表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

恐怖! 人がいなくなる令嬢の城!

作者: 墨彩銃像

「"逃げて"って書いてあるわ‥‥‥どういう意味なの‥‥‥」


 用意された部屋の机の裏側に"逃げて"とかいてあった。


 この文字はなんでこんなところに書いてあるの! なにかを伝えるためのメッセージなの‥‥‥!


 私がこの文字を見つけたのは、城につとめだして1週間過ぎた頃であった。



 職業紹介場に"ランド城"のメイドの募集をしていたのが働くきっかけであった。


 だが、職業紹介場の職員はランド城について悪い話を私にしていた。


「実はこの城3週間前にも応募を出していたんです。受かったものが、勤めに向かったはずですが‥‥‥また、応募がきているなんて‥‥‥」


 ここまで聞くと、職場が合わなかったのかなと思うところだ。しかし、話はそこで終わらなかった‥‥‥


「何回も短期間で応募がきているんですよ。しかも、あの城に勤めにいったメイドは行方不明になっています。この城の応募は勧めにくいですね‥‥‥!」


 さらに、若い女性のメイドを求めているという条件も気にはなった。だが、私は今どうしてもお金が必要なので、高額の応募に興味がひかれていた。


 そして、お金がほしい欲は抑えられず、私は応募した。


 すると、2日ほどでお城に働きにくるよう催促があった。私は見事受かったのであった。


 しかし、2日で受かるとはよほどメイドが早急に欲しかったんだな‥‥‥色々な思いを抱えながら私は城に向かった。


 城の入り口には令嬢の執事だろうか、スーツをきた中年くらいの男が立っていた。


「ようこそおいでくださいました。わたくし、このお城で執事を勤めております、ビント・ベンタと申します。あなたは応募してくださったランセル・フィヨルドで間違いないですか?」


「はい、ランセル・フィヨルドで間違いないです。」


「では、ランセル・フィヨルドさん。早速ですが、城の案内を行います。入ってください。」


 私はこうして、ランド城の中に入った。入ってすぐに私が使う部屋に案内された。


 この部屋に荷物を置くと、次に、2階のお嬢様の部屋まで案内された。


 部屋まで案内され中に入ると、お嬢様が上座に座っていた。


 このお嬢様こそ、お城の城主にして、フィン・ランドル侯爵の娘であるフィン・オリビア令嬢であった。


 私はすぐさま下座に座った。


 そして、令嬢は私に挨拶した。


「ようこそ、来てくださいましたわ! 私はこの城の城主をしておりますフィン・オリビアです。メイドとして私のお世話をよろしくお願いしますね。」


 オリビア令嬢はその後も優しく語りかけてくれた。


 こんな優しい令嬢のもとから人がいなくなるなど予想がつかないほど優しく上品で美しかった。


 その後、話が終わると私は部屋を出た。


 部屋を出た後、ベンタさんはこのお城を案内してくれた。


 ひとつひとつ丁寧に案内してくれた。ただし、2階のつきあたりにある部屋はなぜか案内してくれなかった。


 不思議に思った私は聞いてみた。


「あの2階のつきあたりにある部屋はどういった部屋何ですか?」


「あ‥‥‥あの部屋ですか。あれは、薫製用の部屋ですよ。」


 一瞬執事の顔がひきつったが、りゅうちょうに説明してくれた。


「薫製用の部屋ですか‥‥‥」


 怪しかったが、これ以上はあの部屋について聞かなかった。


 案内が終わると、礼儀作法や仕事の内容を教わった。


 そして、翌日からメイドとして働き始めた。


 働いて1週間が過ぎた。1週間しか経っていないので、まだ仕事はぎこちなくしかできていなかった。しかし、令嬢はそんな私に優しく接してくださっていた。なんて素晴らしいかたなんだろうと思った。


 でもメイドとして働いていて、不思議な光景を目にすることもあった。


 それは医療室でのことだ。医者がいないというのに、注射器が多くあったのだ。また、採取した血液が入ったビンがたくさんあった。


「何でこんなにたくさんあるの‥‥‥!?」


 私は奇妙だと思っていた。しかも、この部屋には似つかわしくないものもあった。それは、ノコギリや斧、ハンマーであった。何でこんな物騒なものが医療室に‥‥‥!?


