第一話 49日
今日、父の葬式だった。
急性心不全だ。
俺は、死に目に会うことが出来なかった。
さよならくらい言いたかったな、
そうゆう気持ちでいっぱいだった。
こうやって落ち込んでたら、また父に怒られるかな
そう思いながら家に帰る。
ガチャッ
家に着き、電気を付けると、そこに父は居た。
何も変わらず、俺はあの背中を見て育ったんだ。
見間違うはずもない。
途端に涙が出てくる。
父はこちらを振り返り、フッと鼻で俺を笑う。
「何、泣いとん」
「やっぱりタカノリは気い付く思とった。」
「何でぇ...ウチにおるん?」
泣きながらあの父と話す。
「最後の挨拶周りや」
「ゆうても誰も聞いとらんけどな」
「親父...」
言いたい事なんて山ほどあるはずなのに、言葉に詰まる。
そんな様子を見て父がすかさず口を挟む。
「さよならなんか、野暮な事言うなよ。」
「行かなあかんのは確かな事やけどな。」
「そんな気持ち残したまま行きたないわ。」
そうだな、俺が不安なままだったら、父にも不安が移ってしまうな、
深呼吸をして涙を堪える。
「...ありがとうなぁ」
父は笑い玄関に向いて行く、
「お母さんの事もよろしくな、」
父は少し声を堪えて言った。
父が泣いている所など、見た事が無い
その理由が、今分かった気がした。
父が行ったその日は、ずっと泣いていた。
辛いし、悲しいし、嫌になる。
だが父に未練は無いだろう。
少し日が経ってから、この体験を思い出した。
何故、父が見えたのか。
そして父は、俺が見える事を分かっていたように、言っていた。




