表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
高校生は今日も迷宮に向かう  作者: ハマ
2章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/32

30

「はあ、はあ、はあ、どこに居るんだよ?」


 駅を出たサトルは、ミロクのメッセージを頼りに地図を見て移動していたが、まったく姿が見当たらなかった。


 メッセージの途中からカズヤも参加しており、正確な場所を聞こうと送られて来るが、それが何の意味があるのか分からなかった。

 ミロクからのメッセージも何処どこを通過したという物ばかりで、正確な居場所が掴めない。


 至極真っ当な意見として、カズヤから警察に行けというものが送られるが、その道に待ち伏せされていて進めないと帰って来る。


「何で神庭さんと有明さんも一緒なんだよ」


 しかも、柚月とあかりと一緒に逃げていると聞いて、頭が痛くなる。ならばここはアキヒロの出番だろうと思ったが、今の時間帯はダンジョンに居そうで連絡は着かないのだろう。


 はあ、とため息を吐いて、何がどうなって追われているのか尋ねても、人助けをしたから追われているという、全く意味不明な内容だった。


 とりあえず警察には連絡したのだが、同様の通報は入っており、既に動き出しているという。


 じゃあ大丈夫だろうと思ったが、今も逃げており、追っている男達も探索者だと聞いては黙っていられなかった。


 最後のメッセージにあったコンビニの場所から離れて、周辺を探る。

 すると、近くの工事現場から人の争う声が聞こえて来た。


 ここかと思い、急いで中に入る。


 そこには、ミシロを出して威嚇しているミロクと、鉄パイプを持った柚月とあかり、そして塾の先輩だった女子が男達に囲まれていた。


 それを見た瞬間に頭に血が昇った。


「何やっとんじゃー!!テメーら!!」


 魔力を漲らせた肉体は、これまでにないほどサトルの身体能力を向上させる。そして、一歩二歩と踏み出し、一気に加速して男達との距離を詰めて行く。

 男達もサトルの声に反応するが、想像以上の速さに驚いて動きが止まり、一番近くにいた男の顔面を打ち抜き、一撃で意識を刈り取った。


「サトル君!?」

「サトっち!」


「なんだ!?」

「襲撃だ!」

「こいつらの仲間か!?」


「うおーー!!」


 気合いを入れるように雄叫びを上げたサトルは、次に近くにいた男へと飛び掛かる。

 男はサトルの動きを読んで短剣を盾に拳を防ぐが、続く回し蹴りに対処できずに右脇腹に食らい、肋骨をへし折られて地面に転がる。


「がっ!?」


「野郎っ!」


 さあ次だと動こうとするサトルだが、男達もやられてばかりではない。

 背後から特殊警棒を振り下ろしてサトルの頭部を狙う。

 しかし、その動きを察知したサトルは、身体強化した腕を頭上に上げて防いで見せる。

 ここで不動のスキルを即座に使用できていれば、特殊警棒を端折り男の顔面を粉砕出来たが、サトルの練度はそこまで高くない。


 痛みが走る腕を無視して、更に攻撃に加わろうとする男に前蹴りを見舞った。


「ぐふっ!?」


「こいつ強いぞ! 囲め!囲んで叩き潰せ!」


