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良剣の探訪者

夜も更けて。

看板をクローズドに回す。


「おつかれー」

「おつかれさまです」

「おつかれさーん」


がん、がん、がん、

と、ドアをたたく音。


「私が出るよ」

アイがドアに近づく。

「すみませーん。

 閉店してしまったんです。

 また後日お願いします」


「少し聞きたいことがあってきたんだ。

 酒や料理はいらない。

 話を聞いてもらえないか?」


冗談めかしてアイが言う。

「そこはさあ、酒屋としては、

 酒や料理がほしいって言うべきじゃないの?」

小声でリリに問う。

「どうする?」


「いいよ。話を聞こう。

 アイ、気を付けて。頼りにしてる」


「過信しないでね。

 リリもシロも、危ないと思ったらすぐに奥に逃げて」


ドアのカギを開ける。


がっしりとした男が、ドアから入る。

「夜分済まない。私は希少な剣のコレクターでアサと言う」


「希少な剣?」


「この店の店主が、

 舶来物の刀を持っているのではないかと、

 情報を得て来た」


「刀」

リリはアイと視線を交わす。


「どうか一目見せてはくれないか。

 良ければ譲ってほしい。

 相応の金額を支払う」


「……すまない。

 親友から譲り受けた大切な刀を一つ持っている。

 誰にも譲るつもりはないし、

 他人に見せることもしていない。

 私にとって大切なものだ。愛しているといってもいい。

 貴方がどんなつてでそのような情報を得たのかわからないが、

 ……ご希望には添えない」

リリはドアを手で示した。

「お引き取り願う」


アサは少しうつむいて、

「分かった」

と言って、出ていった。

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