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ハードボイルドな楽園
極楽とか、楽園とか。
手を伸ばす。幸せに向かって。
手を、のばす。
幸せになりたい、なんて、あの頃はまだ、思い描けもしていなかった。
幸せになりたいって思えるのは、覚悟のある人。あきらめていない人。
いつの頃からか、そんなこと考えることもなくて、過ごしていた。
音楽を聴く。
ベタなメロディーが耳に残る。
ベタな感じにためらわずアクセル踏んでる感じ。
ああ、格好いいな、なんて、意味もなくラジオを見つめて。
銀色の小さなラジオ。
夜の黒。
しっとりとした夜の寒さを感じて、毛布をかぶる。
幸せには、愛が必要で、
あいするひとが必要で。
楽園には、
極楽には、
あいするひとが必要だ。
愛が必要だ。
“強くなければ生きて行けない。
優しくなければ生きる意味がない”
ハードボイルドな探偵みたいに。




