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道1
「私、1人で帰れますよ。大丈夫ですよ。」
「でも、心配だから。柏田くんの好意に甘えて、一緒に帰りなさい。」
「心配性なんだから。先生。」
菜耶子は、少しおどけた感じで言った。
「心配性で、結構です!生徒に何かあっても困るし。」
「でも…」
「つべこべ言わず、帰りなさい。」
「はーい。先生、さようなら。」
菜耶子は、そう言って、保健室のドアをあけた。
「先生、さようなら。」
「さようなら。柏田くん。高木さんのこと、よろしくね。いたずらしちゃ、だめよ。」
「いたずらってなんですか?」
「一応言っただけよ。じゃ、高木さんを、よろしくね。」
「柏田くん、私、一人で帰れるから。」
菜耶子は、校門をでたところで、柏田くんに言った。
「そう。じゃ。」
少し拍子抜けした菜耶子だったけど、菜耶子は、そのまま右に曲がって、すたすたと家に向かって、歩いた。
しばらくして、振り返ると、後ろに柏田くんがいた。
「私、1人で帰れるからって言ったよね?」
「うん。聞いた。」
「じゃあ、どうしてついてくるの?」
「俺も、こっちの道だから。いやー、高木さんと、同じ道で、びっくりしたな。」
柏田くんは、涼しい顔で、言った。




