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「あ、俺は、こっちの道だから。」
菜耶子の家の、ほんの少し手前の曲がり角の道で、柏田くんは言った。
‘これだけ、同じ道って、何?’
「そうなの。じゃ。私は、こっちだから。」
「残念。もう少し一緒にいたかったのにな。菜耶子さんと。」
「いたかったって?2人とも無言だったから、1人で帰ったのと、同じじゃない?」
「わかってないな。菜耶子は。話さなくても、こんな近くに、好きな人がいることが、いいんじゃない?」
「そう。私は、よくわからないけど。じゃ。」
菜耶子は、歩きだそうとした。
その瞬間、菜耶子は、座り込んだ。
「大丈夫?高木さん。」
さっきまでと、まったく違う感じの声。
「大丈夫だよ。」
柏田くんの違う感じの声に、菜耶子もつられた。
「でも…、顔が熱いし、一緒に帰ろっ。」
「あと、も…」
菜耶子の言葉が、言い終わらないうちに、柏田くんが菜耶子の肩を抱き、立ち上がらせた。
「ありがとう。」
菜耶子は、そう言うと、柏田くんは、少し微笑んだ。
「一緒に帰ろう。」
‘まぁ、いいか’
「うん。帰ろう!」




