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あいするひと
さけぶ。
夜。
声なく。
虫の音。
街灯の光。
月明かり。
山の方に見える灯り。
孤独と憂鬱と不安で、私がきしむ。
ああ、目を覚ます。
私の店だ。
ウミネコ麦酒房だ。
いつかの恐れを夢に見た。
まだ、私が、欠乏を恐れて毎夜泣き叫んでいたころ。
今は、
相棒のアイが居て、
可愛い店員のシロが居て、
素敵なお客さん、常連さんが居る。
あいするひとたちがいる。
私も、愛されている。うん、愛されている!
愛が、
愛こそが、すべて楽園の条件。
幸福のすべて。
今日もなんてことない一日が始まる。
光。朝の日の光。
「おはよう」
アイとシロの微笑む顔。
大切だ、素敵だって、気持ちがあふれて、ぎゅっと、胸の前で手を握った。
あったかい。幸せ。




