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リリの昔話(に)
もう一品作るよ。ちょっと待ってて。
じゅって、炒める音。
熱気。
キャベツ、ピーマン、ニンジン、豚肉。
甘辛いたれ。
ニンニク、コショウ。
焼き色とたれの色で、あめ色に代わっていく食材。
おいしそうなにおい。
あと、もらい物の烏龍茶。
あの日を思い出す。
おいしい料理とおいしい飲み物。
だれかをしあわせにできる。
心があたたかい場所。
私がほしいもの。欲しかったもの。
「私が」欲しかったもの。
「誰かに」あげたかったものじゃあないけれど。
私が、おいしい料理とおいしい飲みものが好きで、
いつも食べれたらって思った。
私が、幸せになりたくて。
私が、心があたたかい場所に居たかった。
それが出発点。
愛すべき私のお店。
ウミネコ麦酒房。
あの日がなつかしい。
回鍋肉と、
烏龍茶といっしょに、
さて、
はじまりのはなしをしよう。




