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黄色の神獣?!


ー信太郎視点ー


温泉に浸かった翌朝の目覚めはとびきりだった。この世界に来てから夢見た温泉。

ホカホカに温まった身体は、布団に入った途端眠りを齎した。だから…。




こんな事になるとは思って無かった。

失敗した温泉卵。

何故か大量のヒヨコに囲まれて。


「可愛いけど…どうすれば良いのか」

この獣人の世界だ。

もしかして、人間に変化する?

そんな事を思いつつヒヨコは部屋の隅で固まって寝ていた。  



なのに…。


何コレ?


「あのー。コレ何ですか?」

騒然としたサテさんの困り顔がこちらを向いて首を横に振った。


「シンさん。全く分かりません。シンさんこそ見覚えありませんか?」


いや、見覚えはありますよ?

だって、よく見る日本旅館に見えるから。しかも、忙しいそうに働いているのはちびっこヒヨコ達で。


やっぱり、獣人だった。

ニワトリは?大きくこれから変化?


「シンさん。あのチビッコいのなんだい?おれもあちこち回ってるけど、あんな奴ら見たことないし。

それ以上に、一晩でこのスペックって。あ、まさかシンさんが建てたのか?」


首がムチ打ちになるほど、横に振る。

そんな訳ない。


「ダインさん。俺も全く知りません。でも、この建物は旅館と呼ばれるもので宿屋です」


「「「宿屋?!」」」


後ろからツッコミがきた。

そりゃそうだ。こんな建物存在しない世界だから。

だいたい、18世紀のヨーロッパに近い建物が多い。

石とか岩とか。

そんな感じ。


木を切り出す日本建築。


ヒヨコ…。


「おはようございます。温泉旅館を作りました。管理は仲間たちがしますから安心して下さい!!」


唖然とする俺の前へヒヨコが一匹やってきて、お辞儀をしてスラスラと説明を始める。


「さ、ささ。中へどうぞ。

部屋は今のところ8部屋にしてあります。

今後、増築の予定です。東屋や池など庭園の作り込みは今後の課題です」


フラフラとヒヨコの案内の後に続いた俺の口の中はカラカラだ。

正面玄関の立派な石はどこから…とか。

カウンターに立ってる(高い台に乗ってるみたい…)ヒヨコは「ようこそ、中路旅館へ」とか言ってる。


「お師匠様。すっごい2号店ですね。度肝を抜くお師匠様のやり方勉強になります」

半信半疑な我々を置いてけぼりで、ウレ君のみはしゃいでる。


「シンさん。ヒヨコという獣人はおりません。もちろんニワトリとか言う獣人もです。

鷹族はおりますが、こんな鳥人は見た事ありません…」

サテさんの説明にドキリとする。

じゃあ、何で?

まさかのフォーゼなのか?!


「ぶーぶー。失礼なご主人様だな。

温泉卵から生まれたんだよ?ご主人様の影響を受けたに決まってるじゃん!!だからちゃんと温泉卵にらなずにヒヨコになったんだから!!」

「そうです。僕らはご主人様の希望から生まれたのですよ?温泉旅館はお気に召しませんか?」


ガッカリと肩を落とすチビッコヒヨコに、慌てて「も、もちろん嬉しいに決まってるよ!!ありがとうね」とフォローすれば、何処から全員が集まって手を叩いて喜んでる。

大きさは、小学生くらいだから本当に群れると可愛い。


「え?全員じゃありませんよ?

この数倍はおります。いえ、もう少し多いかな?」


ええーーー!!!!

数倍…、


えっと、今でも百は下らないよね?

だとすれば…。


「えへん。俺も部下が欲しいんだよ!旅するには、あちこちに基地が必要だろ?

コレこそ名付けて『地球征服』だろ?」


疑問系の割にめっちゃ確信的だな。

『地球征服』なんてキラキラメタモルフォーゼの裏テーマの癖に。そんな事だけ覚えてるのか。


「シンさん。コレは素晴らしい。温泉の管理はどうすればと、思案しておりました。ヒヨコとやらに、任せてみては?

この場所は恐らく魔獣も侵入する事はないでしょうしな」


そうだ、魔獣。

つい。忘れちゃう…あーーー!!!


「た!大変だぁーー!!!

サ、サテさん。この土地はどなたの持ち物ですか?森の中だから値段が高いかなぁ。どうしよう…勝手な事したから警察に‥」


不味いぞ。

この土地の持ち主に黙って勝手に建設までして。地面とかも掘り返したし…。


「シンさん、シンさん!!!!

あ、やっと聞こえた。何度も呼んでたんですよ?持ち主とかちょっと理解しにくいですがこの森に何をしても大丈夫です。誰も住んでないのですから」


つ、通じない?

「土地の所有権とか、森は無いんですか?だとすればこの旅館は誰のモノに?」


「ククク。シンさんや、ちょっと落ち着け。この世界には、土地の所有権なぞありゃせん。何処でも空いていれば住み放題じゃよ。もちろん、森など魔獣が出る場所に住む者などおりゃせんから大丈夫じゃ」


え?

じゃあ、心配ない…。


「それより、この場所に誰か住み着く可能性は?俺たちは旅を続けるのだ。無理では?」

ホッとしたのも束の間。ブヤンさんの一言に盗賊が多いこの世界を思う。


どうしよう…、



「それは大丈夫です。僕らがおります。あ、ブヤンさんの疑いの目ですね。では、お手合わせ致しますか?」


殺気を放つヒヨコって。。。


「失礼した。確かにレベルSSSクラスとお見受けしたので安心しました。シンさんの大切な温泉を宜しく頼みます」


え?今の殺気でOK?

ブヤンさんのOKで、和やかな雰囲気になるけどちょっと不安。


ヒヨコ。

もしかして、何匹か着いてくる??


「もちろんです。

護衛役・フォーゼ様の部下・建築士・料理人など各リーダーがお役に立つかと」




それから数時間後、俺たちはまた馬車で異動を開始した。

場所の中に護衛役という可愛いチビッコヒヨコがいる。癒しになるけどちょっと複雑。




ヒヨコに護られる俺って…。



あ、ちなみに馬車の揺れなどヒヨコの建築士が、改良済み。

あり得ない仕込みがあると知るのはかなり先になるのだが。。。



こうして『中路旅館』は秘密の基地となる。

その後、この森を訪れた者たちが魔獣の出ない森を探ると必ず奇跡の場所を見ると伝説が生まれた、


ただし。

決して近づけないのだ。


守っているのは、黄色の神獣らしい…。



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