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コンコン。
「香子、大丈夫?」
菜耶子は、自室の斜め向かいにある、香子の部屋のドアを、軽くノックした。
「あ…、菜耶ねぇ。うん。大丈夫かな。熱は、まだあるけど。ちゃんと、晩御飯食べたし。お粥だけど。それより、菜耶ねぇ、そんなとこに立ってないで、入ったら?」
「香子の風邪が、うつったら、嫌だし。」
「……。」
「なんてね。嘘。私も、風邪引いたんだ。熱も出てるし。だから、部屋に入っても、ゆっくりしないし。」
「……。あ、ちょっと寝てた。ごめん。あ、うん。菜耶ねぇは、大丈夫?」
「うん。たぶん、大丈夫。じゃ、私、行くよ。」
「……。」
‘香子、寝てるな’
菜耶子は、自分の部屋に戻った。
「にゃっ。」
菜耶子は、自分の部屋のドアの前で、何か柔らかいものに、ぶつかった。
「あ、[ろく]、ごめんね。」
菜耶子は、[ろく]のお腹の肉の一部を踏んづけていた。
「ごめんね。[ろく]。気づかなかった。」
「にゃ~。」
[ろく]は、そう鳴いて、菜耶子の足にすり寄ってきた。
菜耶子は、[ろく]が足にくっつたまま、自室のドアを、開けた。




