全てが嫌いという訳でもないがとにかく熱血の部分はとても嫌いだ。
「やっと出てきてくれたのか、田中。先生は待っていたぞ」
育火は腕を組み、頷きながら言った。
「卒業式だけです。それが終われば帰ります」
「そうかそうか、今日は卒業式。つまり高校生最後の日だ!途中で帰ったりするなよ!」
「はぁ……、はい……」
育火は母へと視線を向けると
「田中のお母さん、ついに彼を家の外へ連れ出してくれて……、ありがとうございます!一体どんな手を使ったのですか?」
やめろ!育火!聞くんじゃない!
すると母は、
「ちょっと人様には言えない事です。」
とモジモジしながら言った。
だめだ、これは誤解される。
「人様に言えない事!?そ、それは凄い方法を使ったんですね!!」
顔を赤くして、育火は言った。母は昔から男グセが悪かった。今もそれは残っている。子供の前ではやめてくれ。そう思っていると、
「では、教室でHRをしてから全員で体育館へ移動ですので保護者は体育館で待っておいて下さい」
ようやく、普通に戻った育火はそう言って一礼して教室へと向かって行った。
「チョロいわね」
そこには勝ち誇った母がいた。
「久々だけど、入りたくないなぁ。」
俺は教室の前に着くと後ろのドアからこっそりと入った。
「あぁーー、勇也。ようやく出てきたのね!」
目立ちたくない俺は本日2度目の叫び声を聞いた。
叫び声の主は北条 由利。由利は男勝りな性格だが胸が大きいクラスの委員長、ショートカットの隣に住む幼馴染みだ。由利は可愛いが残念ながら胸がありすぎる、贅沢を言うが俺は幼女しか愛せない男。バストを2.3まわりは小さくしてから来て欲しいものだ。
「勇也、あんたが来なくてみんながどれだけ心配したか……!」
由利は早口でそう言った。
「でも心配してたのって委員長と育火先生だけじゃ」
「そうそう、噂では委員長と田中くんできてたんだって!」
ボソボソと周りが話しているが由利がうるさくてよく聞こえない。目の前の由利は何故だか顔が真っ赤だ。熱でもあるのだろうか。
「とにかく、あんたが来なくてみんな心配してたんだからね!」
「よく分からんが、ごめん」
「全くもう!」
ニートが心配されるのだろうか。心配されていると言っているのでされていたのだろう。
「ほら、委員長も田中も座れ!最後の日に委員長、何叫んでるんだ。HRを始めるぞ。」
育火に怒られ、渋々席に座る由利。ふくれっ面をしてこっちを見ているが、何も出ないぞ。
適当にHRを聞き流していたら、そろそろ体育館へ向かうらしい。
体育館前に着くとこの日ためだけに1.2年が働かされ体育館の入口は軽いイルミネーションで飾られいた。そしてその体育館の中は吹奏楽部の演奏が響いている。こんな中を歩かされるなんて拷問とも思える。少しして先頭が動き出した。俺は周りを見ながら必死に合わせる。なるべく目立たないように。
ふと、母がどこにいるのか気になった。母の行動は未だに読めない。辺りを見回すと、いた。母だ。男と喋ってやがる。なんて奴だ。元々気にするつもりは無かったが家から引っ張り出してきた息子を無視してお喋りしてるとは上等だコラ。後で文句を言いに行ってやる。
そんなことを考えているとようやく自分の席に着いた。すると後ろから、
「勇也、あんまり怒らないであげてね」
コソッと由利に後ろから話しかけられた。後ろが由利とは。今日はツイて無いようだ。
周りに知らない奴がいっぱいいるので返事は出来なかった。無論、怒らないなどあるはずはないが。
校長の長い話が終わり、いよいよ、卒業証書が授与される。これが終わればやっとこの生き地獄から解放される。ニートの俺にとってここにいるだけでも重労働レベルだ。隣の奴が呼ばれ次は俺の番……。
だが、一向に呼ばれる気配がない。何故だ。そして、隣の奴も帰ってこない。そして俺は周りの異変に気づいた。俺以外が全く動かない。
そう、時が止まっていることに……。
俺はすぐさま立ち上がった。
だが、誰1人反応はない。いや、すぐ近くで1人だけ反応があった。
それは由利だった。
由利はこの止まった時の中で震えていた。
「な、なんでみんなう、動かないの…?」
男勝りな由利でもこの状況には女の子になっていた。
「俺が家を警備してる間に技術革新でも起きたのか?」
「そんなこと起こってない!」
「じゃあ、なんだ。今から神様でも表れるってのか」
「ありえないよ、で、でもなんで急に私達だけが動けるの」
言いあっていると、突如どこからとも無く見た目は8歳くらいの短い金髪をした人形みたいな幼女が現れた。
「はじめまして。私はラナ。」
そう言って、幼女ことラナは頭を下げた。
俺の好みどストレートな女の子だった。
