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「暮らし」など

作者: 維酉

身に纏った服を

おもむろに脱ぐという作業

青白い照明の下で

色の抜けた裸になる

記憶が

ときに停滞し

窓の格子をすりぬけてきた

幽霊らしき寒冷を

べたべた べたべた

わたしの肌に

貼り付けていく


感情は 雨のように

部屋のすみずみまで濡らし

洗面台の鏡に映る

わたしをまさに凌駕する

この黒ずんだ瞳の奥に

わたしはさてなにを見ればよいのだろう

この疲弊した躰には

さてなにが残っているのか


惨忍な時間から

奪われたものをさがして

一分一秒を刻み殺していくのだけど

両手にはなにも残らなくて

ただ脳にこびりついている

記憶が ひとかけら


裸になったわたしは

見えない縫い目だらけの肌を

鏡の奥にじっと見て

やがて目をそらす

ちいさなことばを拾いながら

歩き方を忘れる

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