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異世界では、ラノベは売ってはいけません!!


ーガイエ視点ー


全く腹立たしい。

何が腹立たしいと言うと、よりにもよって逃げ込む先がワシのお気に入り『スーパー中路』だとは。


こやつは、まぁ見た目こそオカシくて話し方も常識もとち狂っているがとにかく料理が上手い!!


あ、いや違うわな。

あの査定屋としての才覚。

鳳凰族として、特別な目利きのワシですら全ては見通せなんだ。


ただ一つの欠点を除いては…。


アヤツ…どうやら何らかの理由があってこの場所を離れられないのだ。


理由を聞いたが、要を得ない。

『店ごと移動出来たら、行けますけど…』なぞと誤魔化しおって。

あのポーッとした男が、そんな不可能な話をしてはぐらかすのだ。

よほどの訳ありかと、それ以上の追求はやめにしたのだ。

ワシも伊達に長く生きていない。


しかし…ここ数百年で出会った事のないタイプだわい。


とにかく、奴を説き伏せてこやつからアレを奪取せねば…


ん?


鰐族め。

理由を話したとて許す様な事…!!!


なんと!!!



アレはワシの持ち物とは違うが《ハイパーアイテム》ではないか?!


この世界に於いて、《ハイパーアイテム》は様々なモノを齎した。

だいたいが、この世界を救う様なモノだが時折邪悪なモノもある。


その為、それらを手に入れた場合の取り決めが厳しく定されているのだ。



未認定の《ハイパーアイテム》なぞ聞いた事がない。

いったい、どう言う経路で…。


「あの〜」


シンさんのオズオズとした声がする。

全員が振り向けば、ビクッするシンさんは通常通りだな。

ま、そんな所も好ましいのだがな。


「それ…たぶん俺が前に売ったモノです。預言書とかでないので大丈夫。

それより…読める人がいたんですね。俺はそちらが…えーー!!!!」


「それは誠か!!」

思わずシンさんの腕を掴んだワシの迫力にシンさんが後ずさる。

しかし、かなり強い力で握っていてのでシンさんの顔が真っ青になった。


「ガイエさん。

ごめんなさい。そんな売ってはいけないモノだとか知らなくて。その頃は査定屋する前でお腹空いてたから…」

「シンさん…。

前にご説明しましたよね?

売りに出す前に相談して欲しいと」

ワシの横から身を乗り出した豹族の小童がシンさんに迫る。

「お前…」ワシの言葉を遮る様に鰐族が叫ぶ。


「貴方はまさか、神族なのか?

この本を読めると言うのでは…」 

この鰐族の言葉に。


「え?読めないの?」と驚くのはシンさんにワシの方が驚いたわ。

すぐさま

「まさか読めるのでは…」とツッコミを入れたのは虎族最強と言われた戦士ブヤンか。


「シンさん、貴方幾つ隠し事が…」何やら驚く方向がオカシなサテは放心状態じゃな。


全く…シンさんは手に負えぬわ。


「あの〜読めたら牢屋に入れられる?

それともお手打ちじゃないよね?」

は?

またもや、明後日の方向に心配を始めたわい。


「そんな訳ないでしょ!!!

シンさんは、何処からそんな想像するのかな。

そんな事よりも、本当にこの本シンさんが売ったモノ?

読めます?

絶対に秘密にしますからちゃんと教えて下さい!!!」


ふーむ。

豹族の…やり手だと聞いていたがこの落ち着きのなさ。

噂は所詮噂というところか。


チラチラ此方を見るシンさんは、理解が早い。

そうよな。


ワシだけが、何も言わぬのだ。

シンさんには、ワシ自身を査定された身。

この中で、最強はワシだと知るからこその不安か。


「シンさんや。

そんな野蛮な事する輩はおらん、

ん?あー。さっき鰐族のに対するワシの怒りか?

これは法律に則ったもの。

盗人…しかも不可侵に無断で入り盗んだモノは極刑あるのみでな。

シンさんは、大丈夫だ。

さぁ、秘密にする故教えてくれ。」


優しめに言えばオズオズと話し出す。

ワシを信頼しきるシンさんは、結構なお人好しだ。


事の重大さを鑑みれば陛下に報告せざる得ないのだ。

許せよ…。


「読めます…。

あの本は、架空の話だから鰐族の方もたぶん誤解されただけだと。

挿絵を見てそう思われたんですよ?」


カクカクと何度も頷く鰐族にとり、シンさんは神族決定なのだろう。

鰐族の王は、若いからこんな早とちりな部下を持つのだ。

シンさんは神族ではない。


ないが…『要監察』は数カ国から出ておる。



ワシの言葉にほっとしたシンさんは、さっさとツマミ作りに台所へ向かった。



放心状態な人々に全く頓着せず…



(恐らくアレは全く気づいていないレベルだろうがな。鈍感の極みだからな…)


ー信太郎視点ー


ヤバかった。

アレは『獣人世界へ転生して、無双してハーレムを築く』だ。

かなりオタク的要素満載で、ハーレムの挿絵が不味かったんだな。


ふー。

言葉が分からないから大丈夫だと思ったのに…。

アレが俺の趣味とか思われたくない。


単なるハーレム願望なんだ。



異世界モノの無双シリーズはマジ最高だからな!!!


それから、ひたすらツマミやら料理作りとなる。

酒盛り大好きのガイエさんが全員を巻き込んだからだ。


まぁ、最初に潰されるのはいつもありがとう俺だけど…な。。。


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