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信太郎のある日の出来事?!


ー中路信太郎の独り言ー


はぁ。


こんな事が自分に起こるなんて…。


気がついたら、ここにいた。

前に何をしていたとか、どんなタイミングでとか何も分からない。

とにかく、この草原の真ん中にいた。


身近にあったのは、一部屋。


そう、家じゃない。



一部屋。



そこは自分の部屋だと思うだろ?

そこはそうじゃない。


会社の一部屋。


地域にある小さなスーパーマーケットに勤めてもう結構経つ。

レジの教育係にまで出世?!した。


その教育室のみ。


ポツンとあった、レジの機械と何故か自室の私物。


コレがまた、難問で。


ほら、誰にも見せたくないモノばっかり。

オタクでコスプレに憧れてたけど、ネットで集めても部屋で着る勇気すらなくて。


趣味のない自分の唯一の財産達。


この草原にポツンといて、それが何の役に立つんだぁーーー!!


と、叫んだ。

のちにそれが生命線になるとは、思わず…。



第一番目の出会い。

アレこそが、この世界との初めての出会いだったんだ。



事態の把握が全く出来ない俺が佇んでいたら、空から降ってきた。



あるモノが…。



鷹。


正確に言えば、鳥人。


人間っぽい…ほら、アニメによくあるヤツで鷹なだけあり大柄な鳥人だ。


ドサッ!!!!!


大きな音に驚いて、ビクッとした俺が反射的に振り向けば射殺しそうな目つきで睨むその人は、血だらけで倒れていた。



怖かった…。

あの時、発作的に近くにあったコスプレをとって被ったのは単なる偶然。



ほら、パンダの着ぐるみ。

理由は、もちろん一番側にあったからで意味もない。


だけど、コレが命拾いする素晴らしい偶然で。



「なんだ。

不気味な生き物かと思ったが、かなり変わった熊族か。

それにしても変身能力が高いな。

初対面で申し訳ないが治癒魔法を頼めないか?」


突然、和やかな雰囲気になった鳥人がゆっくり身体を起こして座るとそう喋る。


でも。俺はそれどころじゃない!!!

大混乱は続いてるよ。


当然だろ?


パンダの着ぐるみだから、熊族は納得。

…いや!!!、


熊族?

変身能力??


治癒魔法って…中二病じゃなくて、言ってる?


この鷹の人は、じゃあ本物??


ふーふー、落ち着け信太郎!!!


そうだ。空から降ってきてたんだ。


本物だろ?そりゃ…。


じゃあ…ここは???


考えれば考えるほど混乱になる俺を更なるパニックに追いやる出来事が起きたのだ!!


鳥人がパタリと倒れたのだ。


ええ???


さっきまで、怪我はしてたけど普通だったのに…。


どうしよう。

このままじゃ…身体が震える。

怪我人とかそんなの見たことすらない。

真っ赤な血が溢れる有様に恐怖で声にもならない。


そんな俺だねどこのままじゃ不味いのはわかる。

とにかく、薬!!!!


私物から薬を探すけど見当たらない。

ま、そりゃそうだ。

秘蔵品はオタクのモノばかりで。


困りきった俺の耳にある音が?!


ピピピピ…


ん?

何の音??


小さな音のする方へと振り向けばなんと…。



レジスターが動いてる!!!


電気は??

線とか繋がってないよね?!



レジ担当の本能なのか、思わず手に取ったスキャナーをその人に向けたのも本当に偶然で。


そうしたら…



[ベカ]


鷹族 ゼフト鳥街出身

年齢 15歳(人間換算 28歳)

性別 男

職業 戦士


体力 3500(現在30)

※危機的状況 早急な治癒必須


魔力 0

能力 飛行能力 

   鷹の目 

   戦闘能力あり


備考


鳥人 ギルド所属

レベル Aレベル(剣技使用)

ラキ鳥人ギルドメンバー所属

(チーム レベルAA)


ゼフト鳥街の護衛隊隊長兼任。


注意 スキャナー使用限度 1日10回。




突然、空中に浮かんだこの情報!!!



でも、混乱も…疑問も…。

目の前の倒れてるこの人の呻き声よりは、後回しになる。



とにかく、薬だ!!!


薬、薬…。


この人を助けられる薬は?

私物を探し回る俺の耳に再び音が…


ピッ。


振り向けば長々しい説明書きが空中に浮かんでいるではないか!!



[フ]


薬草 煎じれば腹下しに効く。

但し、精製は困難。


やり方は…



スキャナー!!!!!


お前…天才か!!!



そうか!!


コレでピッとすればこの人に効く薬草が探せるかも。


思いついた俺が片っ端からピッとすれば、恐らく数回目で希望の薬草に出会う。



[カフ]


血止め・炎症に効く。

解熱・鎮痛剤でもある。


精製方法 葉っぱ毟り水に入れて飲む。



な、なんと。

精製方法まで簡易で、しかもドンピシャな薬草に出会うなんて。


蒼白くなる顔色の鳥人に、説明通り[カフ]を与えた。

気絶してる人に飲ませるのに、鼻を摘むと言う荒技に出て頑張るも…。


その後の事は怒涛の連続過ぎて思い出せない。


ただ、スキャナーを濫用して気絶した事しか覚えてない(注意書きなんて…目に入らなかったんだ…)



だから、当然。

異世界だと理解したのは、数日先で。

レジスターの凄さを知るのも、更にもう少し先になる。


でも…

ひとつだけ収穫があった。

それは、コスプレ!!


着る機会に恵まれる…と言うより着なきゃ大変なお事になる。とにかく、様々なコスプレをして目立たないようにしなくては。



人間のままは、危険そのものだから。

(理由は誰も教えてくれないけど…)


やっと…

長年の宝物が日の目を見るんだ!!

俺のテンションはMAXになる。



初めて着たこのパンダの着ぐるみはその後、大切な友人ボウさんに譲る事になるとはその時の俺は知る由もなかったけど…。



こうして、異世界での生活が始まったんだ…。





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