第三話 家系図
懐かしいな。
ガチャ
「ただいま」
「タカノリ?もう帰ってきたん?」
「おう、親父の事で色々と大変やろうし」
「まぁ...そうね。とりあえず荷物運んでおいとくから、渡し」
「タカノリは、お父さんに手合わしとき」
「分かった」
居間を抜けて、仏壇に行く。
仏壇の上の父はいい顔をしている。
輪鈴を鳴らし、手を合わせる。
静けさを感じるまで、手を合わせた。
「よしっと」
「母さん、今日の晩飯は?」
「あんたの好きなカレーやで」
「マジで?それ出来るまで遺品の整理してくるわ」
「じゃあお願いね」
父の部屋に向かう。
懐かしいな、良く勝手に入って怒られていた。
母が少し整理していたのだろう、物が散乱している。
俺は、まだ手が付けられていない襖を開けてみた。
骨董品や古い書類などが入っている。
書類を手に取ってみると、地域の新聞や昔の請求書のようだ。
キリがないな。
背伸びをして、上段の奥を覗いてみる。
すると奥に、金庫のような四角い何かがあった。
手前の物を、下ろしていく。
それは、やはり古いダイヤル式の金庫だった。
だが開け方がわからない。
仕方ないな母に聞いてみよう。
「母さん、親父の部屋にある金庫ってどうやって開けるんや?」
「金庫?ウチにそんな大層なものあった?」
「でもあったんやからあるやろ」
「私は、お父さんからも、何も聞いとらんよ」
「えぇ〜困るなあ」
「一旦は、他の物断捨離しといて」
「分かった」
部屋に戻る。
さすがにこの部屋に開け方を書いた紙くらいあるだろう。
でも、どこを探せばいいのやら。
本人に聞ければ、1番早いんだけどな。
でも、じいちゃんがしばらくは、来ないと言っていたな。
なら、じいちゃんは、知らないのか?
聞く価値はあるが、どうやって聞こうかな...
じいちゃんの父は良く夢枕に現れていたと言っていたな、とりあえず今日は、寝てみるか。
ご飯を食べ、風呂に入り、床につく。
今日は良く眠れそうだ。
目を閉じて、夢に入る。
その日は、不思議な夢を見た。
誰かと誰かが喋っている。
「もういい、二度と私の前に現れるな」
「...」
「お前も分かるだろう?これがお前にしてやれる。私からの最後の手向けなんだよ...」
「...」
「もうここには置いておけないんだ...」
「...」
急に景色が見えた。
古い家屋だが、見覚えはない。
部屋を見渡すと、畳の部屋で誰かが住んでいたのだろう。
タンスの上に見覚えのある物があった。
親父の部屋にあった、あの金庫だ。
近くにあった椅子に登り、金庫をよく見てみる。
すると金庫の後ろには、埋もれた取手のような物があり、隅の方には小さい穴があった。
チリリリリリーーーン
目覚まし時計が鳴ってしまった。
でも、何かヒントになるかもしれない
すぐに布団から出て、親父の部屋に向かった。
金庫を襖から下ろし、後ろを見てみると、夢と同じ構造になっている事に気付いた。
そしてもう一度、穴をよく見ると少し特殊な形をしていた。
少し平らで三日月状の形をしている。
この形は...ダメだ思い当たるものが何もない。
「タカノリー?起きてる?」
「後で、朝ごはん食べやー」
「ああー分かったー」
仕方ない、またゆっくり考えるか。
「おはよう」
「すごい寝癖やね。」
「まあな」
「そういえばね、お父さんの遺書にね、タカノリにこの万年筆を相続したいって書いてあったんよ」
「はぁ、何で万年筆?」
「そんなの知らないわよ」
「でもかなり古い物っぽいから、質屋にでも入れてみたら価値付くんやない?」
「これも形見になるって事よな、なら残しとく」
「まあ、タカノリの好きにし」
「あ、分かった」
「ん、何が?」
「この万年筆やったんか」
「ごちそうさん」
「なんやあの子そんな急いで」
親父の部屋に戻る。
金庫の後ろにあったあの穴に、この万年筆の先端コレが鍵だったのか。
カチッ
後ろの取手を掴み、開けてみる。
そこには、古い巻物があった。
開いてみると、そこには風見家の家系図が記されていた。
だがこの家系図は少し変だな。
俺のおじいちゃんの一つ上の代ここは3人兄弟のようだ。
俺の家は次男の方から続いている。
だが長男と次男の名前は確認出来たのに。
末っ子の名前は墨で黒く塗りつぶされていた。




