いずれ最強へ至る道~能力者たちの戦争に無理やり連れ出されましたが、スタートで味方全員いなくなりました~
連載作品です
『ビジターズ・デウス・オンライン~魔王をも従えるPKプレイヤー~』
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VRMMOの作品です
こちらも読んでいただけると有難いです
では『いずれ最強へ至る道~能力者たちの戦争に無理やり連れ出されましたが、スタートで味方全員いなくなりました~』お楽しみください
長い、長い夢を見ていたようだ。
その夢の世界は数人の資格を持った能力者たちが『神王』になるために争っていた。
僕の視点ではそう見えていただけで、実際には違ったのかもしれない。
でも、確かだったことは一つだ。その世界での僕は強く、逞しく、勇敢で頼りがいのある存在だった。
今の僕とは真逆なのだから、妄想だったのかもしれない。でも、その姿を夢見てしまうのは、男として普通のことだろう。
いや、実際には、今生活しているこの世界の方が、夢だったのかもしれない…
「ほら、………!さっさと飲みもん買ってこいや!」
そう、現実は何時だって厳しく、思い通りにはいかないものだ。
今だって僕は虐められ、それを見て楽しむ屑に見たうえで無視するもの、気の毒そうには見つつも絶対に助けに入ろうとしない屑共しかいない。
こんな世界のどこに助けがあるのだろうか…
親に言う。『先生に言って止めてもらいましょう?』
僕はそんなこと望んでなどいない。だが一応言ってみる。
『………君。私たちのクラスにはいじめ等ないのだよ』は?何言っている、この教師は…
その日以降、虐めっ子達のあたりはさらに厳しくなった。先生もグルだったのだろう…
大人に伝えるたびに虐めは酷くなっていった。
次の年、担任が変わった。
先生は言った『私は虐め0、みんなの笑顔があふれるクラスを作っていこうと思います!皆さんも一緒に頑張りましょう!』元気に、無邪気に。いじめられる側の気持ちが分からないから、そんな事が言えるのだ。僕は心の中でそう思った。
しばらく経った。その日も僕は虐められていた。
先生も最初は対処しようとしていたが、虐めっ子を止めるのではなく僕にこう言った…
『虐めに逆らう所から始めてみよう!大丈夫!先生がついているから!』
僕は悟った。この先生は虐めを止めたいのではない。そもそも、虐めがあるとすら思っていない。だからこそ、いじめられっ子に無理をさせられるだと。
それを言われてから二カ月ほど過ぎた。虐めは軽くなるどころか、悪化する一方だ。
その頃、先生はすでに心を病み始めていた。
そして、それから一月も過ぎるころには先生は学校に来なくなった…
そして僕は大人を頼ることをやめた…
それから数年の月日が流れた。
僕も15になり、高校を受験する年だ。
それでも僕は学校に通う気にはなれず、でも、卒業しないわけにもいかないので通信制の学校へ通うこととなった。
そして、登校日のある日僕は車に撥ねられて死んだ…
たった15年と少しの人生。虐められ、大人には裏切られ、ネットに依存した。何も意味の無い人生だった。
意識が戻った。
目を覚ますがそこには何もない。いや、何の色もない。
真っ白な世界の中に僕はいた。
「ここは、何処だ?」僕はぽつりと言葉を漏らした。
車に撥ねられたことしか思い出せない。
もしかして、死ななかったのか?そんな考えが頭をよぎったが、すぐさま頭を振って否定する。
あの状況で死なないはずがない。信号を渡っている途中で信号無視をした車に撥ねられ、信号を守って走っていた車との間に挟まった。
あの状況で生きていたら、奇跡としか言いようがないだろう。
そんなことを考えていると、突然世界の一点に光が集まった。
そしてその空間の中から一人の少年?が現れた。
「あれ、もう起きているのか?」
少年はそう呟いき考え込んだが、一瞬で興味を失ったかのようにこちらの方を向き歩き出した。
「ねえ、君。異世界に行ってもらうね。能力はそうだな…」
「ちょ、ちょっと待って!何勝手に決めてるの!」
「ん?ああ、説明がまだだったね。私は【創命神】『クリアト』だ。君には異世界『ディベルシス』に行って、『神王』の称号をかけ争ってもらう」
一気に頭の中に情報が流れ込んでくる。
いつか見た夢と同じ世界にも見えるそこは、夢で見た時とは違い血と涙で溢れていた。