 指示役らしき男の声に従って、サトル一人を大勢で取り囲む。

 こりゃやばいかもと冷や汗が出るが、ミロク達を囲んでいた男達もこちらに来ており、これでミロク達も逃げる事が出来る。


 してやったりと強がって笑って見せると、男達はそれを余裕だと感じたのか苛立っていた。


「お前、自分の状況が分かってんのか?」


「なに? 雑魚狩りしてるだけだけど、状況も何もなくなくない?」


「ふざけやがって!!」


 あえて煽るような口調で、男達の注意を引き付ける。

 周囲を見渡すふりをして、心配そうにしているミロクにアイコンタクトで逃げるように合図を送る。

 それで通じたのか、ミロクが柚月の手を引いてゆっくりと歩き出した。それに従うように、あかりに城戸めぐりが続く。

 分かっているのだ、ミロク達がここに居ても足手纏いになるのは。


 ゆっくりと離れて行く四人だが、それに気付いた一人の男が声を荒らげる。


「逃げんな女ッガ!?」


「ストーンショット」


 拳大の石礫が飛び、ミロク達に気付いた男の体に直撃する。


「こいつ、魔法まで使うぞ!?」

「魔法使いだ!」

「やばいんじゃないのか!?」


 サトルが魔法を使った事に動揺する男達。

 探索者にとって、魔法が使えるというのはかなりのステータスである。ダンジョンでモンスターに囲まれたとしても、その一撃の強さから逆転の可能性があるのだ。


 そして、この状況は、サトルにとってモンスターに囲まれた状態と変わらない。


 事実、サトルにはこの場にいる男達を串刺しにする手段がある。


 だが、それは使わない。

 何故なら相手が人だからだ。

 敵がモンスターならば、何の躊躇をする事なく魔法を使用していただろう。だが、相手も同じ人間なのである。意思があり、話の通じる人なのだ。

 どこぞの太った探索者のように、死ななきゃOKな精神でいけるほど、人間辞めてないのである。


「動くなよ、あいつらの後を追えば俺の魔法が貫くぜ!」


 それでも、脅し程度には使用するが。


「くっ……待ってくれ、お前××高校の一年だろ? 俺が誰だか分かるか?」


「名前は知らんが、二年の先輩だろ? 赤に髪を染めてる先輩っていうので見たことがある」


「そうか、俺は久良岐って言うんだ。なあ、頼むよ、見逃してくれ、俺達やばい奴に無理やり従わされてんだ」


 久良岐(くらき)と名乗った人物に見覚えがあった。

 元は野球部で、何か問題を起こして退部したとも聞いた事がある。ただ、知っているのはその程度で、女の子ではないので、それ以上調べる気にもならなかった。


「誰に命令されてるんだ?」


「あ、ああ、それは……」


 久良岐が名前を言おうとすると、工事現場の出入り口から悲鳴が上がった。


「離して!」

「痛い!引っ張らないでよ!」

「この子達は関係ないから、解放してあげて」


 悲鳴が上がった方を見れば、ミロク達が新たに現れた男達に捕まっており、身動きが取れないように拘束されていた。


「……ユウスケ」


 久良岐の声から発せられた名前が、誰を示しているのか一目で分かった。

 集団の先頭におり、最も体が大きく、ギラギラとした存在感を放っている男。ジャージに革ジャンという、何ともアンバランスな組み合わせだが、野生味溢れるこの男には似合っていた。

