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ONLINE  作者: niziya
LOG.04 " BUCCANEER "(未改訂版)
35/57

#04-00

 気怠い授業と地獄の特別追試、ついでに憂さ晴らしの地下攻略を続けること数日――ようやく五稜郭高校は終業式を向、俺にも夏休みがやってきた。もっとも、例の事件で特別追試を受けることになった面子は、終業式後に答案用紙の返却が待っていたため、今もこうして教室に残っているわけだが。

「じゃあ、返すぞぉ」

 全部の答案を預かってきたワカさんが地獄の窯を開けた。

「まず藍沢(あいざわ)ぁ」

「はーい……ぐわぼっ!」

「よーし、次は宇喜田(うきた)ぁ」

「うぃーっす……あばっ!」

 出席番号順に名前を呼ばれた連中は、ひとりずつあまりの点数に悶死していく。

 というのは冗談で。

「次は……久賀(くが)ぁ」

「へーい」

 俺は少し痛む左手首をさすりながら席を立った。

 教壇に立つジャージ姿のワカさんは、苦笑まじりに答案用紙の束を突き出してくる。

「中間の時も言ったが……おまえ、まともに勉強してないだろ?」

「してますよ」

「嘘言うな」

 俺の伸ばした右手を、ワカさんは答案用紙でペシッと叩いた。

「やればできるんだから、少しやったらどうだ? 今回も全部、赤点ギリギリだぞ」

「えっ!?」

 ギリギリってことは……赤点がひとつも無い!?

 驚きながら答案用紙を受け取った俺は、その場で全部の点数を確認した。

 どれも50点以上。

 ちなみに最高得点は数学の61点。最低得点は現国の53点だった。

「よしっ、赤無しっ!」

「喜ぶポイントが違う」

 ワカさんは身を乗り出しながら、俺の頭をペシッと叩いた。

 笑いが起きる。

 ふん、笑いたければ笑え。今なら許す。これで俺は、夏休み中の補習を受けずにすむんだからな!

「おーっ、すげーっ。見事すぎるギリギリだな」

「なんだよ久賀ぁ。おまえも補習仲間だろぉ」

「補習はいいぞー」

「こっちゃこーい、こっちゃこーい」

 席に戻る途中、妖怪“補習生徒”がまとわりついてきたが、軽くあしらっておく。

 という感じで。

 ようやく俺にも夏休みが訪れた──はずだったのだが。






ONLINE : The Automatic Heart






LOG.04 " BUCCANEER "




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