しかしそれは、やはり夢の世界と類似している。
そこには夢での僕もいた。やはり、その後ろには凄まじい数の人がいた。
「こ…これは?」
「君に私の知識を分け与えた。君にやってもらいたいのは先程見せた、戦争だ」
「こんなこと僕に出来るわけがない!」
「ああ、今のままの君には無理だろう。だが、私が君に能力を与えよう。戦っていた者たちは皆何かしらの神に選ばれ、能力を貸し与えられた。これは言わば、お互いが戦えなくなった神たちの暇つぶしともいえる、神たちの戦争だ」
僕はこんなにも酷い状況を作り出しておいて、それでもなおこれをゲームと言い張る神に恐怖を抱いた。
「なぜ、僕が選ばれたのですか…」
「偶然だよ。他の神たちもそれぞれ、別の世界の者たちから選ぶ。大体は死んだ者から選ばれる。そこに偶然、君が引っ掛かったわけだ。勿論誰でも良かったわけでは無いが、私の選考基準が〈世界に絶望した者〉だった。そして、選ばれたのが君だったわけだ」
理解は出来た。確かに僕は世界に絶望した。でも、なぜ世界に絶望していなければならなかったのか…
「何故かと言うと、世界に絶望していない魂は、その世界から離れることがそもそもできない。だって、世界に絶望していない魂が、その世界からどうなるのかも分からない世界に簡単に渡るわけがないだろう」
聞く前に答えてくれた。そう言われると納得だ。
「分かった。で、何をすればいい」
「君には私たちの戦争に参加してもらう。能力を与えられるものは11名と言われているが、今回は私も参加するため12名だ。やっぱり私の条件に合う魂は少なくて困っていたのだが、今回は君がいるからね。私の参加は認められているから大丈夫だ。前回参加したのは数億年前だが、まあそれはいいだろう。毎回戦争のステージは変わっていて、今回は学園だ。君には能力者として学園に通ってもらう」
何?…学校、だと
「君に与える能力は【眷属】能力の詳細は向こうの世界に行けば自ずと理解できるだろう」
まて、僕はもう学校になど通いたくないのだ
「僕はまだ行くと言って無い」
「ん?君の意見は反映されないよ。言ったはずだ。これは神たちによる、神を楽しませるための戦争なのだとね」
今の言葉で理解することができた。
きっと、この神様は僕のことなどどうでもいいのだと。
これは僕に対し頼んでいるのではない。命令しているのだと。
そして、そこには悪意など一切なく、ただ自分が楽しみたいだけなのだという事を。
「…分かった。で、それに勝ったら僕に何のメリットがある」
「君のメリット、ね。まあ、自由に過ごせるという事かな。学校にいる間は王として扱われるし、学校から出た後も、待遇はかなり良くなるはずだよ。種族は…まあ、決まってないけどそこは運次第という事で」
この神様、かなり適当だな。
まあ、いいか。最悪、他の能力者の庇護下にでも入るとするか…
「ああ、言い忘れていたけど、他の能力者はほぼ全員が過激派だと思うよ。だって、他の世界だと神様を崇め奉って、神に供物として殺しているからね。自分の崇め奉る神を、勝たせるために必死だよ」
「なん…だと…」
理解が追いつかなくなった。最終手段が強制的にもぎ取られたのだ。
僕はどうやって平穏な学園生活を送ればいいんだ…
「君のことだから、平穏を望んでいるのかもしれないけど、君が平穏な生活を送りたいのならば、神王になることが一番簡単だと思うよ」
「………」
どうすればいいの…
「君の思っていることはどうでもいいし、放っておくとして、簡単に今回のルールを説明するよ。君は能力を使って能力者たちと戦ってもらう。能力者たちはそれぞれ何かしら、能力を持っていてそれを使って戦う事になる。戦い方は自由だ。一対一でも、複数対複数でも、複数対一でもまあ、何でもいい。時々あるのが、能力者同士が一時的に手を組んで、一つの能力者を倒そうとすることがある。勿論途中で裏切るのもありだ」
内容をまとめると、戦い方も人数も制限はなし。
能力者同士で手を組むこともできるが、裏切りにあう可能性もある。
「そして、戦う、戦わないに関わらず、能力者は配下を作らなければならない。最低でもクイーンだけは絶対に、だ。それがいないと、戦争には参加できないので、候補者は数人いる。その中から選ぶといい。それ以外の配下は、それぞれ、魔法士、騎士、僧侶、兵士だ。人数制限はそれぞれ、魔法士、騎士、僧侶が5人。兵士は制限がない」
簡単に言えば、チェスの駒のようなものか?
