混沌のたこ焼きパーティー?!
ー信太郎の疑問ー
オカシイ…。
なんでこうなってる??
仲良しのボウさんが前からの頼み事をしていた『タコ』を捕まえて来てくれた。
しかし、そこはやはり異世界。
大きい…。
ここは喜びたいけど、ちょっと規格外で。
「ボウさん。
すっごく嬉しいけど、この大きさじゃ…」
あ!!
さすがボウさん。
一瞬でタコはバラバラになったよ!!
ボウさんは、この世界では珍しい古代竜なんだ。だから、当然包丁とか必要なし。
なんの技か分からないけど、いつも望む大きさにカットしてくれる。
『ほら〜。こんなに上手に出来てから前に言ってた『たこ焼きパーティー』頼むよ。
シンさんの料理は世界一なんだから!!』
ふふふ。
ボウさんは、本当に食いしん坊だ。
美味しいモノの為なら、どんな難しい食材も軽々採って来てくれる。
「あの…。シンさん、僕らはこれで」
え?なんで??
いつもなら、もうお開きにしようって何度言っても居座るサテさんなのに。変なの…。
『お前ら。天才料理人シンさんの誘いを断るなんて馬鹿な事する訳ないよな?
まさか、怖気づいたなんて…』
耳痛い…。
ボウさんは、大声だけは小さく変身しても制御出来ないんだよ。
そこが半人前だと仲間に言われる所以だと俺はコッソリ思ってる。
ほら、見てご覧よ。
サテさんもブヤンさんも、青ざめて。
きっと耳が痛いんだと思うよ。
「サテさん。ブヤンさんも引き止めてごめんね。大丈夫だよ。ボウさんは大食漢だからちゃんと食べきるから。用事があるなら気にしないで」
近くのソファにウレ君を寝かせる。
疲れたんだな。
まぁ、アレ飲んだから大丈夫だしな。
小さいから、早く眠くなってもしょうがないな。
振り返ると、ボウさんと皆んなが仲良さそうにお話し中だから、料理をするとするか。
まあ、サテさんのトーク力は凄まじい。
人見知りの俺でも、話しやすいからな。
そんな事を思いながらたこ焼きの準備をする。もちろん、鉄板はコスプレと一緒に何故か転移してた。
電気の奴じゃない。単なるコンロ用。
こっちの火にも慣れた。
ガスなんて無いし。
薪とか出来ないし。
火石と言う便利道具に慣れてからは料理も出来る様になった。
この人数なら2個くらいの火力で大丈夫かな。この辺りも慣れだ。
小麦粉っぽいのは、この世界にもある。
後の材料も、ボウさんは持参してくれるから助かる。
マジで、うちの査定屋にお客さんは中々来ないからいっつも火の車でさ。
そこもお見通しのボウさん。
他の材料もあるな。
あ!!
そうか…魚の天ぷらもして欲しいのか、
珍しく油があるものな。
よーし。
やるぞー!!
沢山出来たたこ焼きをいっぺんに20個づつ口に入れては『うまーい!!』と叫ぶボウさん以外は誰も箸をつけない。
味付けオカシイ?
形が悪いからかな?
味見にひとつ口に放り込む。
。。うまっ!!!
これだよ…めっちゃ食べたかった。
大食いのはずのブヤンさんも。
俺の料理をいつも絶賛してくれるサテさんもなんでテーブルを睨みつけているんだ?!
やっぱりオカシイ…。
ーサテの言い分ー
いや。
アレはダメだ。
だってアレ…海獣だろ?
食べるとか以前で、見るのすら一生に一度もあるか無いかの代物だよ。
なのに…。
無茶振りをする古代竜とその海獣の料理を笑顔で並べるシンさんに囲まれて…。
久しぶりに青ざめるブヤンさんを見たし。
ま、そう言う俺の顔だってさして、違いはないか…。
無言の圧力よりも、哀しそうなシンさんに負けた。
元よりシンさんに命かけると誓いを立てた身だ。
えーい!!!!!
勢いこんで口に入れて固まった。
う、う、うまっ!!!!!!!!!
何コレ。
は、箸が止まらない。
とにかく、必死に食べる俺を古代竜がにやけながら。シンさんは、少し涙目で嬉しそうに見てるのは知らなかった。
そして、更に一人の男を追い詰めてる事も…。
気づけない程の美味!!!!
奇跡を起こすシンさんならではの一夜だった…。