 他にも、お嬢様専用のお風呂場でもおかしい指令を言い渡された。


 お嬢様のお風呂に流す水は赤い水を流すようにいわれたのだ。


 なぜ‥‥‥赤い水につかるの‥‥‥!?


 私はこれらの奇妙なものを見て不思議で不思議でならなかった。そして極めつけは、部屋に書いてあったメッセージである。


 私はこの文字を見てある恐ろしい考えが浮かんでいた‥‥‥!!


 3週間ごとに消えるメイド、燻製用の部屋、医療室の奇妙な道具、お風呂の赤い水、そして‥‥‥この文字”にげて”からあることが導き出された。


 ‥‥‥令嬢と執事が殺人を行っている‥‥‥!!


 令嬢と執事がこの城に勤めに来たメイドを殺害する。そして、その殺害したメイドから注射で血を抜き取り、ビンに入れる。


 抜き取られたメイドは燻製用の部屋でつるされる。つるしたメイドをのこぎりや斧などで解体する。解体した者をゴミなどで捨てる。


 でも‥‥‥なぜ‥‥‥殺人何て‥‥‥!?


 私は令嬢や執事が殺人を行う理由が分からなかった。


 そ‥‥‥そういえば! こういう話を聞いたことがあるわ‥‥‥


 若い女性の血を浴びると美しくなると‥‥‥!!


 応募条項で求められていたメイドは若い女性‥‥‥そして、フィン・オリビア令嬢は赤い水でお風呂につかっていた‥‥‥つまり、お嬢様の美しさのために、若い女性の血を集め、殺人を行っていた‥‥‥!!


 突飛な考えだと言われるかもしれない‥‥‥でも、これらの奇妙な出来ごとが結びついているのは偶然だとはどうしても考えられなかった。


 私は殺人のことを考えると恐ろしくて‥‥‥恐ろしくて‥‥‥眠れなかった。びくびく震えていた。


 どうせ眠れないならと思い、私は意を決して証拠を見つけようと思った。


 私は証拠がある場所に目星をつけていた。それは、唯一案内されなかった燻製用の部屋であった。


「証拠を見つけ出してやる!!」

 

 私は小声で言うと、部屋を出た。忍び足で2階の突き当りの部屋まで向かった。階段に向かう道や階段をのぼるとき、音を立てないように慎重に進んだ。


 恐怖で息遣いが荒くなり体は震えていたが、何とか‥‥‥2階に着いた。


 だが、2階には令嬢の部屋があるのでさらに慎重に進んでいった。先ほどよりもゆっくり忍び足で進んだ。進むたびにいやな汗が流れた。特に、令嬢の部屋の前を通るときはすごく緊張して冷や汗が出ていた。


 何とか令嬢の部屋を抜け、つきあたりまで向かった。少しして、部屋に着いた。


 私は、ゆっくり燻製用の部屋の中に入った。中に入ってすぐに扉を閉めた。そして‥‥‥証拠を探して進んでいった。


 すぐに‥‥‥なにかがつるされているのが見えた。


 ‥‥‥そのつるされているものを‥‥‥確認するため、首をあげた。


 私は確認して、顔が青ざめ恐怖で叫びそうになったが、手で必死に抑えて叫ばなかった。


 確認したものそれは‥‥‥‥‥‥干からびた女性の遺体だった!! しかも20人や30人ほどの遺体がつるされていた。


 私は恐怖で泣き崩れそうになった‥‥‥そんな時、”カツン、コツン”と足音が聞こえてきた!!


(もしかして‥‥‥お嬢様と執事が部屋の中に入ってくる‥‥‥!!)


 私はどうするべきか考えた。すぐに考えが浮かんだので、実行に移した!