ただし、能力者が王という所と、人数制限の所か。
そして魔法士と言う立場がある以上は、魔法と言う概念が存在することになるな。
「頭の回転は速いようでなによりだ。では、続きを話すとしよう…」
その後も、神の話は数時間にわたって行われた。
まあ、説明は今後必要な時に言えばいいだろう。
世界観だけは言うとしよう。剣と魔法の世界が一番近いのではないだろうか。
「じゃあ、そろそろ異世界に送るけど、準備はできたかな?」
「準備なんかすることがないだろ。僕はいいよ、さっさと送ってくれ。決心が鈍らないうちに」
投げやりにそう言うと、足元に大きな魔法人らしき何かが大きな光を放った。
最後に見えたのは神の満面の笑みだった。
再び目が覚めたそこで、僕はベッドに横たわっていた。
「え~っと、ここは…?」
「あら、目が覚めたようですね。良かったです」
ベッドの周りにあったカーテンが開けられ、一人の女性が入ってきた。
いや、制服を着ているところを見るに、女生徒か。
「私は創命神様より神託を賜った神子が一人、フリスタ・エドラです。どうぞお見知りおきを、ユーマ様」
ユーマ?誰だ、そいつは。
疑問に思った俺は、他のベッドに誰かいるのかと、確認したがベッドどころか、部屋の中には僕と彼女しかいない。
「ユーマ?僕が」
自分を指さし、彼女に聞いてみる。
「はい。創命神様が名づけられました」
確かに前世?の名前は憶えていないが、勝手に名前を決められていたとは…
「まあ、いいか。名前がつけられたのなら、それで」
「そうですか。では、他の神子も紹介させていただこうと思います。ついて来て貰えますか」
「あ、はい」
断る理由もないため、彼女についていく。
「ところで、他の神子って言っていたけど、神子って何人いるの?」
「神子…正確には神子候補なのですが、ユーマ様の神子候補は私を含め5名です」
「候補?」
「はい。クイーンとなられた方が、神子となります」
つまりは・・・王=能力者、女王=神子、という事かな?
「僕のってことは、他の能力者たちは何人位いるの?そもそも、能力者って何人いるの」
「能力者は21名です。神子候補は確か、少なくとも10名。多い方だと、神子候補だけでも兵士以外の配下はすべて埋まるそうです」
え?僕ってそんなに人望が無いの…
「ユーマ様がどうこうと言う訳ではありませんよ。創命神様が神達の戦争遊戯に参加することは殆ど無かったため、創命神様に仕える神子が生まれる家系が減ってしまっただけです。さらに言いますと、神子候補は特定の方に仕えなければならないわけではございません。言ってしまえば、NTRも大丈夫でございます」
はい?今、彼女は何と言ったのかな?
「えっと、もう一回いいかな?」
「はい。NTRでございます」
やっぱり、聞き間違いじゃ無かったか…
「それじゃ、人によっては参加できないなんてこともあるんじゃないか?」
「いいえ。今までそう言った事は一度も起きていません。何故かと聞かれれば、神への忠誠心が高いのではないかと、そう答えるしかございません」
「そ、そうか…まあ、いいや」
「神子候補がいる部屋へ到着しました。どうぞお入りください」
そう言えば流していたけど、神が戦争と呼ぶものは、人間たちには神たちの戦争遊戯、と呼ばれていたんだな。
僕は彼女が空けたドアから部屋へと入っていった。
「………?」
僕の頭には疑問符が大量に浮かんだ。
ここには神子候補がいるのではなかったのか?
ふたを開けてみればそこはもぬけの空だ。
「エドラさん。誰もいないのだけ、ど…?」
そう言って振り向いたそこには…いや、そこにすら、既に誰もいなくなっていた。
つまり、僕の神子候補たちはすでに他の能力者たちによって、NTRされた後だったようだ…
あれから2年の月日が流れた。
あの出来事の後、無事・・・と言うか偶然にも一人の神子候補と出会うことができた。
それから2年かけ徐々に勢力を伸ばしてきた。
その間殆ど他の能力者との接触を行わず、戦闘も1回しかしたことがない。
残っている能力者は僕を含めあと6人。奇しくも僕のもと神子候補たちをNTRしたやつらが残っているようだ。
だが僕は残り一年ほどしかない学園生活を平穏に生き抜くためにも、絶対に勝ち抜き『神王』になってやる!
お読みいただき有難うございました
お楽しみいただけたでしょうか?
短編なので次話の投稿はありません
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See you NEXT TIME!