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第二話 過去の記憶

そこから3日後くらいだろうか。


仕事から家に帰ってみると、知らない誰かが、ソファで寝ている。


俺は起こさないよう、音を立てずにキッチンから包丁を手に取る。


そして部屋の外から扉を押さえ、大声で喋りかける。


「おい、誰や、どっから入ってきてん。」


「20秒以内に出ていかんかったら、通報するからな」


「あぁ?タカノリか?帰ってきたんか?」


少し聞き覚えのある声だ。


でもおかしいな、思い当たる節は、もう20年も前の事だ


「わしや、シュウジロウや、」


シュウジロウ...?まさかね...


「おーい、じいちゃんを忘れたんか?」


俺は先日の事もあって、すぐに信用してしまった。


ゆっくりと扉を開ける。


ソファからこっちを見てるのは、確かに、じいちゃんに似ている。


でもじいちゃんにしては少し若い気がする。


「ほんまにじいちゃんか?」


「おう、なんや、まだ疑っとんか?」


「じゃあ証拠見してみ」


じいちゃん?は溜め息をついて、俺の名前の由来を言う。


「タカノリは、わしが付けた名や、忘れるわけねーやろ」


驚愕だ。


それは家族しか知らない事実だから。


俺のじいちゃんは、俺が5歳くらいの時に癌で亡くなっている。


田舎住みだったじいちゃんは、昔よく近くの川や

山道を散歩して遊んでくれていた。


「もうええか?今日は用あって来たんや」


「まあ座りや」


「うん...」


「この前なカズオがわしの所来たんや」


カズオとは俺の父だ。そこで改めてじいちゃんだと言う事を再認識する。


「もうこっち側に来てもうた、ゆうて」


「ほんでタカノリに言わなあかん事忘れとった」


「何でじいちゃんと話せてるか分かるか?」


少し前に考えた事だが、俺自身は奇跡が起きた。


そう断定するしかなかった。


「分からへん」


「それはな、ワシらが同じ風見家の人間やからや」


「それが何の関係があるん?」


「あのな、関係しかないからこうなっとるんや」


「じいちゃんも昔よう、早うに亡くなった親父が

夢に出てきたんや」


「戦地に行ったまんまやったけど、夢ん中だけは帰ってきてくれた。」


「という事は、じいちゃんも親父を見たん?」


「わざわざじいちゃんが来たんはな、まだカズオは49日過ぎとらんからまだ親戚とか、お世話なった人に挨拶回り行かなあかんねん。タカノリも覚えときや」


「分かった」


「わしもよう、分からんねんけどウチの家系は、口揃えて自分とこの親が出てくるそうなんや」


「一個ちゃう事があるとしたら、タカノリだけ夢でワシらを見とらんという事だけなんや」


「どういう事?」


「起きとる時に、ワシらは見えんちゅう事や」


「そうなん?」


「そうや、カズオもびっくりしとったわ」


「寝るまで待っとくつもりやったんに、会ってすぐコッチみとるからって」


「そうやったんや...」


じいちゃんは立ち上がる。


「わしもう行くけど、また来るかもしれへんな」


「あとな、他にも誰か来るかもしらんからな、皆んな親戚やし、安心しとれ」


「ああ...うん、分かった。」


「ほな、元気でな」


そう言うとじいちゃんは玄関から出ていった。


それからというもの、俺は自分の事が知りたくなった。


また今度、実家に帰ってみよう。


確かじいちゃんの遺品もあるはず。



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