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今日も菜耶子が、家に帰ったら、[ろく]は、お外に出てた。
ピンポーン。
「菜耶子さん、いますか?」
「はい。今…。」
2階の自室にいた菜耶子の耳にも、ピンポーンの音が聞こえた。
‘麻奈美がきたのかな。’
菜耶子は、ちょっと慌て、1階に降りようとした。
菜耶子が自室のドアを開ける直前に、母の声が、ドアの向こう側から聞こえた。
「麻奈美ちゃんが、来てるわよ。」
「今、行くー。」
私がドアを開けると、母は、階段を降りているところだった。
「麻奈美、ケーキ、おいしかった?」
「うん。今日も昨日と同じで美味しかった。今日はね、イチゴのケーキと、メロンとかがのってるタルト、食べたの。」
2人は、菜耶子の部屋で話していた。
「そっか。よかったね。」
「うん!」
麻奈美は満面の笑み。
「あ、猫ってどこにいるの?」
「[ろく]ね。猫の名前なんだけど。今いないの。お外に行っちゃった。[ろく]1人で。昨日もなんだよね…。」
「そうなんだ。見たかったのになー。」