虚毒
僕は1人だ。
いつでも1人だ。
僕が生まれた時、両親は既に居なかった。
1人で生きていく術が分からなくて死にかけていた僕を拾ったのが育て親。
誰がなんと言おうと僕の親。
だけどニンゲンは言った。
「彼女は君のお母さんではないんだよ。」
僕は否定した。
それでもニンゲンは言い続けた。
「彼女に育てられたのは間違いなんだよ。」
間違いだったら、今この場にいる僕はなぁに?
僕は育った。
そして今ここにいる。
「君をちゃんと教育し直すべきなんだ。私達が君を立派に育てるからね。」
リッパってなぁに?
真っ白なニンゲンに、何度もメスを入れられた。
何度もチュウシャで血を抜かれた。
痛かった。
耐えられなかった。
僕は夜こっそり抜け出して、お母さんに会いに行くようになった。
ある日、ニンゲンは言った。
「猪鍋は好きかい?」
僕は涙がとまらなかった。