1 出会い
「・・・・最後に、学級委員長をやってくれるやつはいるか?」
入学式の次の日のホームルームで、担任の上田がこれからの学校生活の説明を終え、そう聞いた。
(そんなの、やるヤツがいるわけない。ある程度目立たないで、普通に過ごせればそれでいいんだ。)
田中勇太は、そんなことを考えながら、視線を伏せていた。 名前も、成績も、運動も見た目も普通な勇太は、立候補する気などまったくなかった。クラスに沈黙がただよう中、
「はいっ!」
一人の少女の、はっきりとした声がクラスに響いた。
その声は、勇太のすぐ隣から聞こえてきた。勇太は声の方向を見た。
「宮本、やってくれるか。」
「はいっ!クラスのために頑張ります。」
勇太の隣、宮本とよばれた少女は立ち上がり、元気よく答えた。
(何考えてるんだこいつ・・・)
勇太は、そんなことを考えて宮本の顔を見てた。
「じゃぁ、委員長は宮本、次に副委員長を・・・」
と、上田が次の話に入ったとき、宮本の凛とした両目が勇太の視線とぶつかった。
「・・・っ。」
勇太が驚いてる中、宮本は先ほどと同じはっきりとした声で、
「先生!副委員長は、田中君がやってくれるそうです!!」
そう言った。
「はぁ!? お前何を・・・むぐ!?」
そう言い切る前に、宮本に手で口をふさがれた。
「それじゃぁ、副委員長は田中で・・・よし、今日はここまでだ、お前ら気をつけて帰れよ。じゃぁな。」
そんないいかげんな、あいさつをして上田は教室を出ていく。そして、部活見学などでいそいで他のクラスメイト達はどんどん教室を出て行き、宮本と勇太の二人だけが残された。それを見てから、宮本は手を離した。それと同時に勇太は叫んだ。
「っは!・・・おまえどういうつもりだよ?俺は、副委員長なんてやる気ねーよ!俺は、普通に学校生活を送りたいんだよ!」
そんな、勇太を見て宮本は口を開いた
「まず、あんたに言いたいことが3つあるわ。」
そういって、宮本は指を3本立てて言った。
「1つ目! あたしは、お前じゃない。宮本栞っていう名前があるの!特別に栞って呼ばせてあげる!」
「2つ目! 普通なんてつまらないわ!おもしろくないと意味がないの!」
「3つ目! あんたは、つまらない目で私を見てた!だから、おもしろくするためにあなたを副委員長にしたの!」
「わかった?」
「っ、はい」
勇太は、勢いで返事をしてしまった。
「わかればいいのよ!!」
「いや、いまのは・・・」
「これから、私のおもしろい学園生活のためによろしくね、勇太♪」
そう言って、栞は手をだした。
(目立たないように、仕事をすればいいか・・・)
そんなことを考えながら、勇太はその手を握った。
これから、あんな普通ではない学園生活が始まることさえ知らずに・・・
初投稿作品です。しかし、素直な感想をどうぞ。