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トロピカル・リザードマン  作者: 青もんた
ジュア・アイランド少年期編
3/4

ブワブワ老は語る

「コレッ!!アオ坊!アカ坊!ちゃんと聞いとるんか!?」


ポカッ!ポカッ!


「「痛って〜!!」」


狼の頭の革で出来た頭巾を被った、リザード・シャーマンのブワブワ老が俺たちの頭を杖で小突いた。


「ったく嘆かわしい。ここジュア・アイランドは多くの犠牲の上に成り立っておるのじゃ。お主達とて例外では無いわい。」


俺も含めて、子供達は戦士見習いになる前に多くの事を語り部であるブワブワ老から教わる。


島の地形、天候、どんな植物があるか、水場、食べれる物、食べてはいけない物、食べれるが美味しくは無い物、動物や昆虫、魔物の種類や強さ、そしてご先祖様が偉大であり、俺たちはその血を受け継ぐ誇り高い一族だ、って事だ。


「ワシらリザードマンは強くあらねばならない。戦士であれば手柄を挙げ、戦士長を目指す。魔法が使えればシャーマンになり、いずれは族長となり村をまとめ、新たな戦士を見出して導くのが務めなのじゃ。」


退屈で眠くなってきた。。。


俺もアカ坊も、他の子も半目になってボーっとしている。


「仕方がないのぅ。面白い話をしてやろう。」


いつも眠たいがこの時だけは皆眼を見開く。


「かつてこの島はもっともっと大きな島じゃった。遥か太古、昔の昔、もーっと昔、我らは『大いなる竜の一族』であった。山のように巨大な身体に、空を覆う翼を持ち、全てを貫く爪に、岩を噛み砕く顎、それにどんな金属をも溶かす焔の息を吐き、敵を全て焼き払う事が出来たのじゃ」


「「「すげーー」」」


「きんぞく、って何?」「凄く固くて、キラキラ光る奴だよ?」「石?」「石かじれるかな?」


「ある時、大いなる竜が空を見上げると夜に輝く星々の幾つかが燃えながら大地に堕ちてきた。悪いニンゲンが沢山のいけにえを用い、我らのご先祖を根絶やしにせんとしたのじゃ。落ちてきた星は1つ1つが、此処ジュア島よりも大きかったんじゃよ。」


爺が石を持ち上げて身振り手振りで伝える。


「堕ちたら島が壊れちゃうよー」

「怖いなー」


「しかし、大いなる竜は負けなかった。焔の息は星を砕き、その欠片が海に落ちると雷雲が立ち上り、地面が揺れ、嵐が起こった。大地は割れ、幾つかの島に分たれて海流に流された。このジュア・アイランドはその中でも1番遠くまで流された島じゃ。しかし、大いなる竜は偉大なり。強力な加護により、我らの先祖は強く生きる事が出来た。そしてその加護はお主らにもしっかり受け継がれておる。」


「それで?竜は勝ったの?」


ブワブワ老は頷いた。


「勿論、悪いニンゲンは我らの先祖で当時最強の戦士ボルカノと選ばれし勇者達に討たれたという。戦士ボルカノは大いなる竜と共に分かたれた島を訪れた。そしてこんな言葉を残している。『再び悪が蔓延る時、我の力は呼び覚まされん。』」


キラキラした子供達の目を見てブワブワ老は満足したみたいだ。


「ふむ、、、そろそろ終わりじゃ、、かいさーん!!子供は遊ぶ時間じゃわい!」


「「「やったー!!ブワブワ老ありがとう!!」」」


子供達はリザードマンである事に誇りを持ち、今日も強く逞しく遊ぶのだ。


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