 ただ、ツーブロックにパーマを掛けた髪型は、四角張った顔の形には似合っていないのは残念な点だ。


「おいおい、まさかこんなガキ一人に手古摺ってんのかよ〜、ガッカリだな〜、もうガッカリ!」


 ふざけた顔で、おちょくるように言葉を並べるユウスケと呼ばれた男。


 何となく察する。

 このユウスケという男に脅されてだんだなと。

 一際体の大きなユウスケから感じる圧力は、ダンジョンで現れるモンスターよりも上だ。

 周囲にいる男達では、太刀打ちできない事も納得してしまう。


「ち、違う! こいつは魔法使いなんだ! 俺達じゃ殺されっちまう!」


 囲んでいる男達は怯えているようだが、サトルは違う。

 ユウスケと呼ばれた男に恐怖は感じない。

 体が大きく、そこから繰り出される力任せの攻撃は、一撃で意識を刈り取られるかも知れない。

 それでも、サトルは怖いと思わなかった。


 これなら、あのユニークモンスターの方が怖い。


 頭部が二つある大きなロックウルフを思い出す。

 あのモンスターを相手にした時の方が、余程恐ろしかった。それに比べたら、ユウスケと呼ばれた男からは大したものを感じない。


「たかが魔法くらいでビビってんじゃねーよ!」


 肉体に力を漲らせて近付いて来るユウスケ。

 目の前に立つと、サトルよりも頭ひとつ分大きく、体格差からまるで大人と子供である。


「おらっ!!」


 ユウスケがニィと笑ったあと、強烈な拳がサトルの顔面を襲う。

 それを両腕で防ぐと、僅かに体が浮いて後退させられる。


「全然、大したことない」


 だがそれだけで、サトルにダメージが通ることはない。

 スキル『不動』はサトルの身体能力を上昇させ、ユウスケの軽い攻撃で揺らぐものではないのだ。


「調子に乗んな!」


 更に力を込めて攻撃を繰り出し、激しく打ち付ける。

 ドッという音が鳴り、今度は大きく飛ばされてしまい地面を転がる。

 それでも、何事もなかったかのようにサトルは立ち上がった。


「全然効かん!」


 強がってはいるが、その顔には鼻血が流れており、残念ながらダメージが通っていた。

 それもそのはず、サトルのレベルは5だが、ユウスケはレベル8と差があり、その上、スキルにおいても『身体強化』という戦闘向きの物を持っていた。


「殴り殺してやる!」


 身体強化を更に強く意識して、その能力を向上させる。

 同時に多くの魔力を消費するが、頭に血が昇ったユウスケは、そんな事を考える余裕はない。

 だから、正面から撃たれる魔法を食らってしまう。


「ストーンショット!ストーンショット!」


「ぐっ!ぎっ!?」


 サトルが魔法使いだと聞いていたにも関わらず、無防備に突っ込んで行くアホを、容赦なく石の礫が襲う。

 それでもユウスケの身体強化は、その恵まれた肉体と合間って強力で、サトルの魔法を耐えて見せた。


「やるじゃねーか、今度はこっちの番だ!」


 ダメージは確かにあるが、今ので頭が冷えたユウスケは大きく動き出す。

 飛んで来る石礫を動き回って避けると、発射の遅れたタイミングを狙って一気に距離を詰めて行く。


「がっ!?」


 飛び込むように放たれた拳は、サトルの顔面を的確に捉えて叩き込まれる。

 ぎりぎりのタイミングで不動のスキルを発動させたが、それでも、今もらった一発は無視できないダメージを負わせた。


 また地面に転がるサトルだが、今度は脳が揺らされて立ち上がれない。しかも明滅する視界に、再び大きな肉体が近付いて来るのが見える。


 もう、なりふり構っていられなかった。


「ロックニードル!!」


 石の棘が周囲に生えてユウスケだけでなく、観戦していた男達も巻き込んだ。

 仮に棘の先が尖っていれば、これで決着が付いていただろう。ユウスケを殺して、観戦していた者達も殺して、サトルが人殺しとなって決着していた。

 だが、殺傷能力を抑えたのは無意識に人を傷付けたくはないと思っていたからだろう、棘の先が丸まっており殴打するだけに止まっていた。


「あがっ」

「なんで」

「俺達関係ないだろう」


「やりやがったな! 囲め!袋にしろ!」


 巻き込まれた観戦していた者達は、魔法で攻撃された事と、ユウスケにやられたのを見て参戦する。