「あなたが田中 勇也さんですね。隣にいるのはえっと……。誰でしょう?」
この女の子はどうして俺の名前を知っている。頭が色々混乱する中、
「私の名前は北条 由利、勇也の幼馴染みよ」
すこし震えながら、由利がラナに名前を紹介した。
「勇也さんの幼馴染みでしたか。それは失礼をしました」
ラナはお辞儀をした。正直幼女のお辞儀はこんな場面じゃなければずっと見ていたい。
「えっと、ラナさんはどうしてここに来たんですか?」
知り合いには強気な俺だが、初対面の相手には敬意をもって接する。それが幼女でもだ。決して、ニートの習性じゃない、じゃないと思いたい。
「ラナで構いませんし、敬語じゃなくても結構ですよ田中 勇也さん。私がここに来た理由は話すと長くなります」
「分かった。ラナがいいって言うならそうさせてもらうよ。聞かせてくれ、ラナがここに来たわけを」
我ながら適応力が高い。オンラインゲームの賜物だ。これを学校でも活かせればこうはならかったろうに。
ラナは話し始めた。
「私はとある世界を治めている神なんです。しかし、そこでは魔王による無慈悲な殺害が繰り広げらていています。でも、そんな世界でも勇者がいました。しかし、勇者は魔王どころか魔王の幹部の手により、敗れました。勇者が敗れたことにより世界の均衡が崩れました。魔王軍の力は日に日に増す一方。ある時に魔王軍の中で内戦が起こりました。その時を好機と思い、私の部下を送り魔王を倒そうとしましたが勝てるわけがありませんでした。部下は命からがら逃げ出し今でも休息をとっています。どうすればいいか本当に何も出来なくなった結果、全ての神の親オールゼウス様に相談しました。するとオールゼウス様は言いました。
「あー、ワシに頼っちゃう?頼っちゃうかー、しょうがないなぁもう。可愛い子の頼みじゃ、ホレこれをやろう。神器『天ノ水晶』じゃ。これを使うとその人が何をすればいいのかを写してくれる。これは1回のみの使い切りじゃ。ただし、たまに失敗もあっちゃ……あっ、ちょっ、話を最後まで……」
私は礼を言い急いで自分の治める世界へ戻り使いました。すると……」
「俺が見えたってわけか」
「はい」
ラナは小さく頷いた。
由利は何が何だか分からないようだ。俺はゲーム脳だからこんな非現実的な話をすんなり受け入れられるが由利にはさっぱりなようだ。
「アッハッハッハッハッ」
俺は数年ぶりに笑った。初めての感情だった。それは何とも言えない高揚感が自分を襲った。
「でだ、ラナ。俺はどうすればいい?」
ラナはニッコリと笑い言った。
「はい、田中 勇也さんに私の世界で異世界へ転移して貰おうと思います。もちろん、無償でやって貰おう。なんて、思ってはいません。魔王を倒せた暁には神の力で願いを一つ叶えてあげます」
このくだらない世界からさよならして、願いを叶えてもらえる、最高じゃないか。そして決め手は幼女の頼みを断れるわけが無い。
「ラナ、俺、やるよ」
「ちょっ、ちょっと待ってよ勇也。学校は良いとしてもあなたのお母さんや遥香ちゃんを置いていくの!?」
「うーん、むしろあの2人は俺がいなくなってせいせいするんじゃない?」
「バカ!なんでそんなこと言えるの!?」
「いいんだよ、俺の人生。好きにやらせてくれ。」
「限度があるよ!」
そんなことを俺達が言っているとラナが、
「えっと、では北条 由利さん。田中 勇也さんと一緒にあなたも異世界転移をしますか?」
そんな提案をしてきた。
「え、でも私……」
少し悩んで由利は言った。
「分かったわ。私も異世界転生します。」
「ええ!?」
俺は驚いた。何を言っているんだ由利は。そこは断れよ。
「だって勇也だけじゃ、最初の村人にだって声を掛けられないわ。それなら私がついて行った方がいいわ。それに……勇也1人にさせてられないんだもん」
可愛い顔してこいつ。俺は胸がドキッとした。これはまずい。
俺はラナを見ると。
「どうしました、田中 勇也さん?」
うん、可愛い。幼女最高。神じゃなく法律もなければ今すぐ抱きしめたい。抱きたい。
俺は由利の方へ向き言った。
「確かに由利がいてくれれば心強い」
「でしょでしょ」
満足げに由利は微笑む。
確か由利は空手を習っており、そこらの大人くらいなら余裕で倒せる。2重の意味で心強い。
すると、ラナの体に羽が生え、宙に浮き、輝き始めた。
「では、決まりましたね。田中 勇也さん。北条 由利さん。あなた方に世界の運命を委ねます。あなた方に神の祝福があらんことを!」
俺達はなんだか暖かい光に身を包まれた。
読んで頂きありがとうございます。クスッと笑って頂いければ幸いです。ゆっくりと更新して行きますので、気長にお付き合いお願いします。