 実行に移し終わると、令嬢と執事が中に入ってきた‥‥‥そして、令嬢と執事はつるされた女性たちを前にすると触りながら会話していた。


「ここにつるされている女性たちのおかげで私は美しくいられるわね!」


「ええ。この女性たちには感謝しかありませんな」


「感謝なんかする必要はないわ! なんせ、ここにつるされている馬鹿どもは金につられてひっかかり、私たちの殺人に気づかなかった間抜けどもなんだから!」


「それもそうですな。そして、その馬鹿で間抜けなメイドがまた一人」


「ええ、あの女も私の美しさの養分になるわ! あの女の断末魔を聞くのが楽しみで仕方ないわね!」


 二人はそんな恐ろしい会話をしていた。そしてその後も話は続いたがしばらくして会話は終わった。


 令嬢と執事は、会話を終えると不敵な笑みを見せながら部屋を出ていった。しばらくして私は姿を現した。


「ふう! 何とかばれなかったわね!」


 私も、女性たちのように自ら服をフックにかけてつるされていた。大勢のつるされている女性たちにまぎれれば見つからないと思って実行したが‥‥‥成功してよかった‥‥‥!!


 心底安堵した。しかし、安堵している暇はない。私は忍び足ですぐさま自分の部屋に向かった。帰っている時、令嬢と執事には出くわさなかった。


 部屋に帰るまででも‥‥‥心臓が‥‥‥バクバク鳴っていた。


 だが、これで終わりではない! この城から出なくてはいけない!


 私は必要なものだけを集めてバッグに入れた。そして、すぐに部屋を出た。忍び足でゆっくり、玄関まで向かった。


 心臓がバクバクなりながらも‥‥‥ゆっくり忍び足で進み、玄関の前までついた。だが‥‥‥その時だった‥‥‥後ろの方から足音が聞こえたのだ。


 私はすぐさま近くのイスの下に隠れた。すると、足元が見えた‥‥‥その足はその場に踏みとどまっていた‥‥‥私は早くいってと祈った。最高潮に心臓がなっていた!!


 すると、少しして足は玄関の方とは反対側に進んでいった。その後、階段をのぼる音も聞こえてきた‥‥‥!


 私は安堵した。しかし、あまりの緊張感で10歳ふけたと思った。


 その後すぐさま、玄関に向かい、ゆっくり扉を開けながら外に出た。その後、私は全速力で街に向かった。


 しばらくして、街に着いた。ついた頃は少しだけ明るくなっていた。


「まずい‥‥‥朝を迎えてしまう‥‥‥!!」


 私はすぐ自警団のいる建物に向かった。30分くらいで自警団の建物に着いた。


 自警団は、早朝でもやっていたので、中に団員がいた。私は団員に切迫した表情でことのいきさつを話した。


 自警団の人は私の切迫した表情からただ事ではないと判断してかくまってくれた。


 その後、フィン・オリビア令嬢とビント・ベンタが証拠を処分しないようにするため、1時間ぐらいで団員を集めてランド城に向かった。


 その後の話は団員たちから聞いた。聞いた内容によると‥‥‥団員たちはランド城に着き、すぐさま城の中の者を呼んだ。


 出てきたのはビント・ベンタこと執事であった。その後、団員たちは私が話した内容を執事に話した。


 その時、ビント・ベンタは、観念した顔をしたという。団員たちはビント・ベンタに例の部屋まで案内をさせた。


 そして、部屋の中に入るとそこには‥‥‥多くの女性たちの遺体があった‥‥‥!!


 団員たちはつるされた遺体の数々を見て絶句したという。また、あるものは耐えきれずその場で吐いたものまでいたらしい‥‥‥!!


 私はあの時生き残るためとはいえ、よく我慢したなと思った。


 そして、証拠を取り押さえた自警団は、それをもとにビント・ベンタとフィン・オリビア令嬢を逮捕した。逮捕されるときフィン・オリビア令嬢は泣き崩れたらしい。


 その後、裁判にもかけられたようだが、あまりにも残酷な行いにビント・ベンタとフィン・オリビア令嬢は共に無期懲役が決まったようである。


 無期懲役が決まった時、ビント・ベンタとフィン・オリビア令嬢は落ち込んだ表情をしていたという。


 また遺体は、丁重に土葬された。


 私は、他の屋敷でメイドとして働いている。今度の所は少し厳しいが順調に働けていた。もうあのような経験はこりごりだ。

読んでくださり、ありがとうございます!


いまいちと思われましたら★、面白いと思われましたら★★★★★など、評価していただけると嬉しいです! 


ブクマもよろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ランセルさんが無事に脱出できてなによりでした。 吸血鬼など血を摂取する人型モンスターの出るかと予想しましたが、お嬢様は人間だったんですね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