 弱った相手にしか立ち向かえない情けない者達だが、それでも、数が揃えばかなりの暴力になる。


「ぐっ!がっ!あが!?」


 亀のように蹲り、スキル不動を使って必死に耐えるが、武器を使った攻撃もあり傷を増やしていく。


「やめて!」

「もう動けないじゃない!」

「サトちゃん!」

「ひぅ」


 碌に抵抗も出来ずに嬲り殺されようとしているのを見て、悲鳴を上げる柚月達。

 仲間が友人が、知り合いがやられているというのに助けて上げられない。たとえ、ミロクがミシロを召喚したとしても、この数の前では無力である。

 無力な自分達にできるのは訴える事だけ。

 しかし、その声に応える者などここには居ない。


 だが、別の形でサトルは助けられる。


「けっ、つまんね。 お前ら帰るぞ!」


 サトルの魔法にやられて蹲っていたユウスケが、動けるようになるまで回復した。そして、立ち上がり見た光景に興味を無くしてしまったのだ。

 目的を達成したのもあり、もうここにいる必要もなくなった。

 結局は数の前には、個人の力は無力なんだなとガッカリして、ユウスケはここから去ろうとする。


「何やってんだ? 行くぞ」


 ユウスケの呼び掛けに反応しないのが数名おり、声を掛けるがその反応は芳しくない。

 舐めたような目線でユウスケを見て、命令するなと言っているようだ。


「こいつにやられてんだ、ケジメはきっちり付ける」


 その中の一人である久良岐が代表して応えると、ユウスケはあっそうと後で殴り倒そうと決めてこの場を去る事にした。


 空は暗くなり、昼間の暖かさとは一変して、凍えるような寒さが流れてきていた。







 アキヒロはスマホを見て必死に走っている。

 自転車で移動しようとしたが、未だ正月というのもあり人通りが多く、危ない上に走った方が速いと判断したのだ。


「ここら辺、だよな?」


 スマホにで示されていたコンビニの近くに到着して、周辺にミロクやサトルが居ないか見渡すが、どこにもそれらしき姿は見当たらない。


 メッセージが止まって暫く経ち、どうなったのか確認のメッセージを送っても返信が来ない。


 焦る気持ちが積もらせながら、何かないかと周囲を探して走り出す。するとようやくスマホが鳴り、返信が来たと知らせてくれる。

 その返信はカズヤからのもので、近くの工事現場に来いというものだった。


「……カズヤ?」


 工事現場がある所はすぐに分かる。そして、中に入って行くと男達が倒れており、その先に膝を付いたカズヤの姿があった。

 いつもと違う雰囲気のカズヤに、本当に同一人物なのかと疑うほどの刺々しい怒りを発していた。


 カズヤは声を発することはなく、地面に横たわったボロボロのサトルにポーションを飲ませていた。


「サト!?」


 倒れている親友の姿に驚き名前を呼ぶ。

 すると、サトルの頭が動いてアキヒロを見るのが分かった。


「少し待て、今治療する」


「待て、ミロミロ達が攫われた。俺はいいから、早く救出に!?」


「先ずはお前からだ。ミロク達も助けるから、大人しくしろ」


 カズヤの手には魔法陣が展開しており、それから発せられる暖かい光がサトルを癒す。だが、そんなものは必要ないと、サトルがカズヤの服を掴んで訴えかける。

 それでも強制的に治療するのは、サトルの体が傷を負い過ぎていたからだ。死にはしなくても、冬の寒い時期に放っておけるものではなかった。


「サト、みんなは何処に?」


 治療の側で、ミロクや柚月達が何処に連れ去られたのか尋ねる。だが、それに対する返答は、首を振って分からないといったものだった。

 柄を持つ手にぎゅっと力が籠る、そして倒れている男達に視線が向く。


「……この倒れている人達が犯人なんだよね?」


 連れて行かれた先が分からないなら、知っている人物から話を聞けばいい。何とも理に叶った行動だが、それを静止する声が上がる。


「待てアキヒロ、そいつらからは俺が聞く」


 サトルの治療が終わり、ゆっくりと立ち上がるカズヤ。

 表情はいつも通りなのだが、明らかに怒り満ちており、人を殺しかねないほどの殺意を発していた。


「おい起きろ」


 気を失っている赤色が特徴な男の髪を掴んで呼びかけると、うめき声を上げながら男はゆっくりと目を開く。

 そして、状況を理解したのか髪を掴んでいるカズヤを睨み付けた。


