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「柏田くんって言ったか?今。」
‘しまった!’
「言ったわよ。」
菜耶子は、ドキドキした気持ちを隠すように、強めに言った。
「さすが。菜耶子。でも、どうして、わかった?」
「昨日、一緒に帰ったときの柏田くんの体型と、そっくりだったから。」
「よく見てるじゃん。菜耶子。」
「だって…。って…。」
菜耶子の背後から、柏田くんが、手を回してきた。
「ちょっと…。」
回してきた柏田くんの手を、解こうとした。
「今から、どうして、俺がいるか話すから、それまで、手は、どかさないよ。いいよね?」
「いいわけな…。」
柏田くんが、菜耶子の体を、くるんっと回転させた。
柏田くんと菜耶子の目が、合った。
「いいよね?」
「はい…。」
菜耶子は、自然とこう答えていた。
「今から言うことに、びっくりして気を、失わないでね。」
「失わない、わよ。」
「うん。じゃ、言うね。俺が[ろく]なの。」
「えーっ。それ、何?小説でもあるまいし…。」
「それが、あるんだな。」