「テメェ、何やってガッ!?」


「喋ることは許可していない、俺の質問だけに答えろ」


「こんなことグッ!」


 喋ろうとした男の顔面を殴打し、反論しようとしたところを更に殴って止める。

 そこで髪を赤色に染めた男である久良岐は、ある異変に気付く。体が動かない、力を込めても頭から下が動いてくれないのだ。


 途端に焦り出す久良岐だが、強制的に視線をカズヤに固定されてその右目を見る。

 右目の眼球には荊が渦巻いており、まるでそれに絡め取られている自分を幻視してしまう。


 事実、カズヤの荊の魔眼によって久良岐の動きは制限されており、その気になれば全身をバラバラにするのも可能だった。


「理解したか? 発言には気を付けろよ、久しぶりに怒りに任せて殺してしまいそうだ」


「ひっ!アガッ!?」


 幻視した荊に絞められ、体中に痛みが走る。

 恐怖で声を出すのもダメなのだと気付いて、恐怖から久良岐の目には涙が溜まり、股間から暖かい物が流れ出る。


「返答を間違えるな、それだけで貴様は解放される」


 久良岐はカズヤのことを知っていた。

 同じ高校の一年で、ガチ勢の探索者として知られており、関わらないでおこうと、話をしていた人物だ。その仲間のサトルも知っており、警戒はしていたが、ユウスケに押されているのを見て、自分達でも何とかなるのではないかと思っていた。


 だが、こいつは違う。

 人として、根本から違っているような気がして恐ろしくて仕方なかった。


「女を襲ったのはお前達だな?」


「あっ、ああ」


「女達は何人いた?」


「さん、四人!四人だ!」


「そいつらは今何処にいる?」


「し、知らないギャッ!?」


「嘘をつくなよ、その度に荊がお前を切り落としに掛かるぞ」


「カラオケ店だ!俺達の溜まり場になってるカラオケ店に行ってるはずだ!頼む解放しガッ!?」


「余計なことを喋るなと言っただろうが、それで、正確な場所を教えろ」


 まるで拷問のような光景を見て、アキヒロはカズヤが別の誰かに変わったのではないかと心配になる。

 これまで小言を言われたことはあっても、本気で怒った姿を見るのは初めてだった。

 それはサトルも同じのようで、驚いた様子でカズヤを見ていた。


 場所を答えた久良岐を締め上げ、その意識を奪う。


「殺したの?」


「殺すはずがないだろう、まだ子供だぞ」


「歳上に向かって何言ってんだよ」


 いつも通りのカズヤの返答に安堵する二人。

 だが、今はそれを気にしている暇はない。


「早く行こう、柚月さん達を助けないと」


「まあ待てアキヒロ、お前に頼みがある」


「何言ってんだよこんな時に! 早くしないと柚月達が!」


「分かっている、だからお前に頼むんだ」


 殺意のない、いつも通りのカズヤの目がアキヒロを真っ直ぐに見つめる。その目は落ち着けと、冷静になれと熱くなったアキヒロを嗜めているようだった。


「誘拐犯の溜まり場は、ここからどんなに急いでも三十分は掛かる。しかも奴らは車だ、どんなに急いでも間に合わない。警察に連絡しても、到着した頃にはミロク達に危害が加えられた後かも知れない」


「だったら尚更急がないと!」


「だからアキヒロ、お前を今から送る」


「……え?」


「お前を現地に送る。俺もサトルも同行したいが、残念ながら俺の魔力量では一人を送るので精一杯だ」


「何を言って」


「聞け、相手はサトルを倒すほどに強い奴がいるか、人数が揃っている。容赦はするな、ただし人殺しは控えろ。その代償は必ず付くからな」


 困惑するアキヒロに淡々と言葉を続けるカズヤ。

 伝えたいことは全て伝えたのか、カズヤの魔力が唸り大きく消費されていく。

 するとアキヒロの足元に魔法陣が展開され、一つ二つと折り重なり、三つ目の魔法陣がアキヒロの頭上に展開された。


「これは?」


「転移魔法だ、すまないが、これを使ったら俺は倒れる。アキヒロ、サトル、あとは頼んだ」


「え?」


 魔法陣に魔力が送り込まれて転移魔法が発動する。

 白い光に包まれて、ダンジョンのポータルに乗った時のような浮遊感を感じる。そして、次に見た光景は、営業を停止したカラオケ店の建物だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